土曜は手始めに
「マイティ・ソー」をみました。
評価:
– アベンジャーズの前振り第2弾!【あらすじ】
全知全能の神にしてアスガルドの王・オーディンの息子として生まれたソーは、その奔放な暴れっぷりから父にいまいち信用されていなかった。そんなソーに王位を譲ろうとするまさにその日、霜の巨人・ヨトゥンがアスガルドに侵入してくる。簡単に撃退したものの、怒りの収まらないソーはオーディンの制止を振り切って、仲間を引き連れてヨトゥンハイムに殴り込みをしてしまう。ついにオーディンの怒りに触れてしまったソーは、罰としてミッドガルド(人間界)へと追放されてしまう。
力を奪われて人間となったソーは天文学者のジェーンに拾われる、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> ヨトゥンの侵入とソーの殴り込み
※第1ターニングポイント -> ソーがミッドガルドに追放される。
第2幕 -> ムジョルニアとS.H.I.E.L.D.とロキの暗躍。
※第2ターニングポイント -> ロキがミッドガルドにガーディアンを送り込む。
第3幕 -> ロキの真の目的とソー。
【感想】
土曜の一本目は「マイティ・ソー」です。「雷神ソー」の名前で有名な古典的アメコミの実写化で、来年のアベンジャーズへの前振り第2弾です。アメコミものとしては劇場が7割ぐらい埋まっていましたので結構入っている方だと思います。
本作は非常に書きにくい作品です。というのも、単体の映画として見た場合、正直なところあんまり出来が良くないんですね。全体的に非常にあっさり話が進んでいきますし、そもそも前提として北欧神話の世界観がある程度分かってないときついです。何の説明も無しに「オーディンの眠り」みたいなネタが普通に登場しますから。
基本的には「やんちゃなマッチョ系神様のソーが地球に下りてきて人間的な心に触れることで思いやりを知る」という成長物語です。なんですが、いまいち盛り上がらないのはその決定的な成長の瞬間がショボイからです。ロキが「親父、死んじゃったよ」って言っただけで改心してしまいますから。それってミッドガルドがあんまり関係ないですし、あまりにも普通すぎてイマイチ成長した感じがありません。そして当たり前なんですが、さすが北欧神話最マッチョの雷神ソーだけあって、最強ハンマー・ムジョルニアを手にするとまったく敵がいません。楽勝で次々と敵を倒していきます。一番盛り上がるはずのソーの復活までに至るカタルシスがちょっと弱くて微妙な雰囲気になります。
一応原作のコミックではソーがミッドガルドに追放された際はドナルド・ブレイクという足の不自由な人間の姿にされるわけですが、本作ではマッチョなまんまで人間界に落とされるため、それはそれで問題無く活躍してしまいます。ここはかなり押しが弱くなっており、ソーがいまいち成長したように見えない原因になっています。
とまぁあんまりな感じなんですが、本作は単体の映画というよりは来年公開の「アベンジャーズ」への前振りなわけで、そう考えると突然面白くなってきます。本作でも相変わらず大ヒーロー本部「S.H,I.E.L.D.」が超常現象に目を付けて調査しに来ます。ここはアベンジャーズ系の前作「アイアンマン2」のエンドロール後にあったシーンから繋がるストーリーです。劇中では「政府系機関」としか語られませんが、アベンジャーズを心待ちにしているアメコミファンからすればS.H,I.E.L.D.の登場は「待ってました!」っていう展開なわけです。
でまぁハッキリといってしまえば、本作での「S.H,I.E.L.D.」の扱いを見れば明らかなように、本作は単体の映画として面白くする気よりはやはり「アベンジャーズ」のための顔見せの色合いが大変強くなっています。なので、多少つまらなかったとしてもそのアベンジャーズへの期待だけで結構ニヤニヤしながら見られてしまいます。ただ、やっぱりその変の事情が飲み込めている前提での映画ですので、アメコミファン以外にはちょっとオススメしづらいです。
もしアベンジャーズが良く分からないと言う方は、とりあえず「アイアンマン」「アイアンマン2」を先にレンタルDVDで見ておくと良いと思います。一応単体でも成立してはいますが、ネタとしてはアイアンマン2からの繋がりになっています。
ちなみに、予告を見る限りだとアベンジャーズ系の次作「キャプテン・アメリカ」は普通に第2次大戦中の話っぽいので、おそらく原作同様に「キャプテン・アメリカ」のラストで主人公スティーブが冷凍催眠に入って時代を超え、ここから一気に現代でトニー・スタークとソーとスティーブと超人ハルク・ブルース・バナーが連合を組む話に繋がっていくはずです。
あくまでも前振りではありますが、アメコミファンはとりあえず押さえておくべき作品だとおもいます。
それにしても、ここまで前振りを大々的にやりまくると「アベンジャーズ」のハードルはガンガン上がっていっていまかなりの所にあります。ジョス・ウェドン監督は大丈夫なんでしょうか? ウェドン監督がマーヴェルに追い込みを掛けられているようにしか見えませんw 「トイ・ストーリー」の脚本家ですので大丈夫だとは思うんですが、、、ちょっと心配になってきます。
ということで、来年のアベンジャーズへの気持ちとハードルを上げるために、とりあえず劇場に駆けつけましょう。オススメです。