X-MEN: アポカリプス

X-MEN: アポカリプス

さてさて夏休み映画2本目は

「X-MEN: アポカリプス」です。

評価:(60/100点) – 「古代の神が蘇ったど~!!!」「で、強いの?」「シラネ(´・ω・`)」


【あらすじ】

紀元前3600年、世界最古のミュータント:エン・サバー・ヌールは神としてエジプト世界を支配しながらも家来の叛逆によりピラミッドの地下深くへと封じ込められてしまう。そして時が経ち、1980年代の冷戦まっただ中、ヌールはカルト信者によって地中から復活を遂げる。彼は自分の世を取り戻すため、全人類・文明を破壊しようとする。

【三幕構成】

第1幕 -> エジプトでのモイラの調査
 ※第1ターニングポイント -> エン・サバー・ヌールの復活
第2幕 -> フォー・ホースメン結成とチャールズの誘拐
 ※第2ターニングポイント -> ヌールがチャールズを使って人類へ宣戦布告する。
第3幕 -> 新生X-MEN vs エン・サバー・ヌール


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【感想】

さてさて、「ペット」に続きまして夏休み映画の2本目は「X-MEN: アポカリプス」です。監督はシリーズでお馴染みブライアン・シンガー。一応リブート版X-MEN3部作の完結編と位置付けられています。とはいえ、スピンアウトの「X-MEN: ウルヴァリン」は3作目が制作中ですし、デッドプールも続編決定ですので、まだまだこれで打ち止めとはならなそうです。なんだかんだで一連の「20世紀FOX版X-MEN」のメインシリーズとしては6作目ですから、もう流石にファンしかいないかな、、、という劇場でした。19時から始まるレイトショー前の回だったのですが、意外と小学生ぐらいの子供連れが2組居て、それはとても嬉しいことです。ただね、、、最初の映画版X-MENってもう16年も前なんだな~と思うと感慨深いものがあります(笑)。

はじめに

もうすっかりお馴染みとなりましたが、一応念のため、ここでシリーズの概要をさらっとおさらいしておきましょう。X-MENは第2次世界大戦~現代あたりを舞台の中心とした超能力新人類「ミュータント」達と普通の人間との交流/対立を描いたシリーズです。

1作目の「X-MEN(2000年)」では「ミュータント登録法案」を巡って、ミュータントの権利拡大を狙う過激派集団「ブラザーフッド」の総帥マグニートと、そのテロを阻止しようとする穏健派の「恵まれし子らの学園」=「X-MEN」の創設者プロフェッサーXとの対決を描きます。

2作目の「X-MEN2(2003年)」では、宿敵ウィリアム・ストライカーが登場します。人間側のミュータント排斥主義者のウィリアムは、対ミュータント軍を率いて「恵まれし子らの学園」を襲撃します。そこに「ブラザーフッド」も雪崩れ込み、三つ巴の戦いが繰り広げられます。

3部作完結編となった「X-MEN: ファイナル ディシジョン(2006年)」では、ミュータントを人間に戻す治療薬「キュア」が開発され、ミュータントの存在意義を問う最終戦争が勃発します。ストーリーとしてはグダグダで、今回のアポカリプスでブライアン・シンガー自らの自虐ネタまで飛び出しました(笑)。一応この作品の監督はブレット・ラトナーで、シンガーはノータッチということになってます。降板前にプロットは書いたようなのですが、まぁ失敗作なんでノータッチにしときましょう(笑)。

なんだかんだあって仕切りなおしと思われたのが4作目「X-MEN:ファースト・ジェネレーション(2011年)」です。これは当ブログでも大絶賛しました。前作までから舞台は遡って1960年代、冷戦まっただ中を舞台に、ミュータント過激派のショウと穏健派のチャールズの激突、そして初代X-MENチームの誕生が描かれます。監督はこれまた非シンガーのマシュー・ヴォーン。キック・アスさながらの小気味の良いアクションと史実を舞台としたリアリティ・フィクションは、アメコミ映画の金字塔です。そして革新的な5作目「X-MEN: フューチャー&パスト(2014年)」へと続きます。

