今日は有楽町で2本見てきました。1本目は
「ザ・ロード」を見てきました。
評価:
– ドラマの薄い単調な終末ロードムービー【あらすじ】
天変地異で文明が崩壊したアメリカで、親子はひたすら南を目指す。
【感想】
本日の1本目は「ザ・ロード」です。公開から結構経っていますが、お客さんはかなり入っていました。とはいえ有楽町シャンテの小さな箱でしたのでせいぜい20~30人と言ったところでしょうか。結構良い評判を耳にしていましたので期待して見てみました。が、、、、確かに好きな人がでそうな雰囲気は分かるのですが、私にはまったく合いませんでした。
本作の基本プロットと引っ掛かる所
本作は、何らかの事情で文明が崩壊してしまったアメリカが舞台となります。母親は気がふれて自殺してしまい、残された父と子は母の遺言である「暖かいところを目指して。」という言葉を守り、ひたすら南へ向かいます。生き延びた人間達は、ギャングのような集団を作って人を襲っては人肉を食べるならず者と、ひたすら彷徨うだけの善良な市民に別れています。親子は時に残虐な連中とニアミスしながらも、ただただ南に向けて歩き続けます。
はっきりと言いますが、本作にドラマはありません。あるのはシチュエーションだけです。上記のような世界で、ひたすら親子が悶えあっているだけです。恐ろしい、、、。
しかも時折挟まれるイベントも2パターンしかありません。1つは、ならず者達に見つかりそうになって逃げるイベント。もう1つは善良そうな不審者にあって、息子が施しを与えようとするのを父が窘めるイベント。以上です。後は何もありません。
私は本作を見ていてほとんど怒りに近い感情をもってしまったんですが、その大きな要因が息子の存在と世界観の適当さです。
本作の世界は、人食い連中がうようよいる危険な環境のはずなんです。ところが、例えば物音がして隠れなきゃいけないシーンですら、明かりや焚き火をつけっぱなしで大声で親子が怒鳴り合うんです。おまえら10秒で見つかって瞬殺だよ!!!しかもナイフがあるのに堂々と銃声を響かせたり、敵のアジトからこっそり抜け出すときに階段をブーツでドタドタ駆け下りたりするんです。どういうリアリティなんでしょう?
それにプラスして、息子がほとんど頭がイカレてるんじゃないかと思うほど危機管理能力がなく、学習もしません。延々と泣き言を言っているだけで、不審者にホイホイついていって勝手に危険になったり、大声で喚きチラしたり、腹減ったとか駄々こねる癖に浮浪者に缶詰をあげて同行させたりします。
フォーマットとしては、「頭の足りない息子をかばいながら南を目指すお父さんの苦労話」としか見えません。それはエンディングまでつづきます。エンディング手前のある重要な事件で成長したのかと思いきや、結局この息子は知らない人にホイホイついていくんです。たまたま良い人だったからいいものの、普通なら即死ですよ、本当。
本作はルックスだけは「ザ・ウォーカー」に似ています。しかし、あちらが西を目指す明確な理由があるのに対して、こちらには何もありません。だから、極端な話、いつまででも話が転がるしいつ終わってもいいんです。画面を持たせるためなのか、時折母親との思い出が回想として差し込まれますが、それすら単なる雰囲気作りにしかなっていません。せめて何かの伏線にでもなっていれば良いんですが、雰囲気以上の何者でもないため、まったく乗りようがありませんでした。
個人的に駄目な映画には「ツッコミをいれてニヤニヤできる映画」と「ただただつまらない興味の続かない映画」と「不愉快な映画」があるんですが、本作は「不愉快な映画」の部類でした。
【まとめ】
本作の評価は、一重に自分に子供がいるかどうかに掛かっているような気がします。自分に子供が居るひとなら、「子供は理屈がとおらない事をするしワガママ放題言うし時折ウザイ」というのを許せると思います。現に、作中の父親は手を焼いてはいるものの、その世話焼きも含めて子供を愛してるのが伝わってきます。
でも、どうしても第3者として客観で見てしまうと、申し訳ないですが「早く死ねば?」としか思えないほど息子がウザくて仕方がありませんでした。特に途中で食料を山ほど見つけて調子に乗るシーンなんぞは、いきなり子供の態度がでかくなってスナック菓子を食い散らかしはじめて物凄い腹立ちますw 「あんだけ食い物で苦労したのに食い物の大事さも学べないのか!!!」と怒り心頭です。
お子様が居る方は、子供を連れずにお一人か夫婦で見に行かれると楽しめるかも知れません。が、それ以外のかたには結構博打な作品だと思います。