二本目は
「ラスト・ソルジャー」です。
評価:
– ジャッキーと王力宏のアイドル映画【あらすじ】
春秋戦国時代末期。鳳凰山の戦いで衛と梁の軍は互いに全滅した。しかし、死んだふりをして生き残った梁の兵が居た。彼はかろうじて息のある衛の将軍を捕虜として縛り上げ、故郷への帰路につく。しかし、将軍には謎の追っ手が迫っていた、、、。
【三幕構成】
第1幕 -> 鳳凰山の戦い
※第1ターニングポイント -> 将軍に追っ手が迫る。
第2幕 -> 梁への旅とならず者集団。
※第2ターニングポイント -> ならず者と追っ手が戦闘になる。
第3幕 -> 結末
【感想】
土曜の二本目は香港映画の「ラストソルジャー(大兵小将)」です。今年3本目のジャッキー映画ですが、全然お客さんが入っていませんでした。ダブル主演として台湾のアイドル・王力宏が捕虜となる将軍を演じています。
本作は、話の内容がかなり滅茶苦茶です。春秋戦国時代の七雄をモデルに架空の「梁」「衛(←こちらは名前だけは実在しますが別物です。)」の兵士の交流を通じて愛国心(望郷の念)と平和への希望を描いた、、、フリをしてジャッキーと王力宏のバディ感を楽しむアイドルムービーですw
ロクにキャラクターの名前も登場しませんし、「何故追われているのか?」や「そもそもならず者集団が何者なのか」も最後の最後まで良く分かりません。そして思わせぶりに登場する林鵬が演じる女性も、結局最後まで良く分かりません。でも、おそらく本作ではそういったストーリーは制作上もあまり重要視されていません。
本作で重要視されているのは、王力宏の格好良さとジャッキーの「達観したヘタレ感」のみです。ジャッキーは近作の「新宿インシデント」や「ベスト・キッド」を見てもわかるように、第一線のアクションスターから徐々に老獪なキャラクターへとイメージチェンジを図っています。
プロデューサにジャッキー自身がクレジットされているように、本作ではそのジャッキーのキャリアプランがより明確に出ています。すなわち、ジェット・リーやドニー・イェンという40代の次に続く若手アクションスターの育成です。
もっとも今回ダブル主演となっている王力宏は7~8年前に活躍した台湾を代表するアイドル歌手です。しかし、アクション要素のある作品はデビュー作の「SPY N」と鉄拳のパロディ作品「拳神」だけです。そしてアクション要素と言っても王力宏自身はそこまで動いていません。彼も台湾での人気はここ2~3年は落ちてきていますので、キャリア転換になると考えての出演だと思います。
こういった状況ですので、本作はジャッキーや王力宏のファン以外にはつらい物があります。なにせただただ二人が夫婦漫才をしながら逃げるだけですし、ジャッキーもファンサービスとして酔拳っぽい動きは見せてくれるもののそこまで本気のカンフーアクションをやっているわけではありません。あくまでも二人のスターの掛け合いを楽しむだけの映画です。
決して万人に勧められる内容の映画ではありませんが、ジャッキーのファンであれば間違いなく押さえておくべきですし、頭をカラッポにして笑いに行くには丁度良い湯加減ではあります。
ということで、オススメはオススメですが、「余力があれば」というレベルに留めておくぐらいのオススメ度です。