恋とニュースのつくり方

恋とニュースのつくり方

今日の2本目は

恋とニュースのつくり方」です。

評価:(12/100点) – (自称)負け犬天才美女がみんなにチヤホヤされる話。


【あらすじ】

28歳彼氏無し。ベッキー・フルラーは仕事一筋で生きてきた。しかし地方TV局の緊縮財政の折、ベッキーはリストラされてしまう。それでも夢を追うベッキーは全国局に履歴書を送りまくる。
彼女の新しい仕事は40年以上続いた老舗の全国ネット早朝番組「デイブレイク」のエクゼクティブ・プロデューサー。しかし番組は視聴率が低迷し打ち切りの危機に瀕していた、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ベッキーのリストラと新しい仕事。
 ※第1ターニングポイント -> プロデューサー業開始。
第2幕 -> マイクへの懐柔と視聴率獲得作戦。
 ※第2ターニングポイント -> 「デイブレイク」が打ち切りの危機を脱する。
第3幕 -> ベッキーへのオファー。


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【感想】

今日の2本目は「恋とニュースのつくり方」です。「”プラダを着た悪魔”の脚本家」「”ノッティングヒルの恋人”の監督」という宣伝をしているように、配給としては完全にOLに狙いを絞っている、、、、はずなんですが、観客は少々の女子高生と年配の女性のみでした。400人の箱で20人も入っていませんから、初日としては相当マズい感じです。
ちなみに、公式Twitterへのリツイートで褒めてくれた人にオリジナルグッズプレゼントとか、ブログで褒めてくれた人にオリジナルグッズプレゼントとか、作品同様に腐った性根のキャンペーンをやっています。
ですが、私はそんな物で懐柔なんぞされません。甘い!!!!!
レイチェル・マクアダムスの自筆サインポスタープレゼントでも絶対無理。ハリソン・フォードとのディナーにご招待でギリギリ懐柔できるぐらいの作品の出来です。プライベートのハリソン・フォードに突撃して「F○ck Off!!」と叫ばれるという「ブルーノごっこにご招待」なら絶賛してみせますけどねw
とまぁおふざけは置いておきまして、本作で何がショックだったかというと、これはもう「誰かが私にキスをした」レベルの調子こいた万能美女の話をハリウッドメイクで見せられるということに他ありません。本作は「恋に仕事に頑張る冴えない女の子の話」みたいな雰囲気を被った「天才で、美人で、イケメン・エリートの彼氏がいて、誰からもチヤホヤしてもらえる女性の話」です。これを見た本当に冴えないOLの方々は激怒して良いレベルです。
だって、本作ではベッキーが努力するという直接的な描写が一切ないんです。彼氏の家にお泊まりしながらも夜中にニュース番組をチェックしたりする描写はあるんですが、そもそも彼女の受け持つ「デイブレイク」は報道番組ではなく情報番組ですし、直接この勉強が役に立つ場面が一切ありません。なにせ彼女が視聴率を立て直す切り札は「デイブレイク」を下世話なバラエティーにすることなんですから。でも、それってどうなんでしょう? 下世話な番組にしたらすぐに視聴率がV字回復するってちょっとTV視聴者を舐め過ぎじゃないですか? 早い話、本作ではベッキーは最初から最後まで、超優秀で人当たりも良くていろんな男性が声を掛けて好意を寄せてくれる完璧人間なんです。そんな完璧人間が個性的なキャスター2人を懐柔する話しなんです。
私、実は「プラダを着た悪魔」は大好きです。今でもちょくちょくDVDで見返すぐらい好きです。アン・ハサウェイとメリル・ストリープが大好きだというのも多分にあるんですが(苦笑)、あの映画ではきちんとアンディが「上司の無茶振りに根性で耐える」という「修行シーン」があったんです。ところが、本作では同じ脚本家が書いたとは思えないほど、主役のベッキーは最初から才能を持っているんです。それは開始直後の「デイブレイクのプロデューサ就任初の事前ミーテイング」ですぐに発揮されます。聖徳太子よろしく一斉に発せられる複数の要望をすべて完璧に裁いて見せるんです。しかも最後には余裕のアメリカン・ジョークまで付けてきます。この時点でどっちらけです。こいつはもう我々とは違う世界の天才なんだと。これは「冴えない女」では断じてないと。そう思ってしまうわけです。そうすると、後はもう感情移入も応援もすることなく客観的に天才の天才的でイケイケな行動を死んだ目で見るしかないんです。
本作にはテレビ業界特有の苦労や過酷な労働条件で働く女性の苦労は語られません。あくまでも記号としてのTV業界です。
なんか全体的に作り手の愛情や熱意が伝わらない作品でした。別に調子に乗っている天才の話ならそれはそれで良いんですが、だったら天才なりの苦労とか、天才だけどブチ当たる壁とか、そういった物を設定して欲しかったです。なんの障害もなくスルスルと実績を上げて行くベッキーを見て、本当に心底どうでも良いと思ってしまいました。
OLの方には一切オススメしません。もし「自分は天才なのに周りが分かってくれないから不当な扱いを受けている」と日頃から思っている方には、是非見て欲しい作品です。そんな方にはオススメします!!!