5作目にあたる「X-MEN: フューチャー&パスト」は、このX-MENシリーズで考えうる限り最高のアクロバット着地を見せました。舞台は再び旧3部作の延長線上、対ミュータントの最終ロボット軍・センチネルがミュータントを根絶やしにするまさにその時、世界の終わりを予感させるハチャメチャな状況の中で、プロフェッサーXはシャドウキャットの能力を使ってウルヴァリンを過去の世界へとタイムスリップさせます。タイムスリップした先は「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」直後の1973年ワシントン。ウルヴァリンはそもそもセンチネルが開発される切っ掛けとなったミスティークによるトラスク博士の暗殺事件を阻止し、歴史改変を図ります。そう、誰もが「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」は最近流行りの「シリーズが行き詰ったからリブートで全部最初っからやり直し」かと思っていたのに、実はこれはちゃんと続き物だったわけです。本作によって、旧3部作の世界はすべて「黒歴史」として歴史改変の波に埋葬・供養され(笑)、ストーリーとしてもきちんと説得力がある形で正式に「新たな未来としてのやり直し」となったわけです。「スター・トレック(2009年)」しかり、「アメージング・スパイダーマン(2012年)」しかり、「マン・オブ・スティール(2013年)」しかり、私たちはここ10年ぐらいの間、「続編作れないんで最初っからやるわ!」という投げっぱなしなリブート作品を数多く見てきました。「何回ベンおじさんが死ねばいいんだ!」というネタも飛び出すくらい乱発され、でもそれに疑問を抱かないまでに当たり前になっていました。しかし、このX-MENはきちんと作品内でリブートの意味を描いたわけです。これはまさにアメコミ映画革命であり、そしてワーナー版ジャスティス・リーグで来るであろう「フラッシュポイント」の予感にちょっとイヤな気分になる(笑)すばらしい出来事でした。

そして、5作目「X-MEN: フューチャー&パスト」によって正式に改変された世界は、本作「X-MEN: アポカリプス」へと繋がります。人気キャラ・ストームの誕生、別会社の「アベンジャーズ」で不遇だったクイック・シルバーの大活躍、コミックではほぼ主人公のサイクロップスの登場、3作目で使っていたプロフェッサーXの「魂移し替え能力」の獲得、そしてなによりそんなプロフェッサーXのハゲの秘密が本作で明らかになります!

心踊るワクワクの絵面が満載だ!

まずは本作の美点を上げていきましょう。この作品は、とにかく絵面が格好いいです!宙に浮かんで石つぶての大激流を操るマグニート!大爆発からみんなを救うために、ちょっとお茶目ないたずらをしながらも高速で救助活動をするクイック・シルバー!テロリストとして追われる身ながらもミュータントの英雄として遂にチャールズの元へ帰ってくるミスティーク!とにかく超格好いい!もうね、涙なしでは語れないほど、大人気キャラ達が躍動しています。3作目に引き続き相変わらず不遇なエンジェルさんのネタキャラっぷりに失笑しつつ(笑)、とても心踊るシーンがテンコ盛りです!もうね。これがハリウッドエンタメ映画の醍醐味なんじゃないですかね。とにかく大画面で見てガッツポーズするには最適な映画です。

なんですがね、、、この作品は映画としてはかなり無茶苦茶で、話も敵キャラも、本当に適当な小道具なんですね、、、。まさにこれぞブライアン・シンガー。やっぱりブライアン・シンガー。「シーンを先に考えて、話はあとから適当でいいんじゃね」という彼の姿勢が露骨にでています(笑)。

話が雑すぎるんじゃね?

