高慢と偏見とゾンビ

高慢と偏見とゾンビ

今日はジャンル映画2本です。1本目は

「高慢と偏見とゾンビ」です。

評価:(60/100点) – 名作+ゾンビ=バカ映画


【あらすじ】

ゾンビ病が蔓延する19世紀イギリス。ロンドン郊外のロンボーンに住むベネット家の近所に大金持ちの美青年・ビングリーが引っ越してきた。ベネット家には女5人しか子供がおらず、しかも貴族としては格が低いため、良家と結婚しなければ将来が見えない。ビングリーの引っ越しをチャンスと思ったミセス・ベネットは、舞踏会を開催してなんとかお近づきになろうとする。見事長女のジェーンがビングリーとお近づきになった一方で、次女のエリザベスはなかなか舞踏会に溶け込めずにいた。そんな中、舞踏会にゾンビが乱入してくる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ビングリーが引っ越してくる
※第1ターニングポイント -> ウィカム氏の登場
第2幕 -> ウィカムのゾンビ融和計画
※第2ターニングポイント -> リディアが攫われる
第3幕 -> リディア救出とロンドン陥落


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【感想】

今日は新作のジャンル映画2本を見てきました。オカルト系の映画が同時に公開されるのはとても幸せです(笑)。1本目はゾンビ映画の「高慢と偏見とゾンビ」です。正直シャンテで予告を見ていて「コケるんだろうな、、、」という印象しかなかったのですが、映画の日だからかほぼ満席でした。
原作はセス・グレアム=スミス。「リンカーン/秘密の書(原題 Abraham Lincoln: Vampire Hunter)」の作者です。もうその時点でアレな感じしかしません(笑)。そして皆の期待どおり、この映画は、3幕目まではほぼ「高慢と偏見(1813)」と一緒です。「高慢と偏見」自体は古典でありもうとっくに著作権も切れてますので、もし読んだことが無い方はネット上でPDFでも拾って読んでみてください。本作を見た後だと、相当苦笑いできます(笑)。

オタクとスイーツの幸せな出会い

前述のとおりストーリーはオリジナルの「高慢と偏見」とほぼ同じです。19世紀初頭のイギリスでは限嗣相続といって土地は親族の男しか相続できないため、土地以外の財産が無くかつ女の子ばっかりのベネット家はなんとか玉の輿に乗らなければいけません。ところが片田舎にはそんな条件の良い男がいるわけがなく、にっちもさっちもいきません。そんな状況下に大金持ちでイケメンのビングリーが引っ越してくるわけで、これはもうひっ捕まえるしかありません。しかもその友達のダーシーも大佐でありお金持ちかつ名家の出です。これはいい物件と思ったのも束の間、、、このダーシー君が美人のエリザベスを見て「踊りたい女の子はいないね」とかぬかしおる性格激悪男の超高慢ちきだったもんでさぁ大変。こうしてプライドが高くて素直になれないダーシー君と、恋愛ベタで第一印象を変えられないエリザベスの屈折した恋愛が展開されます、、、。

という文学史に燦然と輝く名作に、本作はゾンビ要素を無理やり足しこみます(笑)。

誤解を恐れずに言えば、オリジナルの「高慢と偏見」って”元祖・スイーツ文学”と言ってもいいほど、恋愛小説の金字塔なんですね。もともとかなり世相を反映して風刺・皮肉が多い作品なのではありますが、
・田舎の美人娘が主人公
・素直になれない無骨な金持ちイケメン男子の良さを私だけが知っている
・いろんなイケメンに求愛されるものの最終的には真実の愛に気づく
などなど、現代少女漫画に与えた影響は計り知れません。無愛想なイケメンと快活な女性の恋愛ものですね。

そんな作品にゾンビ要素を追加して、ダーシーには日本刀、エリザベスには少林寺拳法とナイフの達人というアホなアクションも付け足すということで、これはまさに「オタクとスイーツの幸せな出会い」なわけです(笑)。もともと両者ともロマンチックなものは好きですから、この出会いが成功しないわけはありません。実際、本作は大変上品な恋愛映画として、十分見ごたえがあります。

ただですね、、、これ仕方ないんですが、やっぱり全体的には出落ちです(笑)。ゾンビ要素も恋愛要素もちょっと中途半端で、あくまでも「くっつけたら面白くね(笑)」というアイデア一発だけの勝負な感じは否めません。それだけで十分ニヤニヤできるんですが、言うてそこまでであって、決して完成度が高いわけでも高尚なわけでもありません(笑)。実際に監督のバー・スティアーズはラブコメ畑の監督なので、あくまで作りはラブコメをベースとした悪ふざけです。ゾンビ要素も薄いですしね^^;

【まとめ】

話は本当にオリジナルの「高慢と偏見」ほぼそのまんまです。悪趣味ネタとしてゾンビやアクションを追加して、かつ最後にアクション的な見せ場を用意するために駆け落ちを誘拐に変更しているぐらいです。なので、話の内容自体は間違いがないです。個人的には「名作+ゾンビ」というフォーマットはいろいろ応用できそうなので、是非毎年恒例にしてもらえないかな~と思います。っていうか本作はアメリカでは2月公開なんですね。てっきりハロウィン映画だと思ってました(笑)。まさにお祭りな感じの変なテンションの映画でした。

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