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ヒア アフター

ヒア アフター

二本目は

ヒア アフター」です。

評価:(85/100点) – すごい混ぜ方のオカルト・ヒューマンドラマ。


【あらすじ】

ジョージは子供の頃に病気で生死を彷徨ってから、死者と対話できる能力を身につけた。しかし医者からは精神病患者と見られ、他人からは気味悪がれてしまいまともな生活を送れない。ジョージは霊能力者として生計を立てていたが、その能力を隠して普通の人間として生活することを決める。
一方、フランスの人気ニュースキャスター・マリーはプロデューサーの恋人との旅行中に大津波に遭って生死の縁を彷徨う。彼女はその時あの世を一瞬垣間見たように思い、それが気になって仕事に身が入らなくなってしまう。
時を同じくして、イギリスでは双子の兄を事故で亡くしたマーカス少年が、もう一度兄と対話をするため霊能力者を捜していた、、、。


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【感想】

本日の二本目は「ヒア アフター」です。本国では昨年の10月公開作品で、4ヶ月遅れで日本上陸です。老いてますます盛んなクリント・イーストウッドの最新作です。とはいえ、正直そこまでお客さんは入っていませんでした。予告でおもいっきりオカルトな面を見せているので、そこが敬遠されてしまったのでしょうか?
いきなりですが、本作はアメリカではあまり評判が良くないようです。ざっとrotten tomatoを見た感じですと、「死についてちゃんと書いていない」とか「意外な事がないから眠い」とか結構散々ですw ですが私は結構好きです。雰囲気映画は雰囲気映画ですし、前述の批判はもっともだとは思いますけどねw
本作は3つの話がまったく別々に展開していきます。一つは本物の霊能力者でありながらそれを呪いだと思って普通の生活に戻りたがる男の物語。これは永遠のとっちゃん坊やマット・デイモンが得意とするタレ目の困り顔で好演しています。霊能者としての苦悩については、正直私達一般人にはどうでも良い話題なので(苦笑)、そこについてどうこうはありません。ただ、本作ではその「霊能力者としての苦悩」を「他人の事がわかりすぎてしまう男」「社会の中で疎外感を感じている男」という一般論に落としてきます。そこがとても素晴らしいです。特に中盤でてくるメラニーとのロマンス未満の理不尽な感じは「あるあるネタ」として私のようなダメ人間にはど真ん中に来ます。
「映画好きなんでしょ?」「いや好きだけど、変なのばっかり好きなのよね」「何が一番好き?」「あー。ショーシャンクの空にとかかな(←好きでもないのに無難な線を言う)」「じゃあこんど家のDVD見せてよ。」<家に来てゾンビ映画やらカンフー映画やらB級輸入DVDの棚を見られる>「あ、、、(絶句andドン引き)こういうの好きなの?」「まぁ嫌いじゃないかな、、、。」<そしてこの後映画の話題に触れられなくなる。>
Noooooo!!!!!!!!!!!!! あるある。超あるある。人生で3回くらいあるw そう、コレが霊能力に変われば本作のマット・デイモンパートのできあがりです。さすがイーストウッド!!!!
