2本目は
「大奥」です。
評価:
– ターゲット不明の下品で俗な男色アイドル映画。【あらすじ】
江戸時代、赤面疱瘡という疫病が蔓延し、男の数が激減してしまった。減った男に代わる形で女達が仕事をこなし、男達は”子ダネ”として売春するか婿入りをするのが習わしとなっていた。
水野祐之進は貧乏旗本に生まれ、剣術を習いながらのらりくらりと暮らしていた。もうすぐ二十歳になろうかという日、彼は家族に楽をさせるため大奥にあがる決意をする。そこは権力争いと男色が跋扈する世界だった、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> 祐之進とお信。
※第1ターニングポイント -> 祐之進が大奥にあがる。
第2幕 -> 大奥での生活。
※第2ターニングポイント -> 祐之進が吉宗に名前を聞かれる。
第3幕 -> ご内証の方。
【感想】
今日の二本目は「大奥」です。例のドラマの方ではなく、よしながふみのレディースコミックの映画化です。お客さんはほとんど入っておらず、20~30代ぐらいの女性が中心でした。
本作はあまりにもツッコミどころがありすぎて、たぶん指摘しきれません。大きな部分で言えば、そもそもテーマとして「男女逆転」がまったく活きていないという部分と、そもそもキャスト的に変という部分です。
ということで、ジャニーズのファンの方はいますぐブラウザを閉じてください。おそらくこれから書くことは、事実だと思いますが熱狂的なファンの方には厳しい内容になるかと思います。私は嵐には一切興味がありませんので好きでも嫌いでもありません。なので、いつも女性アイドルにやってるようなゲタ捌かせが出来ませんので(笑)、純粋に本作を見た感想になってしまいます。
まず主役が、、、。
え~いきなり最も危ない所に切り込んでいきますが、主演の二宮君があまりにも酷すぎます。っていうか何コレ? 二宮君へのいじめ? それくらい全く役が出来ておらず、本人の責任というよりはブッキングのミスだとおもいます。大奥内で並んだときに一人だけ背が低く物凄い猫背です。それは正座しているときも同じで、ひとりだけ裃(かみしも)が寝てるので変です。プラスで、冒頭に剣術の稽古(っていうよりチャンバラ)シーンがあって「師範代」と呼ばれるほどの腕のようなのですが、立ち回りが全く出来ていません。途中で関ジャニの大倉と戦うシーンがあるのですが、これは両者ともびっくりするほど下手でまったく達人同士の戦いに見えません。剣道を習って2週間目ぐらいで模擬演習をやらされたみたいな動きです。しかも入浴シーンで二宮君の上半身が映るのですが、腕にも胸にも筋肉がついていないため、剣術の稽古をしているようにすら見えません。
こういった肉体的な部分だけでなく、セリフのしゃべり方も完全にコントのそれです。むりやりべらんめぇ調にしようとして舌がもつれていたり、下手にドスを聞かせようとして変な発声やアゴ使いになっていたり、普通の時代劇ならどれもOKテイクになるはずが無いようなシーンばかりでビックリです。わりとこのキャラが作品全体を出来の悪いコントにしか見えないようにしています。
圧巻なのは、大奥内で皆がそろいもそろって二宮君を「美男子」と称するところです。これはファンの方でも異論が無いと思うのですが、二宮君は間違いなく美男子じゃないです。彼のアイドルとしての魅力は人の良さがにじみ出たような人なつっこい愛嬌でしょう? 決して「美形」を売りにしたアイドルではないはずです。どっちかというと松山ケンイチとかそっちよりの「格好良くはないけど良い感じの困り顔」です。それをそれこそ美形を売りにしたような大倉だの玉木だのが「美形」「美形」と褒めちぎるものですから、これは一種の褒め殺しというか、もう公開イジメにしか見えません。
祐之進は非常に粗暴な言動が目立つキャラクターですから、どう贔屓目にみても二宮君には合っていないですし、彼の魅力も殺す形になってしまっています。こんな無茶な役は断れば良かったのにと思わずにはいれません。
話運び。
本作の欠点その2は話運びです。これは本当にビックリするくらい適当です。本作は男女逆転した世界のはずですが、男女の逆転が世界に影響を及ぼしません。すなわち「男っぽい女」と「女っぽい男」が増えたっていうだけで、それの影響が全く出ていないんです。例えば、飛脚は女になっただけで普通に飛脚ですし、大工は女になっただけで普通に大工です。別にジェンダー論をぶつつもりはありませんが、女と男では肉体的にも思考回路的にも違いがあるのですから、男と女の数が逆転したからってそのまま役割が逆になるだけってわけはありません。力の弱い女性が大工になるならば当然力が弱いなりの工夫をしないと可笑しいんです。でも本作ではそこは一切考えられていません。あくまでも雰囲気として逆転しているように見えるだけです。
