少女たちの羅針盤

少女たちの羅針盤

土曜の2本目は

「少女たちの羅針盤」を見ました。

評価:(8/100点) – 内容もドラマも無い「アイドル青春まったり映画」。


【あらすじ】

ネット映画の撮影で福山を訪れた女優のマリアは、地元では名の通った存在だった。ミステリー仕立ての映画で、監督より台本が最終稿でガラッと変わったと告げられる。
どうにか撮影を続けるマリアだったが、控え室でメイクをしていた彼女の元に脅迫文が届く。かつて仲間だったインディ劇団・羅針盤のメンバーを殺したというマリア。脅迫者はその事実を知って脅してきているのだ。それは、4年前の出来事だった、、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> マリアの撮影と脅迫。
 ※第1ターニングポイント -> 羅針盤結成。
第2幕 -> 羅針盤のストリート・デビューと市のイベント。
 ※第2ターニングポイント -> 仲間が自殺する。
第3幕 -> 現代での復讐。


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【感想】

昨日の二本目は「少女たちの羅針盤」でした。「ばらのまち福山ミステリー文学新人賞」の優秀作の映画化ということですが、原作は未見です。言われてみれば福山駅前のロータリーで古墳が出たとかいって工事してる時に島田荘司のでっかい看板が立ってた気がしますw
監督は長崎俊一。すみませんがこの人の映画はみんな大好き栗山千明のデビュー作「死国」以外見たことがありません。本当にすみません。
公開初日でしたが結構ガラガラでした。せっかく成海璃子と忽那汐里に加えて美少女クラブ21の森田彩華とおまけで草刈正雄の娘まででてるのに、酷い話しです。
さて、ここで毎度毎度のお約束です。結末ずばりは書きませんが、以降を読めばたぶん犯人やそのほか諸々は感づいてしまうと思います。未見の方で見る予定がある方はお気を付け下さい。つまんない映画ですが、主演の羅針盤の4人組はなかなかナイスなので顔を見ているだけでなんとかやり過ごせますよ。

は、、、、話しが無い、、、、。

さて、いきなりですが本作の公式キャッチコピーを見てみましょう。「ねえ、殺すって どんな気持だった」。いきなり看板に偽り有りです。本作は駆け出しっぽい女優(アイドル?)のマリアが撮影現場に入るところから始まります。で、彼女の独白形式で彼女がかつて人を殺したことが分かるんですが、、、、「じゃあこのキャッチコピーって誰の台詞?」ってなるわけで、作品を見てお分かりのとおり”アイツ”なワケです。っていうか主演の成海璃子がイケイケで友人を巻き込んでいく話しなんで最初っから分かりきってるんですけどね。
本作は、現代のマリアの撮影現場での会話と脅迫をフックにして物語が進んで行きます。つまり、劇中内監督の「マリアちゃん羅針盤にいたんでしょ?この辺じゃ有名だよ。」と、「私は人を殺しました。」の2つです。ここから4年前に舞台が移ります。
こういう流れですので当然観客が期待するのは「伝説的な羅針盤とはそもそもどういうグループで、どうして地元で有名なのか」と「羅針盤にどういういざこざがあって殺人事件にまで至ったのか」です。私はいますごく当たり前のことしか書いていません。だってこの2つがフックで過去の話にいくんですから。

フックがフックになって無いんですけど、、、、、。

ところが、、、、、これがびっくりするんですが、両方ともショボいというか見当外れなんですね、、、。まずそもそも「伝説的な羅針盤」というところが微妙です。映画のほぼ7割ぐらいはこの羅針盤が結成されてからストリートで人気が出てステージバトル・フェスティバルに出場し話題になるという過程です。要は「部活/サークルの活動シーン」なわけですが、伝説にまでなる意味がわからないんです。だって特別に何かの賞をとったわけでもないですし、テレビに出たわけでもありません。あくまでも商店街のストリートパフォーマンスで口コミで広がり、そして大勢の観客の前で披露してスタンディングオベーションを貰うわけです。
で、、、たぶん椅子の形からしてステージバトル・フェスティバルの会場は福山市の神辺文化会館の大ホールだと思うんですが、ここって公称で800人ぐらいしか入らないんですね。つまり、多く見積もってもストリート入れて1000人前後しか見てないワケです。これって映画監督が演技を評価するほどの伝説にはほど遠いので、、、なんなんでしょう???