2つ目は不倫中のニュース・キャスターの話です。彼女はあの世を一瞬見た事でその光景に取り付かれてしまいどんどん惹かれていきます。こちらはやはりオカルト的な話についての世間の冷たい目を表現している、、、ように見えますが、こちらも一般論としての「私の言うことをちゃんと聞いてくれない彼」の話に落とし込めますw 「スペル(2009)」では主人公のクリスティンが何度「呪われた」と訴えても取り合ってくれなかった彼氏・クレイが「最後はちょっとだけ話を聞いてくれて、でも理解はしてくれない」という線に落とすわけですが、本作では全然理解してくれません。それどころか本作の彼氏は「なんだこいつ?イカれた?」みたいな感じで新しい女を作って捨てやがります。そこに「自分と同じ体験をした(=趣味を持つ)男」が現れて理解してくれるわけです。言うなれば「オタク結婚のススメ」。やっぱそうだよね。うんうん。それしかない。ゾンビ映画やカンフー映画が好きで、筋肉少女帯のアルバムを全部聞いてて、家に「かってに改蔵」が全巻そろってる女性じゃなきゃだめだよね。うんうん。わかるよ。わかる。さすがイーストウッド!!!!
3つ目は不慮の事故で双子の兄を亡くした少年の話です。少年は「もう一人の自分」とも言える兄を失ったショックから立ち直れず、兄の遺品を常に身につけて霊能力者達を訪ね歩きます。言うなれば「失われてしまった古き良き青春を追い求め続ける」話です。そう、私達は「昔の映画ってよかったよね。」「アメリカ映画はやっぱ1940年代までだよね」とかつい懐古主義に走ってしまいがちですが、70年代にはロッキーだってあるし、80年代にはダイ・ハードだってあるし、90年代にはマトリックスがあるし、00年代には少林サッカーがあるんじゃないかと。過去に囚われたってしょうがないってことです。過去の名作は一旦置いておいて、今は前向きに「イップマン」や「KG カラテガール」を見ろって事です。わかる。わかるよ。さすがイーストウッド!!!

【まとめ】

ということで、本作は見ている間中は涙が止まらない傑作です!!! そりゃ雰囲気だけかも知れませんし、そもそも「霊能力ってそういう事なのか?」とか言う気もチラっと頭をよぎります。「死後ってさぁ」とか「オカルトってさぁ」とか考え始めると、確かに安っぽいヒューマンドラマに見えてしまうかも知れません。しかしですね、この霊能力を一度「自分が持ってる変わった趣味」と言う風に置き換えられると、もう涙が止まりません。
一風変わった趣味を持っている方には自信を持ってオススメできる作品です。劇場で泣いてらっしゃい!!!! オススメです!!!

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ザ・タウン

ザ・タウン

2本目は

ザ・タウン」です。

評価:(80/100点) – ベン・アフレックすげぇ。変形の「田舎で女性が不幸になる話」。


【あらすじ】

強盗が多発するチャールズタウンで、ダグは「家業」として銀行や輸送車の強盗を行っていた。ある日彼と仲間が襲った銀行で、仲間の一人ジェムが支店長の女・クレアを人質に取る。
後日、顔を見られたかどうかを確認しにいったダグはコインランドリーで怯えるクレアを目撃する。クレアの相談に乗ったことで知り合った二人は、やがて惹かれ合っていく、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ダグと仲間の強盗。
 ※第1ターニングポイント -> コインランドリーでダグとクレアが出会う。
第2幕 -> ダグとクレアの付き合いと、ダグの足洗い。
 ※第2ターニングポイント -> ダグが最後の仕事を受ける。
第3幕 -> フェンウェイ・パークの襲撃。


