実験室KR-13

実験室KR-13

「実験室 KR-13」に行ってきました。

評価:(45/100点) – テンションは高いんですが、、、


【あらすじ】


表情を読む天才である女性学者エミリーは、ある極秘プロジェクトの採用試験を受ける。彼女が研究所につくと、責任者のDr.フィリップスからある録画映像を見て所見を述べるよう指示された。そこには4人の男女を一つの部屋に集めた「人間の精神の限界を探る実験」の様子が記録されていた、、、。

【三幕構成】


第1幕 -> エミリーが施設に着き入社試験としてテープを見る
 ※第1ターニングポイント -> テープ内でケリーが射殺される
第2幕 -> 実験の録画テープ映像
 ※第2ターニングポイント -> テープが終わる
第3幕 -> 最終実験が行われる。


【感想】


久々に話題の新作ソリッドスリラーがやってきました。舞台は「Killing Room(殺人部屋)-13号室」とその監察室がメインで、その他はほとんど出てきません。メインの登場人物もわずか5人、とてもタイトです。
私はかなり期待して見に行ったのですが、ちょっと残念な部分が目立ちました。序盤から「実験は第4フェイズ」までと宣言されており、いわゆる謎かけは2つしかありません。小さなイベントを入れても披験者への”刺激”は数えるほどで、実際にはあまり盛り上がりません。役者を含めてシーンのテンションだけは最後まで高いのですが、その根拠が「密室に閉じ込められているから」「殺されるかもしれないから」という部分に焦点を絞ってしまっていて、脱出のための試行錯誤だったり協力だったりという部分がかなり唐突で稀薄です。
本作を見終わった後にふと気がついたんですが、この作品は同じソリッド・シチュエーション・スリラーの「CUBE ZERO」に似ています。これは褒めている訳では無く、むしろ欠点が似ているんです。このジャンルの金字塔である「CUBE」シリーズの最後となっている「CUBE ZERO」は、シリーズで初めて「不条理な立体殺人迷路」の裏側というか運営側を映してしまった衝撃的な作品でした。「本当に怖いことは映さない」というホラーの基本にも通じるのですが、スリラーで仕組みが解らないほうが不気味で怖いのは言わずもがなです。「CUBE ZERO」の場合、シリーズで大事にしてきた不気味さの絡繰りを全部見せてしまった結果、とんでもない駄作になってしまいました。そりゃ用務員のおっさん2人が監視カメラで運営してる所なんて見せられたら、もうワクワクしようが無いじゃないですか。
本作では、いきなり「殺人部屋」に若い精神心理学の女性・エミリーが就活にくるところから始まります。つまり、冒頭からシチュエーションの舞台裏です。そこでオープンリールの録画映像で実験模様を見せられます。この時点ですっごい興醒めします。
一般的なソリッド・シチュエーション・スリラーの場合、観客はシチュエーションの中に感情移入してドキドキワクワクします。要はゲームの中に入って「自分だったらどうするか」というのを体験する訳です。ところが本作の様にいきなり舞台裏を見てしまうと、ゲームの中に入りようがないんです。客観視点を獲得してしまうからです。サバイバルゲームを外から見たって面白い訳が無いと思うんですが、、、。
テレビゲームは自分でやるから面白いんであって、他人がやってるのを横で見てたって大して面白くないでしょう?そういうことです。
さてラスト30分で、ようやくオープンリールが終わって劇中のリアルタイムに実験が追いつきます。でも、これがリアルタイムに追いついたところで別段変わらないんです。唯一エミリーの葛藤みたいなものが描かれますが、でもそれって冒頭からやってる事なんです。リアルタイムに追いついたことで「行動すれば助けられるかも」という可能性がちょっと出るくらいですが、しかしその行動力もありません。見てて結構イライラします。
シチュエーションのアイデア自体とても良いんですが、いかんせん活かせていないもどかしさが全編を覆っています。

【まとめ】


予告はとても面白かったんですが、本編はかなり残念な出来でした。監督の意図はわかりませんが、できれば「KR-13」の内部の視点を大事にして「意味がわからない不気味な実験に巻き込まれた」というスリラーを描いた方が良かったように思えます。実際にwebで「実験室 KR-13」と検索していただくと解るとおり、配給元の角川映画が公式で発表しているあらすじにはエミリーの事はまったく出てきません。あくまでも「~4人は、詳しい内容を知らされないまま、ある実験の契約書にサインする」と、シチュエーション内部の事に情報を絞っています。つまり配給会社でさえ「舞台裏から始まると書いたらつまんなそうに見える」と判断してるってことです。
またラストでいかにも続編に繋がりそうなカットがありますが、もう舞台裏をみせてしまっているのでシリーズ化してもはっきりと意味がないです。
見ている間中、実はエミリーこそが本当の実験の被験者だとオチがつくと思っていました。でも何にも無しで、本当に運営側の人です。劇中ですら「モニタの中のこと」なのに、さらにそれをフィルムを通して見せられても、もはや感情移入もへったくれもありません。
もしお近くの劇場でやっていて時間があり余っているのであればオススメの作品ですが、別にDVDレンタルでも十分だと思います。先週末公開の映画の中で一番期待してたんですが、がっかり。

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