そもそもからして、女が「吉宗」だの「忠相」だのと男の名前を名乗ってること自体が変なんです。別に女を隠して居るわけではないのですから、男の名前を名乗る意味がまったく分かりません。
2003年からのTVドラマの大奥が面白かったのは、大奥という女だらけの舞台で嫉妬や嫌がらせといった「OLあるある話」を時代劇風にやって見せたからです。極端な話、男だらけで権力闘争になったら、OL的な嫉妬や嫌がらせじゃなく、もっと直接的な実力行使になるはずです。ですが、本作の男共はまるで中身が女性になってしまったかのように「OL的な嫉妬や嫌がらせ」をふんだんにやってきます。なので、本作をみていると大奥の男共がみんなオカマに見えてくるんです。別にオカマが悪いというわけではなくて、これではせっかく男女逆転したのに本末転倒だっていう事なんです。
挙げ句の果てには、廊下の影から「キャー!!!二宮くぅ~~~ん!!!」見たいな気色悪い仕草をする後輩達の描写があったりするんです。気持ち悪っ。
本作は宣伝上はイケメン軍団が売りにはなっていますが、誰がどう見てもキャラクターとして掘り下げ甲斐があるのは阿部サダヲだけです。彼はきちんと苦労人として描かれますが、他の連中はそのあたりが全く描かれないためです。
だから、ラストで嫌がらせをした連中が罰を受けたとしても全然カタルシスが生まれません。彼らの嫌がらせが低レベルすぎるため、映画的には本当にどうでもよく見えてしまうんです。
そして肝心の吉宗についても内面が一切描かれないため、ダミ声と相まって色気づいた中年ババァにしか見えません。(三十路前の女優にすみませんm(_ _)m )
結果として本作を見終わった後に残るのは、ただただ気持ち悪いという印象と、全編通して使われる品の無い下ネタの数々だけです。
【まとめ】
正直に言いまして、まったくターゲットの分からない作品でした。二宮君を見に行ったファンでもさくすがにこの演技や扱いを見ればガッカリするでしょうし、かと言って腐女子を狙い撃ちするようなBL的な「心と心の交流(←書いててキモイですがw)」展開もありません。あくまでも男色としての行為を匂わす程度です。そして時代劇としてはあまりにも軽すぎる立ち回りと台詞回し。これは誰が見ることを想定したのでしょうか?
まったくオススメできない作品でした。これを見るくらいならTVドラマ版の大奥をレンタルDVDで見た方が1億倍マシです。ということで、同じ「大奥」ならフジテレビドラマ版の「大奥」がオススメです!!!
はじめまして、テレビ録画してあまりにくだらないので耐えられなくなりこかへきました、求めていた酷評です。あー時間が勿体無い、残念な作品でした。
まったく同感です。
設定自体が穴だらけなんだから、せめて主役のリアリティは高めてほしかったです。
なぜ、この役が二宮君なのかが一番のナゾですが、裏に大人の事情があるにしろ、引き受けるのなら最低限の役作りはしてほしかったです。
役者としての評価がある人だけに残念です。
エンドロールで嵐の曲が流れたのは、「アイドル映画なんだから、勘弁して」って言い訳かなとまで深読みしたくなったほどでした。
初めまして。
いつも読ませてもらって、参考にさせていただいてます。
「大奥」は映画の日だったこともあり、公開初日に見に行ってきました。
原作を読んでいたために大体の設定は分かるんですが、
知らずに映画だけを見た人に 「さて、この世界観が理解できるのか?」と、
とても疑問に思いました。
男子の名を使っている理由もなく、赤面疱瘡についても不治の流行り病程度。
大奥の陰湿でどうしようもない暗さも、表面をなでたような薄っぺらさ…[絵文字:e-263]
吉宗の乗馬シーンや、城下のお忍びシーンは「暴れん坊将軍??」と、ついつっこみたくりましたΣ(ノ∀`o)ァチャ
それから、蔵之介さんと玉木さんのラブ(?)シーン…
二宮くんもさることながら、このキャスティングでは見たくなかった!!!!
そして、エンドロールの嵐の明るい歌声にとどめをさされたような気分になりました。
意外に「良かったねー」とハンカチを持った女性が多かったのにビックリしましたが…
原作では導入部になる1巻だけを映像化したらこんな感じなのかなとは思いますが、出来ることならせめて見ためだけでも原作に近付けて欲しかったです。
その中でも、ファンの間ではキャスティングミスと言われた阿部サダヲさんは、
やっぱりさすがでした。
ただ、原作を大切に思ってる方にはお勧めできませんね…[絵文字:e-263]