ミックマック

ミックマック

木曜の秋分の日は

ミックマック」を見てきました。

評価:(90/100点) – 弱者達の痛快復讐劇


【あらすじ】

レンタルビデオ店で働くバジルは、夜勤中に銃撃戦に巻き込まれ頭に銃弾を受けてしまう。一命は取り留めたものの頭に銃弾が残ってしまい余命短く、さらには入院中に職や家までも失ってしまう。ホームレス同然に身を落とし街頭パフォーマンスで飢えをしのいでいたバジルは、ある日プラカールに声を掛けられ屑鉄回収を行う集団「タイアー・ライオット(=超・暴走)」に招かれる。
廃品回収から帰る途中、彼は父を殺した地雷製造会社と自分の頭に残った銃弾の製造会社を見つける。バジルは、両社の社長に復讐を決意する、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> バジルが銃弾を受ける。
 ※第1ターニングポイント -> バジルがタイアー・ライオットに加入する。
第2幕 -> バジルの復讐
 ※第2ターニングポイント -> バジルが捕まる。
第3幕 -> ドッキリ。


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【感想】

今週の木曜日はジャン・ピエール・ジュネ監督の最新作「ミックマック」です。個人的にはジュネ監督というと「エイリアン4」なんですが、世間的には「アメリ」の方が有名なようで、非常に”おしゃれ系”なカップルやら女の子達が目立ちました。ただ、公開規模にしてはそこまではお客さんは入っていなかったように思います。
本作は”おしゃれな雰囲気”を徹底的にまぶしつつも、しかし決定的に「負け犬達のスパイ大作戦」です。フランスの原題は「Micmacs a tire-larigot」ですので、忠実に訳すと「超・暴走☆ドッキリ大作戦」って感じでしょうか。
文字通り、本作では一癖も二癖もある社会的弱者・屑鉄回収の仲間達が、自身の特技(?)を活かしつつ、金持ちでイケ好かない兵器会社の社長をハメていきます。「そもそも兵器は道具なんだから恨むなら実際に使った奴を恨め」とか、「社長は別に悪くないだろ」とか思うところはあるんですが、そこさえ気にならなければ本作は大変面白い痛快娯楽作になってくれると思います。

本作で引っ掛かる所

もし本作を見てイマイチ乗り切れない人が居るとすれば、引っ掛かる部分はおそらく2カ所です。
1つはジュネ監督のトレードマークである「気の利いた(と彼が思っている)」スカした演出です。全体を覆うセピア調の色彩であったり、肩舐めや急なパンによる限りなく欧風コミック調なカット割りであったり、いかにも「ほら、オシャレですよ~♪」っていう監督の自意識が炸裂しています。ただ本作の場合、中島監督の「告白」のように意味も無く効果を詰め込んでいるわけでは無く、きちんと物語や登場人物の心象を反映した理由のある演出になっています。ですので、こちらはそこまで目くじらを立てるほどでは無いかなと思います。
もう1つは、このストーリーを「反戦メッセージ」として受け取った場合の反感です。中盤までは単純な復讐劇として見ることが出来るのですが、最終盤で思いっきり中東問題風味の部分が出てくるために引っかかりが生まれやすくなっています。
はっきり言って、バジル率いる暴走チームも相当酷い事をやっています。それはもうほとんど言いがかりで社屋を爆破しているシーンまであります。演出上で被害者が出ている描写はないですが、あきらかに数十人単位で死傷者がでてもおかしくないことを平気でやってきます。ですので本作で「反戦メッセージ」を受け取ってしまうと、「おまえらこそ酷い事しまくってるのに何言ってるの?」という反感は絶対に生まれます。ここは非常に微妙な所でして、上にも書いた「そもそも兵器会社は倫理的に悪いのか」というアイアンマンにもある問題に繋がってしまいます。「兵器会社は所詮道具を作ってるだけだから善悪は使う人次第」と思えばバジルの復讐は完全に言いがかりですし、「とはいえ兵器会社はもっぱら殺人の道具を作るんだからやっぱり悪」と思えばバジルは正当な理由で正義を実行していることになります。ここはもう観客個々人で意見も反応も分かれてしまうと思います。

【まとめ】

痛快チーム復讐劇として大変愉快な作品ではありますが、一方で道徳的・倫理的に微妙な部分もある作品です。チームものとして見ることができれば今年屈指の快作になりますが、倫理的に躓いてしまうと評価は相当低くなると思います。ですが、良くも悪くも(見終わった後の語りも含めて)楽しめる作品ではありますので、是非是非劇場でご覧ください。結構オススメです!!

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記事の評価

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ミックマック」への1件のフィードバック

  1. 社屋を爆発させたのはバジル達ではなく、ライバル会社の奴ですよー。
    ライバル会社の奴が、黒人夫婦を脅して、ミサイルを作る機械に細工させるんです。
    まぁバジル達がきっかけを作ってしまったとは言えますが。

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