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【感想】

本日の2本目はザ・タウンです。昨年の東京国際映画祭のクロージング作品です。小さな劇場でしたが結構お客さんは入っていました。監督・脚本・主演はベン・アフレック。とはいえ、決して「俺様映画」になることなく、悲惨で鬱屈した街で生きる男を悲哀たっぷりに描いた普遍的で素敵な作品になっています。
結論は、オススメです!!で終わってしまっても良いくらい素敵な作品なので、とりあえず見に行って下さいw
本作は変形の「田舎で女性が不幸になる話」です。チャールズタウンは全然田舎じゃないですが、作品内ではとても鬱屈した街として描かれています。アイルランド人が多く治安の悪い街です。
ダグの父親は強盗で懲役30年(=ほとんど終身刑)を食らっていますし、母親は幼い時に失踪してしまっています。そしてダグ自身はアイスホッケーの選手としてドラフトにまで掛かったものの、結局怪我で挫折しチャールズタウンで強盗に身をやつしています。彼はいつかは街をでて都会へ出ようと考えていますが、なかなか踏ん切りが付かず強盗業を続けています。そんな彼がカタギのクレアと出会うことで足を洗って「人並みに幸せになろう」と決意するようになるわけです。
本作は強盗の元締め・ファーギーとクレアの間で揺れ動くダグと、彼ら強盗団を追うFBI捜査官、そして強盗の被害者でありながら相手が犯人と知らずに恋に落ちたクレアの4者の思惑が交錯して物語が進んで行きます。作中ではこの雁字搦めにされて身動きが取れない感じと、人生に絶望してしまっている鬱屈した感じ、そこからクレアと知り合うことで生まれる希望に溢れる夢が短いスパンでコロコロ入れ替わります。
カテゴリとしでは「ヒューマンドラマ」になってしまいますが、この鬱屈感がまさしく私が大好物な「田舎で女性が不幸になる話」そのものでして、その男性版として大変よくできています。俳優はどなたも素晴らしいですし、ストーリーの組み立て方もまったく飽きが来ないほど良く出来ています。中盤前にはFBIは強盗団4人を早くも特定しますので、そこからのサスペンス展開や真相を知ったクレアとの関係にはグイグイ引っ張られます。
ベン・アフレックのしゃくれ割れアゴと困り顔も相まって、マッチョながらも根が弱気なダグがとても魅力的です。

【まとめ】

すばらしい作品です。愉快な娯楽作ではありませんが、ここまで丁寧に悲哀を描かれると二時間ぐらいあっという間に過ぎてしまいます。大規模公開作品ですので、是非映画館で見てみて下さい。かなりオススメです。

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ウォールストリート マネー・ネバー・スリープス

ウォールストリート マネー・ネバー・スリープス

今日は三本です。1本目は

「ウォールストリート マネー・ネバー・スリープス」を見ました。

評価:(50/100点) – 期待を裏切らないファン・ムービーだが、、、、。


【あらすじ】

ジェイクは若くしてKZI(ケラー・ゼイベル投資会社)で働くトレーダーである。未来のクリーンエネルギーを専門にし、投資によって社会を良くすることを夢見ている。ある日KZIは信用不審の噂を流されてしまい株価が急落、倒産の危機に瀕してしまう。社長のルイスは政府へ公的資金の投入を求めるがこれを拒否されついには自殺、会社もライバルのチャーチル・スチュワート(C&S)に買収されてしまう。
職を失ったジェイクは母校の公演で、婚約者の父親にして伝説のトレーダー・ゴードン=ゲッコーに出会う。彼はゴードンよりKZIの噂の出所は買収したC&Sの社長ブレトンその人だと聞かされる。復讐を誓うジェイクは自身も噂によってブレトンをハメることを計画する、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ジェイクのボーナスとKZIの信用不審。
 ※第1ターニングポイント -> ジェイクがゴードンに出会う。
第2幕 -> ジェイクとゴードンの取引。
 ※第2ターニングポイント -> ゴードンが金を持ち逃げする。
第3幕 -> 仲直り。


