土曜は
「GANTZ PERFECT ANSWER」を見てきました。
評価:
– 名作の使い捨て、モッタイナ~イ。【あらすじ】
前作から数ヶ月後、玄野は多恵とともに死んだ加藤の弟の面倒を見ながら、着々とGANTZの得点を稼いでいた。そんなある日、玄野の元に死んだはずの加藤が現れる。時を同じくして打倒黒服星人のミッションではバトルフィールドが現実世界とリンクし、一般人に直接的な被害者が出てしまう。果たしてGANTZはどうなってしまうのか、、、?
【感想】
土曜日は劇場版GANTZの後編、「GANTZ PERFECT ANSWER」を見てきました。相変わらず中高生の女子を中心に物凄い人が入っていまして、客席は8割方は埋まっていました。これについては言いたいことは一杯あるのですが、とりあえず興行的には良い線に行っていると思います。製作費用もかかっているのでペイできるかは厳しそうですが(苦笑)。
本作の良い所:CG満載だけど十分に見応えがある剣劇アクション
後から不満をたくさん書きますので、まずは良かったところを挙げてしまいたいと思います。
本作で本当に良かった点は前作から大幅に改善したバトルシーンです。前作では引き金を引けば全てが片付く絶大な威力の「Xガン」しか武器がほぼ無かったため、バトルは「いつ引き金を引くか」というしょうもない引っ張りしかありませんでした。ところが本作ではXガンはほとんど使われず、ガンツソードが多用されます。これによって前作のテイストとは全く違うCGテンコ盛りの剣劇アクションが展開されます。たしかにCGを使ったワイヤーアクションもどきばっかりだったりカメラを揺らしすぎだったりはしますが、この剣劇アクションは本当に面白いです。特に序盤の地下鉄での黒服討伐ミッションでの水沢奈子vsGANTZ古参3人の対決はかなり良いクオリティです。
後半に行くと剣劇が減ってバトルシーンもかなり失速していくのですが、それでも偽加藤vs玄野&加藤でもそこそこ見られる瞬間もあるぐらいの感覚です。これに関しては、邦画の中ではかなり頑張っている方です。
本作の悪い所:剣劇アクション以外の全て
とまぁ一応褒めた上でなのですが、、、ハッキリ言って剣劇アクション以外はかなり厳しい事になっています。「剣劇以外」と言っているのは、つまり剣劇アクション以外のバトルシーンもがっかりポイントだという意味です。というか突っ込み所が多すぎます。
時系列で行きますと、まずはチビガンツの存在です。本作では冒頭でチビガンツが鮎川の元に届けられ、彼女がチビガンツからのミッションを遂行していく所から始まります。そしてそこをフックにして時間を戻して、そこに至る経緯を描いていきます。
本作では鮎川を使ってガンツ100点卒業生達を殺させることで、ガンツはガンツ部屋にOBを召還しようとします。そのターゲットとなるのが小林(メガネデブ)と中村(アフロ)と山本(女子高生)と多恵です。
ところが本作では多恵がガンツに召還される意味が分かりませんし、何の説明も何の伏線もありません。普通に考えれば多恵も100点卒業生なのですがそれに対するものがなにも無いので、後半のストーリーの流れが非常に理解しづらいです。
後半はガンツからの「小林多恵を倒せ」という緊急ミッションを巡るあれこれになります。このミッションはそもそも「チビガンツのミッションを偽加藤が完遂してしまうとガンツ部屋に来られてしまうから、ミッションを完遂できないように先に多恵を殺せ」というガンツの意志だという説明が作中にあります。ところが、チビガンツはあくまでもガンツのパシリみたいなもので、そもそもガンツの意志でOB集めをしていたはずです。「4人殺せというミッションなのに最後の一人を殺すだけで手柄になるのか?」という話しもありますし、「そもそも自分でだしたミッションなんだからミッション自体を無かったことにすればいいんじゃないか?」とか思いますが、やっぱり何の説明もないので良く分かりません。
