3D映画の方式について

3D映画の方式について

※このポストの内容は2009年冬時点のものであり、かなり古いです。ご注意ください。

~も。休日出勤でアバターに行けて無い、きゅうべいです。
とはいえ暇なんで、、、仕事サボってこんな駄文を書いてみます(笑
個人的にはそんなのはどうでもいいんでアバター観たいw
ふと先月の当ブログのgoogle検索を見ていたら、3D映画の方式を検索して訪問いただいている方が多いようでちょっと驚きました。
ということで、ニーズに応えるのがブログの本懐。3D方式について、ざっとまとめてみたいと思います。
ちょっとだけ技術的な話が絡みますので、技術はいいから選び方だけ知りたいという方は下部の「★ 3Dシアター選びのオススメ」に飛んでください。
ちなみに私は、今から説明する某方式にちょっとだけ絡んでいます。でもご安心ください。これから説明するのは完全に一個人としての意見です。まったく営業的なことは書いていません。

※ なお以下の文では、物理的な映画館(シネコン)を「映画館」、シネコン内の各部屋を「シアター」と呼称してます。

★ XpanDとRealDとDolby3D

現在、3D映画の主流方式は「XpanD」「Real D」「Dolby 3D」の3種類です。これプラス、東急109シネマズ全国3館のみあるIMAXシアターで「IMAX 3D」が見られます。
ちょっと「IMAX 3D」は特殊なケースですので、まずは前3方式について考えてみましょう。

XpanDとRealDとDolby3D

皆さんお手元のパソコンでご近所のシネコンの上映スケジュールを見てみてください。そうするとXpanDとRealDが多いことに気づくと思います。主に109シネマズ系列およびTOHOシネマズでXpanD、ワーナーマイカルシネマズ系列でRealD、ティ・ジョイ系列でDolby3Dが採用されています。ティ・ジョイ系列は関西に多いので関東の人には「新宿バルト9」といった方が良いかも知れません。余談ですが、バルト9は日本で屈指の良い映画館です。
シネコンのネームバリューで察しが付くかも知れませんが、普及率で言えばXpanDが圧倒的で、対抗馬がRealD、遠く離れてDolby3Dが追っています。ただしハッキリ言ってDolby3Dはシェアが遠すぎますので、実質的にはXpanDとRealDが一騎討ちをしている状況です。
さてこの方式の違いですが、皆さんの興味は「どうやって立体的に見せているか」、そしてその影響で「観客・映画館にとってどっちが良いか?」に絞られると思います。
技術的な細かい所は省略しますが、ざっくりと説明すると以下のような特徴があります。

●XpanD方式

この方式のメガネは大きくて重いのが特徴です。実際メガネには電池が内蔵されていまして、ちょうど鼻パッドの上に四角く黒い窓が付いています。テレビのリモコンと同じ原理を使っていまして、スクリーン側に設置された発信器より超高速でタイミング信号が発信されています。これを受けたメガネがやはり超高速で右目と左目を交互に、黒くしています。イメージ的には片目閉じを高速でやってる状態です。「右目→左目→右目→左目→、、、」と続けることで右目と左目に別角度の映像を見せて立体視させます。
この方式の利点は、比較的色合いが良く見えるのと、シアター内の席の角度に影響を受けにくいことです。一方でメガネが大きく重いため、普段から近視・遠視でメガネを使っている人には少々キツイものがあります。
また、これはおまけ的ですが映画館側にも負担がかかります。それはメガネと同期する「リモコン用のプロジェクタ」設備を新たに導入する必要があるためです。
ただし、プロジェクタを動かすことはできるため、シネコンに一台あれば、シアター間を移動させることはできます。

●RealD方式

この方式のメガネはちゃちで使い捨てです。ワーナーマイカルシネマズですとお客さんに配っていますので、家に持って帰れます。この方式は円偏光という光の屈折を利用していまして、メガネは単純に偏光板が付いているだけの激安品です。このメガネで右目用と左目用に別の偏光板を使っているために、違う映像が見えて立体視が出来ます。
この方式の利点はなんと言ってもメガネのコストが安いことです。またXpanDのような特殊なプロジェクタ設備が必要ありません。ただし、スクリーンだけは「シルバースクリーン」という反射率の高い綺麗なスクリーンを設置する必要があります。このため、RealDを採用する場合、シネコン内の特定のシアターが「3D用」になります。別に2D映画でもシルバースクリーンに映りますが、3D映画はそこだけでしか上映出来なくなります。
一方で観客側にはあんまり利点はありません。画面は比較的暗めですし、なんと言っても色調がだいぶ落ちてしまいます。なので色あせたグレーっぽい映像になってしまいます。さらに、光の屈折を使う関係上、シアターの端っこの席で見た場合、上手に3D映像になってくれません。壊れたテレビのように二重に見えてしまいます。
利点を挙げるとするならば、比較的大きなスクリーンを使えることと、ちゃちなメガネが功を奏して普段からメガネを使用している人でも「重ね掛け」が容易なことです。あとはメガネが軽いので小さいお子さんに向いてるというぐらいでしょうか?
いずれにせよ、本方式で観賞する際は出来るだけシアターの真ん中の席で、しかも真ん中・前よりで見るのがオススメです。逆に言うと一番後ろの端っこで見てしまうと、下手すれば映像が上手く見えない可能性もあります。

