本日は新宿で二本観ました。一本目は
「フェーズ6」です。
評価:
– 炭酸の抜けたコーラ。ソバの無い広島焼き。牛丼つゆだく牛肉抜き。【あらすじ】
全世界が謎のウィルスに感染してほぼ死滅した世界。ブライアンとダニーの兄弟は、ガールフレンドのボビーとケイトを連れて4人でタートルビーチを目指していた。途中様々な人に会いながらも必死にビーチを目指す内、徐々に彼らは人間性を失っていく、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> 4人とフランク&ジョディ親子との出会い。
※第1ターニングポイント -> フランクとジョディを置き去りにする。
第2幕 -> ウィルスから逃げる4人。
※第2ターニングポイント -> ブライアンが感染する。
第3幕 -> ダニーとブライアン。
【感想】
さて、GWの最後は新宿で二本見てきました。一本目は「フェーズ6」です。
関東では「シネマスクエアとうきゅう」だけの公開ですが、その割には結構空いていました。レディーズデーだからなのか、ホラー映画にしては女性一人での来場もチラチラ見受けられまして、やはり若干とはいえ日本でもまだまだジャンル映画のニーズはありそうです。
本作を端的に表すならば「ゾンビの出て来ないゾンビ映画」です。まさに炭酸の抜けたコーラ。逆に言えば、ホラー映画が苦手だけどホラー映画の”フレーバー”だけちょっと味わいたいという微妙なニーズに応える映画です。微妙すぎる、、、。
本作は約90分の映画ですが、その間に起きる事は2つだけです。1つはひたすら「安息の地」に向けて必死に逃げるうちに段々と人間性を失って非道になっていく人間達の狂気の話。もう1つは全ての汚れ役を兄に押しつけて甘えていた弟・ダニーが、 遂に兄離れを果たして自立する話です。
そういった意味では、いわゆるゾンビ映画で起きる人間ドラマの部分は一通り網羅されています。唯一「恋人を助けるヒーロー」がありませんが、ミニマム規模だと考えればまぁ及第点でしょう。しかしですね、、、ゾンビ映画からゾンビを抜いてしまった結果、最も大事なドラマがごっそり抜け落ちてしまっているんです。
それは「襲われる恐怖」と「敵を倒すカタルシス」です。要は敵が出て来ないわけですんで、明確なカタルシスがまったく無いんです。
本作では「タートルビーチに着いてパンデミックが沈静化するまで待つ」のが最終ゴールとして設定されています。ただコレに根拠は全くありません。あくまでも記号としてしか使われていないんです。つまり本作の監督・脚本家は別に結末を描くつもりが無いんです。あくまでもその過程における「非人間的な行為」に対して、「そこまでして生き残る虚しさ」みたいなものを情緒的に表現しようとしています。
でもそれって本来ならばゾンビ映画の要素の一部分でしか無いわけです。ゾンビ映画の名作達がそれでも名作たりえるのは、その人間的な葛藤がありつつも一方で明確な「敵から逃げ、敵を倒す」というエンターテイメント的カタルシスがあるからです。本作ではそこがすっぽり抜け落ちてしまっているため、結果としてなんか微妙な「ホラー風味青春ロードムービー」になっています。
よく考えれば「ホラー風味青春ロードムービー」ってすんごいジャンルです(笑)。なんでも出来そうですよ。「ホラー風味青春スポコン映画」とか「ホラー風味青春ラブストーリー」とか(笑)。あ、それは「恋する幼虫」か。
もはや書いてて意味わかんないですが、肝心な所が抜けちゃったジャンルムービーってそりゃ一体誰がターゲットなんだって話しなわけで、、、それこそtwitterでちょっと書いたように、デートで怖くないお化け屋敷に入って予定調和的に「キャッ!」みたいな事しか用途が浮かびません、、、、、、微妙。
しかもぶっちゃけダブルデートしながらのロードムービーなのに全っ然恋愛要素が無いんですよ。若い男女が密閉空間の車の中で、しかも周りはほぼ人間全滅してるわけで、なんでそこで「アダムとイヴ」的な関係にならないのかさっぱり分かりません。ってかこのプロットをちょっと弄くれば、すくなくとも「アダムとイヴ」の人類創世(再生)の話にも出来るんですけど、、、、そこまではやらないか、、、そうか、、、、、微妙。
【まとめ】
なんといいますか、、、オタフクソースの無いたこ焼きというか、メンマの無いラーメンというか、ダシの無い味噌汁というか、、、、カタルシスな~んもないゾンビ抜きゾンビ映画というか、、、カルピスソーダ・カルピス抜きというか、、、、(以下略)。
ハッキリ言いましょう。
ツマンネ。
以上(笑)。完全に不完全燃焼です。宣伝は面白そうだったのに、、、、(涙)。
・
・
・
あ~レンタルでREC2借りてくれば良かった(笑)。