実はここも含めて今回の作品では「GANTZ」の設定そのものが持っている変な所がかなり目立ってしまっています。例えば冒頭の黒服ミッション編です。GANTZの世界ではミッションが始まると異次元に迷い込んでターゲットの星人以外は誰もいない世界でバトルが行われます。ところが異次元で破壊された建物は現実でも実際に壊れます。これは前作でも何度か描写されています。
そうすると当然思うのは、「ミッションが始まる瞬間、ターゲットの星人はどうなるのか」です。ガンツの討伐メンバーは変な光で転送されますが星人もそうなのでしょうか? でもそんなあからさまなことになったら星人側に警戒をあたえてしまいます。前作でも星人とのファーストコンタクトで星人が「自分が狙われている」という明確な警戒を抱いている描写はありませんでした。
一方、地下鉄のシーンではその逆で異次元から現実に討伐メンバーが移動して、その直後に乗客が「何かのイベントかしら?」とつぶやく描写があります。人が急に現れたら「イベントかしら?」じゃすまないと思うのですが、これは現実側からはどういう風に見えていたんでしょう?本来こういう部分は気にしないで適当にスルーするべきなのですが、下手に「現実とリンクする」という展開にしたためにワケの分からないことになっています。
とはいえ、設定や描写の変さというのはそれ以外が良ければ勢いで何とかなったりします。例えば前述の地下鉄のシーン。普通地下鉄には緊急安全装置が付いてますし司令室から送電停止すると止まります。本作では運転手が殺されていますし、発砲事件になっているのですからすぐに止めてしかるべきです。また本作では前方の電車に追突もしないですし対向列車とすれ違うこともありません。明らかに変です。でもそんな細かいことは気にならないくらいアクションが良く出来ているため、こういった描写のおかしさはあまり気になりません。
特に後半につらくなっていく一番の理由は、作品に玄野と多恵のヌル~い恋愛要素が入り始めるからです。せっかく玄野が多恵を背負って逃げるという良いシーンなのに、途中で突然手を引いて走り出したり(※背負ってるときはガンツスーツのおかげで超速いですが、手を引いてるときは普通の人間の早さです。じゃないと多恵の腕がもげます。)いきなり甘ったるい愁嘆場を展開したりします。前編では西君がスーツのステルス機能を使う描写がありましたが、よりによって今回は追いかけっこの最中に誰一人ステルス機能を使いません。なによりシラケるのは、鈴木と多恵が二人で逃げる場面です。よりによってここのシークエンスでは、予想外に見つかったり画面の外から急に攻撃されたりする描写が一回もありません。かならず追っ手側は画面の向かって奥からゆっくりと現れ、鈴木達にXガンを向けながら警告します。さっさと撃てばいいのに、そして不意打ちすればいいのに、何故か一回もそういった行動は取りません。これは偽加藤にも言えます。偽加藤はかなりジェントルメンで、目の前でいちゃついているのを待ってくれたり、わざわざ多恵がすぐに死なないように急所をはずして3回も甘く切りつけたりしてくれます。あまりのジェントルメンぶりにちょっと涙が出てきました。アクビのせいですけど、、、。
そうなんです。相変わらず後半は安い泣き脅しの展開になってしまうんです。せっかく前半はアクションのテンポが良かったのに、後半はいつもどおり愁嘆場を演じて、いつもどおり致命傷を負ってるのになかなか死ななくて、いつもどおり都合の良い生き返り方をします。最終盤なんて銃弾の嵐で蜂の巣にされてるのに、加藤はピンピンしていて、玄野はハァハァいいながらも10分ぐらい雑談する余力があって、それなのに他のメンバーはみんな即死なんです。意味がまったく分かりません。主人公補正かかりすぎ。というか本来はここのシーンって玄野以外はみんな虫けらのようにあっさりと死なないと成立しないんです。そこで絶望するから自己犠牲に繋がるわけで、劇中だと別に玄野がそういう決断をする必要はなくて他のだれかでも良いんです。そもそも玄野って本当は死んでいてガンツに生かされている立場なんだから、最終盤の状況はマッチポンプになっておかしいでしょ。電池を入れ替える際には一瞬とはいえ電源が落ちるわけだから。
