プレシャス

プレシャス

本日のレイトは

「プレシャス」です。

評価:(65/100点) – 不幸を”詰め込まれた”巨体。


【あらすじ】

プレシャスは実の父親に性的虐待を受け、16歳にして2人目の子供を妊娠する。妊娠がバレて学校を退学処分にされたプレシャスは、校長の紹介でEOTO(Each One Teach One)の世話になる。ある日、母親からの暴力に耐えきれなくなったプレシャスは、我が子・アブドゥルと共に家出してEOTOに寝泊まりすることになる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> プレシャスの日常描写とEOTOとの出会い。
 ※第1ターニングポイント -> プレシャスが家出する。
第2幕 -> EOTOでの交流。
 ※第2ターニングポイント -> 母と再会し、父親がAIDSで死んだと聞かされる。
第3幕 -> 母との対峙と決意。


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【感想】

ようやく「プレシャス」を見てきました。いろいろ見たい映画があって後回しにしていたんですが、さすがに端っことはいえアカデミー賞をスルーするのもアレなんで、とりあえずの鑑賞です。やはり劇場は「アリス・イン・ワンダーランド」一色でして、「プレシャス」はガラガラでした。
見終わっての率直な感想ですが、正直言ってあんまりグッと来ませんでした。というか、私はハッキリ言ってこういう作品があまり好きじゃありません。
本作で、16歳のプレシャスはおよそ少女が考えられる限りの不幸を背負わされます。父親から性的暴行を受け、母親からは肉体的暴力を浴び続け、AIDSのキャリアで、そして無収入なのに子供二人を抱えて、勉強も出来ません。夢(=妄想)以外は何にもないんです。
そんな彼女にEOTOのミズ・レインは親身になって対応してくれ、結果としてプレシャスは生きる希望を取り戻します。悲惨な状況の中でも懸命に生きようともがく少女の強さを描いた感動作、、、、、というフォーマットだと思うんです。
私がこの手の話を嫌いな一番の理由がまさにそこなんです。だって、誰がどう見たって彼女は可哀想なんですよ。太ってること以外は完全に不可抗力の被害者ですから。だから、この作品をつまんないとか言うと、あたかもDVやこの手の”美談”まで否定しているように思われかねないじゃないですか。私もブログだから嫌いとか書いてますが、リアルでは嫌いなんて言えないですよ。この「絶対肯定しろ」オーラをビンビン圧力として感じるんです。私が言いたいのは「テーマ自体は結構で正当なお題目だと思うけど、それを直球でやって美談に落としたら平凡でつまらんぞ」って事です。
全然ひねった演出が無いですし、ひたすら泣き落としで攻めてくる姿は、「世界の中心で愛をさけぶ」とかと同レベルだと思います。
追加で好きになれない理由を挙げるなら、原作者自身がレズビアンだからという理由で作中のレズビアンの先生が超いい人だという点です。自分を投影したキャラクターを天使のような慈悲深い女性に描くような59歳のおばちゃんは信用出来ません。無理っす。
前評判でハードルが上がりきっていた部分はありますが、それにしてもあまりにあんまりな印象を受けました。同じキャラに不幸を重ね過ぎてしまうと、それはそれでナンセンス・ギャグになってしまうってことです。

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