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※椅子・手すりの形・配置が一緒です。
左:公式ポスター
右:神辺文化会館の大ホール
(こちらのサイトからお借りしました。 http://www.cheriver.com/blog/?m=201012 )

ちなみに、本作を最後まで見ると分かるんですが、この劇中の映画監督も人間違いをしているので、実は伝説でもなんでもなくて監督が知ったかぶっただけっていうオチがたぶん正解ですw
っていうか劇中の描き方だと、マリアの方が羅針盤のメンバーなんかよりよっぽど昔から地元の有名人なんじゃないの? しかも普通だったらアリキリの石井扮するマネージャーも事件の事は知ってるでしょ。それって藤谷文子さんのマネージャーがセガールの事を知らないのと同じ様なものでしょ。または後藤真希のマネージャーがEE JUMPの事を知らないようなものでしょ。まぁいいですけど。
またどうしても突っ込まざるを得ないのは、ラストで告発者として出てくる羅針盤メンバーです。彼女たちを同じ女優さんが回想シーンのまんまで演じているわけですが、高校から大学への4年って顔や体格や服装は結構変わりまっせ、、、、これも別にいいですけど。
もう一つのフック、つまり「どういういざこざがあって殺人事件にまで至ったのか」ですが、これがもっと驚くことになってます。この「メンバーの死」は殺人事件では無く飛び降り自殺として不審点も無いまま普通に警察処理されているんです。つまり、そもそもフックになってないw ミステリーで殺人事件が題材になる以上は、「あの子が自殺するわけがない!!!!」みたいな感情論だけではなく、明らかに不可思議な点が無いといけません。じゃないとそもそも謎解きが始まりません。本作の場合、実際に始まらないんですけどね、、、、、、これってミステリーか???
本作の中ではなんとまぁ恐ろしい事に、事件をメンバーが独自に捜査するというあってしかるべきな描写が何一つありません。飛び降り自殺が起きると、すぐに過去の話から現在の話しに舞台が移って解決編が始まります。なのでさっぱり意味がわからないんです。そもそも事件そのものに「謎」が無いのに、捜査も無いままにいきなり「犯人はオマエだ!!!」みたいな話しになるので、まったくついて行けません。支離滅裂。
そんなわけで、本作には話しもドラマもないんです。そもそも語られるべきものが何も無い。そうすると、そういった支離滅裂とした要素を省いた残りはなんなのか??? これはもう「旬のアイドル/女優4人がいちゃつく様子をみるだけ」というピュアな、、、本当にピュアな意味でのアイドル要素しか残らないんです。
唯一の救いはアイドル要素としての「美少女4人のいちゃつきあい」としては何とか格好だけは付いているという点です。だからギリギリ、本当にギリギリの所でなんとか頑張れば2時間耐えることが出来ます。「耐える」という表現が全てを物語っています、、、。

【まとめ】

いろいろ書いてきましたが、本作はまったくミステリーではありません。ですから公式の予告やサイトで期待して見にいくのは大変危険です。あくまでも成海璃子の男気に胸を熱くし、忽那汐里の透明感に惚れ惚れし、草刈麻有の幸薄い感じを心配しつつ、森田彩華を懐かしく愛でる、、、、そういう一部の特殊な人向けの作品です。
個人的には全く問題ありませんが、、、、ちょっと映画として人様にオススメするのははばかられます。でもやっぱりせっかくの成海璃子の新作なので、超オススメです!!!!

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