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【感想】

今日の1本目は「ウォールストリート マネー・ネバー・スリープス」です。ご存じオリバー・ストーンの不朽の名作「ウォール街」の続編です。何故今続編なのかとかいろいろありますが、年配の方を中心にお客さんは結構入っていました。オリジナル世代でしょうか。
今作は「新キャラクター・ジェイクを主役とした復讐劇」と「前作の主役ゴードンと娘・ウィニーの確執と仲直り」の二本の柱を軸に物語が進んで行きます。予告を見る限りだと前者の配分が多いのかなという雰囲気だったのですが、実際には前者は1時間程度で終わってしまい、話の大半は後者が中心となります。その意味では正しい意味での「キャラ物・ファンムービー」です。ゴードン・ゲッコーの鬼畜っぷりを存分に楽しみつつ、ウィニーの可愛さにほのぼのするという最高のファンサービスでして、それだけで幸せな気分でニヤニヤしてしまいます。ですがキャラ物の宿命で、どうしてもキャラクター描写が多すぎるため話が弱く、全然先に進みません。この「先に進まなさ」はかなりのもので、やってること自体はほとんど内容がありません。
ジェイクが段々とゴードンに似ていく部分であったり、文句をいいながらも父に似たジェイクに惹かれてしまうウィニーであったり、人間描写についてはさすがのオリバー・ストーンです。ですので、内容が無いからと言って決してつまらないわけではありません。面白さは十分です。
可もなく不可も無く、平均的なハリウッド娯楽映画ということで、正にど真ん中の「50点」という感じですw 前作を見ていなくても十分に楽しめるとは思いますので、もし何を見るか迷っていて「ソーシャル・ネットワーク」や「イップマン」等の良作を見終わった方は選択肢に入れてみても良いかもしれません。フラットなテンションでオススメします。
余談ですが、レバレッジを「テコ入れ」と訳すなど、相変わらず戸田奈津子女史は経済用語(=専門用語)をまったく理解せずに誤訳しまくっていますw 訳を追うとものすごく混乱しますので、極力英語を聞いた方が良いと思います。いい加減こういう専門用語が多い作品で使うの止めた方がいいですよ、本当に。

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白夜行

白夜行

日曜日は

「白夜行」を観てきました。

評価:(80/100点) – テレビ屋映画でもちゃんとしたサスペンス出来るじゃない。


【あらすじ】

昭和55年、廃墟となったビルで質屋の主人・桐原洋介の遺体が発見された。警察は桐原の身辺を洗い不倫相手と思われる西本文代を突き止める。しかし文代は自宅で自殺体で発見され、事件は被疑者死亡のまま書類送検される。担当刑事の笹垣は文代の犯行を疑い、それから何年も個人的に捜査を進めていく。
それから10年後、桐原の妻・弥生子の愛人だった栗原が他殺体で発見されたことから事件は思わぬ方向へと転がり始める、、、。


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【感想】

日曜日は東野圭吾原作の「白夜行」を見て来ました。客層は中年~高齢者が多く、一人で見に来ている女性も目立ちました。GANTZ程ではないですが、そこそこの入りです。
見た直後に「韓国映画に負けない悲惨な話がまだまだ出来るじゃん」とかなり満足だったのですが、調べたら韓国でも映画化されているんですね。見かけた記憶が無いので日本未公開でしょうか。私は、不勉強ながら原作もドラマも韓国版映画も見ていません。完全に前知識無しで見に行きました。ですので、もしかしたら原作の方が面白いとか、原作ファンからすると「ここが許せない」みたいな所があるかも知れません。少なくとも前知識無しで見た私にとっては、本作は久々に見た日本映画のかなり面白いサスペンスでした。傑作と言ってしまってもいいかと思うぐらい満足度は高いです。
話のフォーマットはサスペンスとして定型的な「悲惨な目にあった少女の(非合法的)成り上がりストーリー」です。ですが本作では外道な振る舞いをしながら光り輝く少女・雪穂と献身的な振る舞いで彼女の影になる少年・亮司が、明暗・表裏のすばらしい対比になってグイグイ物語を引っ張っていきます。ストーリーは間違いなく大変面白いです。
唯一本作で不満があるとすれば、やはり演出的な面です。特に主役の笹垣を演じる船越英一郎がいつも通りの二時間ドラマ演技を見せ、そしてその他の戸田恵子や栗田麗もモロにTVドラマの演技(=はっきりとした滑舌で大げさなリアクション)を行ってくるため、かなり安っぽいことになっています。話の内容の重さ・暗さに反して、ルックスはとても軽いです。
がっかりがピークに達するのが本作でもっとも盛り上がる(はずの)クライマックスです。安っぽい泣き脅しと甘ったるい音楽とスローモーションの極悪コラボレーションで、一瞬火曜サスペンスで定番の沖縄・万座毛での探偵と犯人の説得シーンからの「落ちるなよ!!!落ちるなよ!!!!!(by ダチョウ倶楽部)」がフラッシュバックしますw
ただ、主要キャストは良く嵌っています。堀北真希は相変わらず下手ですがその下手な演技が逆に雪穂の「嘘くささ」にぴったりですし、高良健吾の「偽ダルビッシュ」感も痩せた感じと相まって病的な執着をもった男にきちんと見えています。この二人には珍しく当たり役だと思います。

