ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ

ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ

アカデミーについて書きたいのは山々なのですが、まずは今日のレイトショーで観た

「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」です。

評価:(45/100点) – 映画としては糞そのもの。しかしアイデアは素晴らしい。


【あらすじ】

バカ正直のナオは、ライアーゲームという大金を掛けたゲームの決勝戦に招待される。人気のない孤島で、ナオはそのほか10人の人間と共に莫大な金を掛けたゲームを始める。


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【感想】

さて、アカデミーについても色々書きたいことはあるんですが、今日は「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」についてです。つい先ほど見終わったばかりです。
人の入りはレイトショーにしては多く、10~20人ぐらいでした。私は例によってドラマ版を全く見ていない上に漫画も読んでいない状態です。ハッキリ言ってボーイズ・オン・ザ・ランの時に書いたように松田翔太を見に行ったようなものです。後はモロにSAWのトリック・ドールをパクってるピエロ人形が気になったという所でしょうか。
見終わっての感想ですが、なんと言いますか、、、非常に評価に困る作品でした。
といいますのも、映画としては文句なく糞なんです。詳しくは後述しますが相当酷いです。ところが本作は(SAWのパチモンとはいえ)日本でソリッド・シチュエーション・スリラーが作れる可能性を見せてくれました。その点は十分に評価に値すると思います。

映画としての難点

冒頭の文を見ていただいて分かるように私は本作には好意的です。なので悪口を先に片付けてしまいましょう(笑)。
本作の映画としての一番の難点は、映画の文法を全く使っていないことです(苦笑)。いきなり話が終わってしまいますが、明確に本作は映画として構成されていません。100%TVドラマの文法で作られています。具体的に言いますと「間の徹底的な排除」「小刻みなカットバック・早回しの多用」「泣き喚き等オーバーリアクションの多用」そして「過剰なインパクト音としてのSE」です。要は、本作はずっ~と何かしらの映像効果や効果音といったエフェクトを掛け続けているんです。まるで作り手に脅迫観念でもあるかのように、映像に常に手を加えて「間」をつぶしています。これはTVチャンネルをたまたま合わせた人を逃がさないための演出です。その過剰さが恐ろしく安っぽく、観客のリテラシーをバカにしているように見えます。これはあくまでもTVドラマ特有の文法で、映画館の大画面で集中力が上がっている時に見せられるとものすごい白けます。
第二の難点は致命的なまでの演出のダサさです。本作を見ていて一番イライラするのはこの部分です。本作に登場する「エデンの園ゲーム」は全部で13回の「投票」が行われるのですが、その全てについて「何かイベントが起こる」→「結果発表」→「裏切り者が勝手に自白」→「罵しり合い」→「次の投票へ」というワンパターンが延々繰り返されます。この中でも特に裏切り者が勝手に自白するパートや、聞かれても居ないのに秋山が手の内をバラすパートは本当に最低な出来です。聞いてもいない悪事や工夫をベラベラ勝手に喋りだすものですから、どっちらけも良いところです。
第三の難点は、すべてを台詞で説明するところです。これは後述する事にも関わってくるのですが、本作はまるで舞台演劇のように台詞だけで物語が進行していきます。映画としてはとても不自然なところが多々あります。なにせ映像の力に全く頼っていないというか、映像自体を利用できていません。なので映画的な興奮や感動は一切ありません。

本作の最も優れた点。「エデンの園ゲーム」のアイデア。

書いていたら割と手厳しくなってしまいましたので、今度は褒めるパートに行きましょう。以上に書いてきたように本作は映画としては全くもって酷い出来です。ところが本作には唯一にして最大の美点である「エデンの園ゲーム」があるんです。エデンの園ゲームのルールを説明するのは面倒なので公式ホームページを見てください。実際にこのゲームにもツッコミ所は結構あります。しかし私が大事だと思うのはこういったソリッド・シチュエーションのアイデアを考えようという脚本家・プロデューサがでてきたということです。
本作の序盤では、同一のルールを使っているにも関わらず、少し状況をいじくるだけで「囚人のジレンマ」を複数パターン作って見せます。そして中盤、ここまで一切使われなかった”新ルール”でさらに別の展開を作って見せます。そして最終盤、きちんとゲームの盛り上がりと話の盛り上がりを一致させてきます。
ソリッド・シチュエーションはキャラクターを論理的・環境的に追い詰めていくための構造です。本作では穴だらけながらもきちんと数学的に追い詰められているように見えますし、言葉で延々と観客を”説得”してきます。
たしかにこのシチュエーションの作り方自体の詰めはボロボロで、実はいくらでも抜け道があったりします。もっというと、おそらく本作は最後のオチから逆算して、脚本の後ろからルールと経過を書いています。そのため、通常の状況ではまったく必要の無い不自然なルールがあります。でもこういうチャレンジをしてきたことに意味があると思います。その志を買いたいです。
木のプレートがあるのに赤リンゴを燃やしちゃったり、焼きごてを使った直後にポケットに入れたり、あまつさえリンゴを隠したり(どこにそんな場所があるんじゃ!)、暖炉の火程度で純金や純銀が燃えたり、脱落した連中がいきなり最後にしれっと復活したり、ディティールは最低ですがあまりにも早い話のテンポと中田ヤスタカの中毒的なワンループ構造音楽の「勢い」で結構誤魔化されます(苦笑)。

【まとめ】

本作は映画としてはかなり酷い出来です。どのぐらい酷いかというと「交渉人 THE MOVIE」とどっこいどっこいなレベルです。しかし、私はソリッド・シチュエーションのアイデアを買いたいと思います。稚拙ながらもこのジャンルに挑戦する作品が出てきたことは大変好ましいことです。もっとディティールを真面目に作った上でゴア描写を追加できれば、本作は十分に面白くなる余地があります。
ということで、本企画の未来に向かってオススメです!!!
余談ですが、本作でも「猿ロック」にみられたような「疑うことを知らない無垢」=「良い事」という気色悪い構図があります。戸田恵梨香がただの頭足りない子にしか見えないのが実は最大の難点でしょうか? 可愛いのに、、、。
またドラマのDVDをとりあえず1シーズン分借りてみました。その程度には期待の持てる作品です。

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記事の評価

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ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」への2件のフィードバック

  1. 『ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ』お薦め映画

    最初に赤リンゴが揃わないのは当たり前としても、その後のゲーム展開は先が読めず、目が離せない。ゲームは13回戦。それぞれ自分で勝ち組を当ててみるのも楽しい。

  2. 丁寧に書いてあるし、知識もいっぱいだし、何より、読者に楽しんでもらおうという気持ちが溢れていると思います。
    映画レビューのなかで、出色だと思います。
    今まで、「超映画批評」と「蚊取り線香」が、質量ともに2大映画ブログだと思っていたのですが、自分としては、今や「にわか映画ファン」がナンバー1です。
    3アクトの分析も、とても勉強になります。
    本当に楽しみにしてますので、これからも続けてください!

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