まずですね、本作一番の問題は、ストーリーの雑さ。これに尽きます。本作のプレタイトル・シークエンスは、超でっかいピラミッドで世界最古のミュータント:エン・サバー・ヌール様が若い子に乗り移る変な儀式をやっているところから始まります。この掴みは完璧です。「魂が乗り移って肉体を替えていくってヤバくね?」「無敵じゃね?」というワクワクがマックスになり、どうやってX-MENはこんなバケモノを倒せばいいんじゃ~~って思うじゃないですか。そしたらね、そもそもストーリーがそこを中心に動いてくれないんですね(笑)。マグニートのポーランドでの潜伏生活とか、サイクロップスとジーンの青春交流とか、ストライカーの襲撃とか、急にキャラ物のショートストーリーが始まっちゃうんです。一応ヌール様とまったく無関係ではないんですが、なんかこう筋が通ってないというか、あっちゃこっちゃに話が飛ぶのでオムニバスものを見てるような気分になるんです。そんでもって、やっと敵がガッツリ本気を出すのがまさかの第3幕のみというね、、、。詰め込みすぎというのともちょっと違くて、これはもう「構成力」としか言いようがありません。ストーリー・テリング能力の問題。危ないこと言いますが、やっぱブライアン・シンガーってゲイじゃないですか。構成がちょっとガールズ・トークっぽいんですね。話してる先から話題が次々に移っていって、結局なんの話をしてたのかよくわからないという(笑)。それは半分冗談ですが、なんかこう要領を得ない話が続きます。

そもそもヌール様が弱すぎね?

そんでもってヌール様の圧倒的な存在感で興味をかろうじて繋ぎ止めているとですね、実は弱いんですわ、この神様(笑)。っていうか、ラスボスのくせにまさかの補助魔法要員なんです。要はドラクエの僧侶。このヌール様の能力ってのが、「砂を操る」「時空を歪ませてワープする」「他のミュータントの能力を増大させる」「魂を他の肉体に移すことができる」っていう能力なんですね。砂を使う以外は完全に間接技です。でもって、直接攻撃要員・パシリとしてエンジェル/ストーム/サイロック/マグニートを勧誘して「フォーホースメンじゃ!」って粋がるわけですが、なんとですね、いわゆる「マインドコントロール」の能力を持ってないんですねこの御方(笑)。完全に少数部活の勧誘(笑)。単に意気投合して仲間になってくれてるだけなので、わりと命令を聴いてくれないし、すぐに裏切りおります(笑)。これはずっこけました。よくエジプトを支配できてたなと。まぁできてないから反乱されて生き埋めになったんですけど。まさかまさかで最終決戦は殴りあいなんですよ。拳と拳で。超能力大戦だって言ってるのに。ちょいドン引きです。一応最後はサイキック合体攻撃なんですが、なんかもうちょいなんか無いのかな~というモヤモヤが残ります。

【まとめ】

そんなこんなで本作は3作目「X-MEN: ファイナル ディシジョン」に勝るとも劣らないグダグダな作品になってしまいました。劇中で「スターウォーズEP6:ジェダイの復讐」を利用して「やっぱ映画シリーズの3作目はダメだよな!」みたいな自虐ネタまでやってるくせに、肝心の本作がもろに「新3部作の3作目」としてダメパターンにハマっているという、、、お茶目さん♡

と文句を言ってきましたが、しかし絵面は本当に格好いいです。マジで名シーン(※ただし止め絵として)の連続。ヌール様vsプロフェッサーの精神世界での戦いなんて最高に楽しいです。ですので、シリーズファンは絶対に見に行ったほうが良いです。完全にキャラ物ファンムービーなので、いままでシリーズを一切見たことがない人が急に見るにはちょっとつらい気もします。でも、大作感の雰囲気だけでもそこそこ楽しめるかもと思いますので、是非劇場で御覧ください。私はもう一回、アルコール込みで見ようと思います(笑)。細かいことを気にしないコンディションに自分からなって、お迎えにいく感じで(笑)。なんだかんだこのシリーズは大好きです。

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