インデペンデンス・デイ: リサージェンス

インデペンデンス・デイ: リサージェンス

今日はいまさらですが

「インデペンデンス・デイ: リサージェンス」をみました。

評価:(62/100点) – いつまでも変わらない味。エメリッヒの味。


【あらすじ】

エイリアンの侵略から20年。人類はエイリアンの残した残骸からテクノロジーを研究し、再襲撃に備えていた。ちょうど20周年を迎えるアメリカ独立記念日を控え、月にエイリアンの宇宙船が現れる。一方、地上でも不可解な現象が起き始める。コンゴで壊れた宇宙船が突如再起動し、エイリアンにゆかりのある人々は共通するナゾの模様を夢に見ていた、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 月でのできごとと、アフリカのエイリアン船。
 ※第1ターニングポイント -> 巨大エイリアン船が攻めてくる
第2幕 -> 宇宙船破壊作戦と白い球
 ※第2ターニングポイント -> ジェイク達が宇宙船を脱出する。
第3幕 -> クイーンエイリアン破壊作戦


[スポンサーリンク]

【感想】

本日はいまさらではありますが「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」を見てきました。もうぼちぼち公開が終りそうになっており、今日も劇場はガラガラでした。1996年の「インデペンデンス・デイ」の続編で、監督もエメリッヒ、脚本もディーン・デヴリンと、まったく同じ布陣です。キャラクターも引き続き登場が多く、前作キャラの娘・息子も登場するなど完全にファンムービーに仕上がっています。

そういった意味では、劇中にもあるように、これは「インディペンデンス・デイ20周年記念」以上のものではありません。前作を見ていない場合には、まずそちらをチェックすることをおすすめします。

ファンムービーとしての続編:ほぼリメイク

「スカイライン -征服-(2010)」の時もちょろっと書きましたが、もともと前作「インディペンデンス・デイ」はいわゆる侵略SFというジャンル・ムービーです。そしてアメリカの9.11テロ前夜の、このジャンルが一番”調子に乗っていた”時期の代表作です。なんかよくわからんエイリアン達を大統領を筆頭にした”大正義アメリカ軍”が無邪気にぶち殺しまくり、退役軍人の”パイセン達”も青春を取り戻すように張り切り、ほんとうにお祭りとしての侵略SFです。これが9.11を境にジャンル自体が一気に暗く・重くなっていくわけです。「インディペンデンス・デイ」の続編を今あえて作ると聞いた時、もしやこんなのまで暗くなってしまうのではないかと一抹の不安がありました。

結果ですが、これ全然暗くないです。っていうか前作のテイストと全く一緒。キャラ達みんな楽しそう(笑)。「もう15年も経ったしそろそろ良くね?」みたいな開き直りに見えて、ちょっと安心しました。
ストーリーはほぼ前作と一緒です。なんかわからんエイリアンが急に来て、あぶないから米軍でぶちのめしちゃおうかなっていう、、、まぁいつものアレです。前作からの違いはとにかく宇宙船がデカいこと。ほぼ地球の1/4ぐらいを覆うほど大きく、単船でロンドンのビッグベンからシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズまでを覆い尽くします。そして今回もバリアを張ってきますのでお約束で単騎特攻もあります。前作のキャラ一人一人にちゃんと見せ場が用意され、ギャラの関係で死んだことになったウィル・スミス以外はほぼ勢揃いです(笑)。そういう意味で、本作はリメイクみたいなものであり、20周年記念続編ファンムービーとしては文句の無い構成です。

変わらない味。エメリッヒの味

さて、ここからが本題です。ローランド・エメリッヒという監督さん、みなさんはどんなイメージがあるでしょうか?一番多いのは「ディザスター・ムービーでいつも地球を壊してる人」っていうイメージでしょうか。個人的には「ユニバーサル・ソルジャー(1992)」と「スターゲイト(1994)」は小学生の時に見てかなり好きでした。
このエメリッヒという人はもう60歳なんですが、本当にいつ見ても、どの作品を見ても、おもいっきり作家性のある人です。というか滲み出てくる”味”があるんですね。その話をしたいと思います。

エメリッヒ作品を一言で表すと「大味バカ映画」です。

この人は毎回必ずとてつもないスペクタクル感を出してきます。すっごいでかい何かが出てきたり、ものすごい大げさなギミックがあったり、とにかく「ハッタリという名のサービス精神」が溢れすぎてるんです。今回は超巨大宇宙船にプラスして、そんなエイリアン達に対抗するための「全宇宙エイリアン対抗組合」みたいな存在まで出てきます。もうね、スケールがでかすぎます(笑)。ただの町内会じゃなくて「全宇宙エイリアン対抗組合」ですよ。聞いただけでも男心が疼きます(笑)。そして宇宙船は地球のコアに向かってレーザー削岩するんですね。格好いい!っていうかスケールでかっ!!!

ところが、こういった超大きなハッタリに対して実際に起きる事件というのは、「バスに乗り遅れたワンちゃんがエイリアンに踏まれちゃう!助けなきゃ!!」とか、「やばーい!出口がしまっちゃう!でなきゃ!!!」とか「エイリアンが来たぞ!水に潜って隠れろ!!!」とか「やばい、、、車がガス欠だ、、、」とか、とにかくショボい(笑)。そう、このギャップがエメリッヒなんですね。すごい風呂敷広げまくるくせに、やってることはドン引きするぐらい小さい事っていう。「地球の命運がかかってるんだから犬一匹ぐらいほっとけよ!」って思っても、ちゃーんと助けに行くんです。それも重大ハラハライベントとして(笑)。

さらに凄いのは、エメリッヒさん、細かい設定には全く興味がないんです(笑)。「地球に穴開けていったらマントル吹き出ちゃわね?」「宇宙船に無防備な出入り口がありすぎじゃね?」とかそういうのは全く興味ない(笑)。エメリッヒ映画はよく「ご都合主義がひどい」と言われることがあるんですが、ヘタすると本人は「ご都合主義」だと思ってない可能性があります(笑)。「2時間で収めなきゃいけないんだから細かいこと言うなよ~」「ほら、突撃!入った入った。おけーい」ぐらいの相当軽いノリで作ってます。

こういった「大味」な部分を微笑ましく見られるか本気で怒るかで、エメリッヒの評価はガラっと変わります。個人的には結構好きなんですが、さすがに今回はちょっとバカすぎるかな、、、と思うこともしばしば(笑)。

本作「インデペンデンス・デイ: リサージェンス」は、いつものエメリッヒに輪をかけて展開が雑で行き当たりばったりです。白い玉があんまり役に立たないとか、ラスボスのはずのクイーンエイリアンが急に特攻してきたりとか、そうこうしてたら捕まえたエイリアンが逃げちゃったりとか、イベントが急に来て急に解決するんですね(笑)。たぶんキャラをみんな活躍させようと思って詰め込みすぎちゃったんだと思いますが、詰め込んだ割には本筋の内容は全然無いな~とか本末転倒です。

【まとめ】

本作はあんまり評判がよろしくないようですが、私はむしろエメリッヒ節が全開すぎて微笑ましく見られました。よく言う「お酒を飲みながら盛り上がれるクソ映画」ってやつです。突っ込みどころしか無いので、知人と見に行って、終わった後にあれやこれやツッコミいれまくると楽しめるのではないでしょうか? 個人的にはかなり好きな作品です。

[スポンサーリンク]
記事の評価