●Dolby3D方式

最後にDolby3D方式ですが、この方式はXpanDにかなり近い方式をとっています。色調が高速で切り替わる映像を使って、デジタルプロジェクタで映します。メガネには電池が入っていて、XpanDと同様にリモコンの要領で高速切り替えをします(←2010/01/07訂正:誤りです。切り替えではなく左右違う色調フィルタを使った画像の分離を行っています)。特徴もXpanDと同じなのですが、違いは色調の損失が少ないことと大きなスクリーンにも映せることです。ただし、映画館に設備投資で負担が掛かりますので、いまいち日本では普及していません。

IMAX 3D

さて、方式の紹介の最後に、IMAX 3Dを入れておきましょう。IMAXはいわずもがなの「IMAX社」の専用シアターでのみかけることの出来るものです。こちらの概要はRealDとほぼ同じです。ただし、IMAXという設備自体に大きな特徴がありまして、音響が良く大音量で、映像明度が高く(明るい)、IMAX専用のフィルム(いわゆるディレクターズカット版)を使用します。よって3Dの方式としては向かうところ敵なし、すくなくとも現状では観客視点ではベストチョイスです。しかし難点もありまして、単純に映画館がIMAX社と結ぶライセンス料が高すぎることと、そのせいで一般入場料も高いことです。昔はいくつか大きなIMAXシアターがあったんですが、ライセンスの問題で皆が撤退してしまいまして、気付いたら109シネマズしかありません。
ですが、先ほどの「IMAX専用フィルム」というところが決め手で、私はよく109シネマズ川崎のIMAXシアターに通っています。要はIMAXでしか流れないシーンがあったりするので、いかざるを得ないわけです。また、メガネがゴーグルのような形をしているため、近眼メガネとの重ね掛けが容易です。近眼の私にはうれしい仕様です。

★ 3Dシアター選びのオススメ

さて、いよいよ肝心の選び方です。ここからは「方式とか言われても良くわかんな~い♥」という方に質問形式でオススメします。

Q1: 3D映画を出来るだけ安く見たい

もしあなたがレイトショーでも構わなければ、TOHOシネマズのXpanDに行きましょう。3D映画はレイトショー割引がないところが多いですが、TOHOシネマズはレイト割引が適用されるため他の映画館よりも安く見ることが出来ます。

Q2: とにかく良い環境で見たい!

あくまでも個人的な意見ですが、映像の美しさor見やすさでいえば

  1. IMAX
  2. 大スクリーンのXpanDでかつ真ん中の席
  3. 大スクリーンのRealDでかつ真ん中の席
  4. 大スクリーンのXpanDでかつ端っこの席
  5. 小スクリーンのXpanD(場所問わず)
  6. 小スクリーンのRealDでかつ真ん中の席
  7. 小スクリーンのRealDで端っこの席
  8. 大スクリーンのRealDで端っこの席

といった状況です。
ただし、メガネをかけている方は注意を!!! Q3を参考にしてください!!!

Q3: 普段からメガネを使ってるんですが、3Dメガネってかけられますか?

あなたがお使いのメガネが「鼻パッドの低いセルメガネ」であれば、どの方式でも問題なくかけることが出来ます。ただし、金属フレームのメガネや、大きめの縁のベッコウ・メガネみたいな物をかけている場合、まず「Real D」と「IMAX 3D」以外のメガネは掛けられないと思ってください。行ったことが無い方には想像しづらいほど、XpanDやDolby 3Dのメガネは分厚くて大きいです。どうしてもXpanDを体験したい方は、コンタクトレンズかセルメガネを用意しましょう。
私は普段はチタンフレームを掛けていますがXpanDの時だけセルメガネを掛けています。

Q4: 子供を連れて見に行きたいんですが、どれが良いでしょう?