今回の作品では、「ガンツとは何だったのか?」とか「星人って何なのか?」という事に関しては全く触れられません。でもそれはOKです。「CUBE」シリーズが「CUBE ZERO」で設定を説明された途端にものすごいズッコケたように、おそらくガンツについても下手な説明があるくらいなら謎のままの方がSFとして遙かに面白いはずです。
ただ、「多恵が何故チビガンツに召還されたのか?」というようなストーリーの流れを把握するために絶対に必要な部分まで説明がないのは頂けません。あまりにもそういった細かい部分の整合性がとれていないため、とても難解でわけのわからないストーリーになってしまっています。(もちろんGANTZの大ファンなら描かれていない部分も汲み取って想像で補ってやることはできますけど、、、)
【まとめ】
とまぁグダグダとグチを書いてきましたが、前作を見た上で本作を見るかどうか悩んでいる方は間違いなく観た方が良いです。少なくとも漫画に囚われずに映画は映画でまとめるんだという制作者側のガッツは見ることが出来ますし、なにより前半の地下鉄バトルまでは本当に面白いです。
私は冒頭で「中高生の女子が一杯入っていることに言いたいことがある」と書きましたが、たぶん一番の微妙な点はここだと思うんです。GANTZの話しは本来的には「魔物狩り」の話しであり、それってグロい描写と相まって非常にアクション色やカルトSF色・モンスター映画色が強い作品なんです。だから当然それは男の子向けなワケです。本作は主演と準主演に二宮和也と松山ケンイチというあんまり演技の上手く無いアイドルを起用することで、女性向けなマーケティングに寄らざるを得なくなったように思います。結果、話しの本筋に全く関係無い薄っぺらい恋愛要素が入ってきて、それがせっかくのアクションシーンのテンポを壊滅的に破壊していきます。そうすると残るのはいつものテレビ屋映画、大袈裟でテンポが悪い愁嘆場の連続になってしまいます。
せっかく作って貰ってなんですが、多分GANTZの映画化はVシネのように限られた予算でアクションに徹した方が良い出来になったと思います。そういった意味では惜しい作品でした。
とりあえずしばらくは劇場で掛かっていると思いますので、迷っている方はゴールデンウィークの合間にでも暇つぶしで見てみて下さい。前半は結構テンション上がります。オススメします。
地下鉄のシーンでは、討伐メンバーが転送された後に乗客たちが乗ってきたように思えたのですが。
私的にわ凄く面白かったです。スリル満点でグロいところが好き。ニノもカッコ良かった!!
はじめまして。
感想面白かったです。
地下鉄の場面は、玄野が窓の外へ頭を叩き出されて、黒服に銃をつきつけられているときに、たしか対向列車が来てたはずです。玄野は必死で頭上げてかわしてました。
にしても、スピード上がってるのに、前に追突しないのはおかしいですね……
私が思っていることを淡々といってくれてありがとうです^^
GANTZは正直ひっそりと人気になってた方がよかったかもしれません。
もしかしたらGANTZマイナスも映画化するかな?
そしたらハリウッドで作ってくれたほうが絶対面白いはずです^^
まぁドラゴンボールみたいになったらドンマイということで・・・・・
GANTZメンバーが地下鉄車内に転送されたときは、車庫から入ってくる人が乗ってない電車だったと思うけど。その後駅に止まって黒服星人含め一般人が乗ってきたよね?
そこ間違ってますよ
ひとつ言いたいのは、
ミッションが行われる際は異次元ではなく、
ハンター全員に、ステルス機能とは別に一般人に見えなくなっています。
GANTZ PERFECT ANSWERではガンツに異変が生じて一般人にも視認できるようになってしまっています。(公式設定)