フェーズ6

フェーズ6

本日は新宿で二本観ました。一本目は

「フェーズ6」です。

評価:(25/100点) – 炭酸の抜けたコーラ。ソバの無い広島焼き。牛丼つゆだく牛肉抜き。


【あらすじ】

全世界が謎のウィルスに感染してほぼ死滅した世界。ブライアンとダニーの兄弟は、ガールフレンドのボビーとケイトを連れて4人でタートルビーチを目指していた。途中様々な人に会いながらも必死にビーチを目指す内、徐々に彼らは人間性を失っていく、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 4人とフランク&ジョディ親子との出会い。
 ※第1ターニングポイント -> フランクとジョディを置き去りにする。
第2幕 -> ウィルスから逃げる4人。
 ※第2ターニングポイント -> ブライアンが感染する。
第3幕 -> ダニーとブライアン。


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【感想】

さて、GWの最後は新宿で二本見てきました。一本目は「フェーズ6」です。
関東では「シネマスクエアとうきゅう」だけの公開ですが、その割には結構空いていました。レディーズデーだからなのか、ホラー映画にしては女性一人での来場もチラチラ見受けられまして、やはり若干とはいえ日本でもまだまだジャンル映画のニーズはありそうです。
本作を端的に表すならば「ゾンビの出て来ないゾンビ映画」です。まさに炭酸の抜けたコーラ。逆に言えば、ホラー映画が苦手だけどホラー映画の”フレーバー”だけちょっと味わいたいという微妙なニーズに応える映画です。微妙すぎる、、、。
本作は約90分の映画ですが、その間に起きる事は2つだけです。1つはひたすら「安息の地」に向けて必死に逃げるうちに段々と人間性を失って非道になっていく人間達の狂気の話。もう1つは全ての汚れ役を兄に押しつけて甘えていた弟・ダニーが、 遂に兄離れを果たして自立する話です。
そういった意味では、いわゆるゾンビ映画で起きる人間ドラマの部分は一通り網羅されています。唯一「恋人を助けるヒーロー」がありませんが、ミニマム規模だと考えればまぁ及第点でしょう。しかしですね、、、ゾンビ映画からゾンビを抜いてしまった結果、最も大事なドラマがごっそり抜け落ちてしまっているんです。
それは「襲われる恐怖」と「敵を倒すカタルシス」です。要は敵が出て来ないわけですんで、明確なカタルシスがまったく無いんです。
本作では「タートルビーチに着いてパンデミックが沈静化するまで待つ」のが最終ゴールとして設定されています。ただコレに根拠は全くありません。あくまでも記号としてしか使われていないんです。つまり本作の監督・脚本家は別に結末を描くつもりが無いんです。あくまでもその過程における「非人間的な行為」に対して、「そこまでして生き残る虚しさ」みたいなものを情緒的に表現しようとしています。
でもそれって本来ならばゾンビ映画の要素の一部分でしか無いわけです。ゾンビ映画の名作達がそれでも名作たりえるのは、その人間的な葛藤がありつつも一方で明確な「敵から逃げ、敵を倒す」というエンターテイメント的カタルシスがあるからです。本作ではそこがすっぽり抜け落ちてしまっているため、結果としてなんか微妙な「ホラー風味青春ロードムービー」になっています。
よく考えれば「ホラー風味青春ロードムービー」ってすんごいジャンルです(笑)。なんでも出来そうですよ。「ホラー風味青春スポコン映画」とか「ホラー風味青春ラブストーリー」とか(笑)。あ、それは「恋する幼虫」か。
もはや書いてて意味わかんないですが、肝心な所が抜けちゃったジャンルムービーってそりゃ一体誰がターゲットなんだって話しなわけで、、、それこそtwitterでちょっと書いたように、デートで怖くないお化け屋敷に入って予定調和的に「キャッ!」みたいな事しか用途が浮かびません、、、、、、微妙。
しかもぶっちゃけダブルデートしながらのロードムービーなのに全っ然恋愛要素が無いんですよ。若い男女が密閉空間の車の中で、しかも周りはほぼ人間全滅してるわけで、なんでそこで「アダムとイヴ」的な関係にならないのかさっぱり分かりません。ってかこのプロットをちょっと弄くれば、すくなくとも「アダムとイヴ」の人類創世(再生)の話にも出来るんですけど、、、、そこまではやらないか、、、そうか、、、、、微妙。

【まとめ】

なんといいますか、、、オタフクソースの無いたこ焼きというか、メンマの無いラーメンというか、ダシの無い味噌汁というか、、、、カタルシスな~んもないゾンビ抜きゾンビ映画というか、、、カルピスソーダ・カルピス抜きというか、、、、(以下略)。
ハッキリ言いましょう。
ツマンネ。
以上(笑)。完全に不完全燃焼です。宣伝は面白そうだったのに、、、、(涙)。



あ~レンタルでREC2借りてくれば良かった(笑)。

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記事の評価
恋する幼虫 / 中身刑事

恋する幼虫 / 中身刑事

昨日の2本目+短編1本は、
『戦闘少女 血の鉄仮面伝説』公開記念特集上映 「MUTANT MOVIES -SQUAD-」

「恋する幼虫」「中身刑事」二本立てです。

評価:(85/100点) – だって面白いんだも~~ん。井口ワールド全開!