これは非常に難しい問題です。RealDには子供用の小さいメガネが存在していますが、日本ではほとんど採用されていません。(2010/01/07追記:ワーナーマイカル系列では子供用メガネの貸出を行っている施設があるようです)またXpanDやDolby3Dの場合、おそらく頭の大きさが合わずにずり落ちてきてしまいます。最悪の場合、ずっと手でメガネを押さえている必要があります。これは痩せている大人の女性にも言えることです。頭の大きさばっかりはどうしようもありません。強いて言えばメガネが軽くてずり落ちにくいRealDでしょうか?
また、特にお子さんがメガネを掛けている場合、ハッキリ言って快適に見られる環境はありません。この場合はXpanD方式でシアターの前寄りに座りましょう。少し見上げる位置ならば、メガネの重さも手伝ってずり落ちにくくなります。
苦肉の策として、スポーツ用品店で売っているテニスなんかでよく見るヘアバンドを使う方法があります。映画を見てる時だけならば見た目もあんまり気になりませんから、是非検討してみてください。

Q5: 日本語吹き替えと字幕

これは個人の趣味ですが、、、私は字幕の方が好きです。ただしRealD方式で字幕だった場合、チラつきで船酔いしてしまうケースがあります。3Dで字幕映画を見る場合は極力IMAXか大きめのXpanDで見ることをオススメします。

★ まとめ

どの方式も一長一短があってなかなか断言はしづらいのですが、やはりシェア通りXpanDの方がRealDよりも優位点が多いと思います。
いずれにせよ、3D映画は今のところ映画館だけの貴重な体験ですから、是非見て体感してください。
そのうち家庭のテレビでも3D映画が見られるようになって欲しいですね。頑張ります(笑。

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3D映画の方式について」への32件のフィードバック

  1. 管理人さま
    始めまして。
    私、「アバター」主役サム・ワーシントンのファンサイトを運営しておりますdovescookiesと申します。
    弊ブログ宛てに、3D方式についての問い合わせが相次ぎ、google検索したところ素晴らしいブログに出会い、拝読させて頂きました。
    もしお差支えなければ、こちらのブログさまのご紹介をさせていただいてもよろしいでしょうか?
    もし、それは・・・というお考えでしたら、どうぞご放念くださいませ。
    ご検討いただければ幸いです。
    よろしくお願い申し上げます。
    個人的にもとても勉強になりました!ありがとうございました!

  2. こんにちは!
    興味深く拝見しました。
    >IMAX専用のフィルム
    IMAX DIGITALはご存じのとおりで全デジタルデータなので“フィルム”と書くと誤解を招く恐れがあるかも…。明度は特別明るいとは自分は思いませんでした。

  3. 「アバター」を4つの方式で観比べてみました。
    XPanDは眼鏡が重い上、映像が最も暗く最悪。
    iMAXは文句なしのトップでした。
    iMAX以外の3方式の中なら、RealDがオススメです。

  4. XpanD方式と RealD方式両方(映画の題は違う)見ましたが、XpanD方式はRealD方式よりかなり暗いと感じました。それにあのメガネの重さは致命的な欠点だと思います。改良しても原理的に極端に軽くは出来無いでしょうし。また、画質的にもRealD方式より特に優れているようには思われなかったです。SONYがテレビ用にRealD方式を採用したのもうなずけます。

  5. どの方式も両眼視が前提ですよね?
    方目でも3Dに見える方式は今のところ存在しないのかな。

  6. >きゅうべいさん
    お返事ありがとうございます。
    Dolby 3Dでも大きなスクリーンで上映出来るのですね。
    ただこれ以上、日本ではDolby 3Dの普及は厳しそうですね。
    アバターのフッテージ(20分)はIMAX川崎で観たので、
    今回はあえてDolby 3Dの小さなスクリーンでも観てみたいと思います。

  7. >通りすがりさん
    ツッコミありがとうございます。きゅうべいです。
    スクリーンサイズについてはおっしゃるとおりで、日本では大きいDolby3Dのスクリーンはありません。
    これですが技術的な問題って言うよりDolbyとの契約金と設備投資の話です。
    もうちょい日本で普及すれば大きいスクリーンでやろうって所も出てくると思いますが、何分日本では類似のXPanDが先に普及しちゃったので、、、あんま出てこないかと思います。
    http://investor.dolby.com/releasedetail.cfm?releaseid=374143
    これは新開発のツインプロジェクターを使って20mを越えるスクリーンで映写したというニュースです。
    今年の6月に日本でも公開してたディズニーの「ジョナス・ブラザーズ ザ・コンサート 3D」をマルコ・テアトル系列(アメリカで4番手のシネコン)の大きいスクリーンで上映したというプレスリリースです。

  8. >特徴もXPanDと同じなのですが、違いは大きなスクリーンにも映せることです。
    Dolby 3Dのスクリーンサイズは12m以下の制限があり、
    XPanDより小さくスクリーンでしか運用されていないと思いますが…。
    例えば、T・ジョイ系の新宿バルト9では以下です。
    ・小さいスクリーンはDolby 3D
    ・大きいスクリーンはXpanD

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