2本目はアート系映画の鬱憤晴らしw
「ザ・ホード 死霊の大群」を観てきました。
評価:
– よくある脱出系ゾンビ映画の凡作。【あらすじ】
とあるフランスの郊外、警官の一人がナイジェリア人ギャングの兄弟に殺されてしまう。彼の仕事仲間や不倫相手の一行4人は復讐のためギャングのアジトを襲撃する。しかしギャングに囚われてしまい、リーダー格のジメネスは射殺されてしまう。しかしその時、別の死体が急に暴れ始める。外には咆哮が響き、一行はゾンビの大群に襲われることになる。果たして彼らはアパートから脱出することができるのか?
【三幕構成】
第1幕 -> アジトの襲撃
※第1ターニングポイント -> 便所の死体が急に襲ってくる。
第2幕 -> ゾンビからの逃走と脱出手段の模索。
※第2ターニングポイント -> レネと出会う。
第3幕 -> 地下からの脱出。
【感想】
さて、アート系映画で眠くなった頭を戻すべく、2本目は「ザ・ホード 死霊の大群」です。近年流行っている「動きの速いゾンビ」の最新型で、おしゃれとスプラッタの国・フランスからやってきました。ジャンル映画な上に公開からも結構時間が経っていますので、さすがのシアターNでもガラガラでした。
いきなりですが、本作はいわゆる「脱出型モンスター映画」のフォーマットに非常に忠実です。というかとても基本的で捻りが無く平凡です。近作ですと「斬撃 -ZANGEKI-」が一番近いでしょうか。なんらの理由でゾンビが増えてしまった世界で建物から脱出することを目的にサバイバルしていきます。ジャンル映画ですので、なんでゾンビが一杯居るのかとか、脱出した後どうするのかとか無粋なツッコミは無しですw きちんとお約束として戦闘力の高い助っ人も登場しますし、生き残るのが一番生き残りそうに無い奴というのもお約束です。
問題点があるとすれば、それはキャラの立ち不足と脱出プロセスのアイデア不足です。
せっかくサスペンス並に入り組んだ人間模様を設定しているのに、それが物語に全く活かされません。本作には対立する警官とギャングが対ゾンビで協力するという面白い設定があります。しかしこれですらロクに使われません。結局変な口喧嘩が頻繁に挟まるだけで、行動自体は普通の仲間です。
そして脱出プロセスについてもどうかと思います。というのも、ただただ曲がり角でゾンビを殺しつつ階段を下りていくだけなんです。裏道があるわけでもないですし、道無き道をアクションを駆使して進むこともありません。本当にただ階段を下りるだけ。これでどうしろというのでしょう、、、、。
とまぁここまでボロクソに書いているわけですが、決して完全な駄作というわけでもないと思います。というのも1カ所だけ褒めるべき所があるんです。それはゾンビのタフさに任せて過剰なまでに「ボコボコにする」描写です。とにかく本作に出てくる人間達は強く、当たり前のように素手でゾンビと渡り合ってしまいます。その時点でホラーとしては怖くないわけですが(苦笑)、一方でコントとして見ればこれが結構成立しています。以前「スペル」の時に書いた「お化けがぼけて人間がツッコむ」という関係性です。とくにオロールとグレコは相手が一人だろうが二人だろうが素手やナイフでゾンビをぶち殺していきます。2人で正面突破出来るんじゃないかと思うほど屈強に描かれています。この辺りはとても好感がもてる描き方です。
とはいえ、やはり物語の部分で残念なところがありすぎます。「俺がここを食い止めるからおまえら逃げろ!!!」という熱い展開を3回もやってしまったり、物語の1/3ぐらいが無意味な泣き言&口喧嘩であったり、どうにも作りが不細工です。決してつまらない作品ではないのですが、どうしてもジャンル映画としての「お約束」を理解していてそれが好きであることが前提となってしまいます。ですので、万人にはとてもオススメ出来ません。
今年はゾンビ映画豊作の年でうれしい限りなんですが、そういった文脈でのみオススメ出来るかと思います。そういえば散々前半で時間を使った不倫や妊娠の件はどこにいったんでしょうw その辺の適当さもジャンル映画ならではです。
共感します!
ギャング・警察・高層ビル・史上最多ゾンビ…という設定が何も活きてない『走るゾンビ映画の入門編』という印象でした…。まだ【REC】や【デモンズ】のほうがワクワクしました。