【あらすじ】

●「恋する幼虫」
アスペルガーの気がある漫画家のフミオは、担当編集者のユキのふとした行動にキレて、Gペンで彼女の頬を刺してしまう。やがて出版社から連載打ち切りを告げられ仕事を無くしたフミオは、音信不通になったユキのアパートを訪ねる。するとそこには変わり果てて自暴自棄になるユキの姿があった。彼女の頬のアザは無残に膨れあがり、そこから食指が出て血を吸うようになってしまったのだ。吸血鬼となったユキは腹いせにフミオを扱き使うが、やがて二人の間には不思議な信頼が芽生え始める、、、。
●「中身刑事」
謎の感染症でゾンビが流行する世界。科学者のコージはゾンビ病を直す研究を進めていたがいっこうに成果が上がらない。ある日、恋人で婦警のサチエがゾンビに噛まれて感染してしまう。しかし、偶然にもサチエの同僚でストーカー気質の変態・ムラカミのゲロがサチエに掛かると、なんと病気が治ってしまった!ムラカミのゲロにはゾンビ病を治す不思議な効果があったのだ!次第にムラカミを頼りだすサチエと、それを快く思わないコージ。そして調子に乗り始めるド変態のムラカミ。こうして妙な三角関係が発生した、、、。


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【感想】

え~、今回は当ブログで初めてとなる非新作映画です。といっても名画座みたいなおしゃれな感じでは無く、完全に悪趣味(笑)。そう、5月末に公開される井口昇最新作「戦闘少女 血の鉄仮面伝説」にちなんだお祭り企画です。

恋する幼虫

「恋する幼虫」については今や局所的にメジャーな作品で、井口昇監督の出世作と言ってもいいでしょう。ちょっとアスペルガーっぽいフミオの描き方が秀逸ですし、ユキが徐々に心を開いていく姿も完璧です。
なにせ、このフミオのキャラクターというのが、出てきてものの数分で誰の目からも明らかなほど的確かつ簡潔に描写されます。突然気が狂ったように喚き・暴れたり、かと思うと次の瞬間には急にオドオドしたり、最低なクズだけれどもどこか憎みきれないような絶妙な位置です。この糞野郎が徐々にユキに惚れていくのにそれでもここ一番で根性が出ないというもどかしさ。そして溜めに溜めたところからのラストの開放感。もちろん画面で起きていることはかなり酷く惨いんですが、それでも本当に奇跡的なハッピーエンドなんです。
でまぁ一応指摘しておけば、本作の「吸血」というのは直接的にSEXのメタファーになっているわけです。だからこそ、フミオはユキが元恋人や自分の知人を吸血するのを見て嫉妬しますし、ユキは同じ女性のササキさんの血は吸わないんです。
これはかなり重要な井口昇監督の特徴ですが、エログロをメタファーとして使用するため、そこを元の意味に置き換えるととてもオーソドックスな話になるんです。本作で言えば、頬をGペンで刺すのは「深く傷つける事」のメタファーですし、「吸血」はSEXのメタファーです。
ですから、実は本作は
「ある男が気になっているおとなしい女性を傷つけてしまった結果、彼女は自暴自棄になって男遊びに走ってしまう。罪の意識から彼女の言うとおりに合コンをセッティングしていた男だが、やがて二人の間に奇妙な信頼が生まれ、互いに恋に気付き純愛に発展する。」
というストレートなラブストーリーなんです。
ちょっと肉体破損描写があったり、ちょっとゾンビっぽいのが出たりするだけで本質は完全に良質なラブストーリーです。
だから恋を燃え上がらせる要素でしかない点、すなわち「何故ユキが吸血鬼になったのか?」「吸血鬼が増殖していって世界は大丈夫か?」という点は完全にスルーされます(笑)。だってラブストーリーの小道具に理屈もへったくれもないですもん(笑)。
DVDがツタヤにも置いてありますので、よかったら是非お手にとって見てみて下さい。グロいって言ってもモロに安い作り物がちょっと出るぐらいなので、ちょっと苦手なぐらいでも大丈夫ですよ。

中身刑事

こちらはビデオやDVDにはなっていません。昔「刑事(デカ)まつり」というイベント企画がありまして、そのなかで井口昇監督が撮った一本です。完全に出オチの悪ふざけなんですがこの15分という尺の中にこれでもかと下らないギャグネタを詰め込んできて変なニヤニヤ笑いが止まりません(笑)。この作品を見ると、エログロに頼らない井口昇の基礎能力の高さが良く分かります。オススメと言いたいのですが、なにせソフト化していないお蔵入り作品なので、目にするのは難しいかも知れません。
悪い事言いませんから、渋谷の近くの方は5月2日のシアターNで21時からやる再上映に行っといた方が良いですよ。次にいつ上映するか分かりませんから。本当は「刑事まつり」のDVDボックスでも出して欲しいんですけど、、、、やっぱ権利上難しいですよね、、、残念です。

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記事の評価
彼岸島

彼岸島

二本目の映画は「彼岸島」です。

評価:(5/100点) – 血糊の無駄使い。

【三幕構成】

第1幕 -> 明と冷の出会い。吸血鬼とのファーストコンタクト
 ※第1ターニングポイント -> 明達が彼岸島に着く。
第2幕 -> 彼岸島でのサバイバル
 ※第2ターニングポイント -> 明が師匠に弟子入りを志願する。
第3幕 -> 明と師匠一行が雅のアジトに殴り込みを掛ける


【あらすじ】

高校生の宮本明はある日チンピラに絡まれているところを不思議な女性に助けられる。彼女は行方不明になっている明の兄・宮本篤の免許証を明に渡し、彼女と共に篤を助けにある島に来て欲しいと告げる。友人5人を加えた明一行は、冷と名乗る女性と共に彼岸島へと向かう。そこは吸血鬼達の跋扈する修羅場であった、、、。


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【感想】

残念!!!
本作について実は結構期待していました。というのも、予告で見る限り近年の日本俳優映画(実際には8割方韓国映画ですが)にしては珍しく血糊を結構使っていたからです。モンスターサバイバルもので敵を切っても血の一滴もでないんじゃ拍子抜けです。TAJOMARUなんて、血しぶき一つ出て無いのに何故か刀を拭うそぶりをしたりして失笑ものでした(笑)。それを考えると少なくとも志はあると思えたんです、、、予告をみた限りは、、、予告だけは、、、。

本作の格好悪さ

本作はとても格好悪いです(笑)。身も蓋もない表現ですが、全編通じて主人公側がまともな思考回路を持ち合わせていません。唯一まともなのが兄の篤で、後の連中は本当に馬鹿ばっか(笑)。そのくせ泣き喚きだけは多いので、ものっすごいイライラします。特に中盤、仲間の一人が吸血鬼になってしまう場面は本当に酷いです。主人公の明が延々と理屈の通らないことを大声で喚きながら駄々をこねるために、心の底から早く死ねばと思ってしまいました。なにせ主人公達は全く役に立ちません。というか主人公以外は最後まで何の役にも立ちません。その主人公も、いきなりレジスタンスでもトップクラスな強さを発揮してしまい、全く成長が描かれません。
せっかく冒頭の弓道部ですごい能力を発揮しているユキもただ捕まってるだけですし、せっかく冒頭で爆薬を使っている西山もただオロオロしているだけです。加藤はただのデブですし、ポンは気持ち悪いだけで何の役にも立ちません。ケンは格好つけてるだけで、ヤンキー流のバット術は発揮されません。「漫画では活躍してるんだろうな」という片鱗を感じることは出来るんですが、しかし何の慰めにもならないほどにみんな足手まといです。
ただただテンション高く喚いて血糊を一杯使ってるだけで、やってることは非常にショボくてくだらない事です。しかも宮本兄弟は無敵じゃないかと思えるほどに頑丈で、何回致命的な傷を負わされてもケロッとしてますし、顔の切り傷も場面転換すると綺麗に無くなっていて傷跡すら残りません。
せっかく血糊でリアリティレベルをあげているのに、なんでこんな半端なことをするんでしょう?格好悪いです。

スターウォーズ病について

本作では上記の格好悪さに加えて、スターウォーズ病を発症してしまっています。ジェダイのように目隠ししてトレーニングしたり(SW EP4 新たなる希望)、コロッセオのようなところでモンスターと戦ったり(SW EP2 クローンの攻撃)、最後はラスボスと1対2のチャンバラです。(SW EP1 ファントム・メナス)
ただしCGやアクションが中途半端なため、完全にデッドコピーになってしまっています。やるならちゃんとやって欲しいのですが、、、残念です。

【まとめ】

とてつもない事になっている映画です。整合性は全くありませんしストーリー構成もグダグダです。登場人物の大半は物語に不要ですし、なにより活躍しない有象無象の味方が多すぎます。公式webサイトに「上陸者殺到中。いまだ生還者0」というキャッチコピーが出てますが、そりゃこの出来じゃ生還できません(笑)。皆さん映画館で撃沈されていることでしょう(笑)。
昨年のカムイ外伝と戦えるレベルの超絶クソ映画でした。そういえばCGレベルも似たり寄ったりです(笑)。
まったくオススメ出来る要素が無いのですが、原作ファンがネタとして見るならかろうじて100円ぐらいの価値はあるでしょうか?お金を払ってみるのは全くオススメ出来ません(笑)。
瀧本美織が可愛かったのがせめてもの救いです。でも水川あさみがエラ張り過ぎなのでプラマイゼロ(笑)。
出演者の方々にはお悔やみを申し上げます。

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