【まとめ】

あんまり細かい所はサスペンスの面白さが減じてしまうので書けないのですが、間違いなく日本映画では良作の部類です。とはいえあまりハッピーな話ではありませんので、デート等では避けた方が良いと思います。メジャー資本の日本映画でもまだまだ十分に面白いサスペンスが作れるということだけでも、十分に見ておく価値のある作品です。かなりオススメです!

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しあわせの雨傘

しあわせの雨傘

日曜日は

「しあわせの雨傘」を見ました。

評価:(45/100点) – 話は酷いが女優のオーラで全てカバー。


【あらすじ】

スザンヌ・ピュジョルは資産家の娘として生まれ結婚して30年、つまらない日常をジョギングと詩とテレビ番組で送っていた。婿養子の夫・ロベールはスザンヌの父から継いだ雨傘工場でやりたい放題やっている。
ある日、労働者達のストライキを諫めにいったロベールは逆に社長室に監禁されてしまう。何とか解放したものの、ロベールは興奮のあまり持病の心臓病の発作を起こして倒れてしまう。労働組合との会合にでるため、今まで「お飾り」として生きてきたスザンヌがついに重い腰を上げる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ストライキとロベールの発作。
 ※第1ターニングポイント -> スザンヌが代役として会合に出席する。
第2幕 -> スザンヌ社長の手腕。
 ※第2ターニングポイント -> 臨時株主総会。
第3幕 -> スザンヌの選挙。


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【感想】

日曜日はフランスの名女優カトリーヌ・ドヌーヴ主演の最新作「しあわせの雨傘」を見て来ました。実は去年の東京国際映画際のセレモニーで一番嬉しかったのが、本作で来場したカトリーヌ・ドヌーヴと(ソーシャルネットワークで来場したけど)ゾンビ・ランドの主演ジェシー・アイゼンバーグを生で見られたことでした。
自分は未見なのですが、「徹子の部屋」にドヌーヴが出てたりしたようで、結構中年~老年の夫婦が多数見られました。
本作は簡単に言ってしまえば「抑圧されていたオバさんが調子に乗る話」です。「スイーツ向け」とか「バカOL向け」とかいろんなジャンル映画がありますが、本作はそれよりもう2周りぐらい上の年代向けですw 話としては本当にそれだけでして、特筆するようなことは何もありません。亭主関白で抑圧されていたオバさんが、ふとしたことから表舞台に立ったら実は超やり手で男遊びもやりたい放題のプレイガールだった、、、というすごい微妙なお話しです。
例によって男女を逆転していただくとこの酷さが良く分かると思いますが(苦笑)、まぁでも世の専業主婦達の夢だと言われてしまえばそうかもしれませんので好きにして貰って良いと思いますw
これでもし主演が市原悦子とか浅丘ルリ子だったら観客の男がブチ切れても仕方無いと思いますが(笑)、なにせカトリーヌ・ドヌーヴの持つ強力な母性=人間力によってそこまで嫌味にならないのが凄い所です。そう、話はびっくりするほど酷いのに、全体としては結構面白いんです。これは凄いと思います。できるだけコメディタッチになるように作っているからでもあるんですが、主役のスザンヌがそこまで外道や天才に見えないのは本当に驚くべきことです。そういった意味では(70歳近い大女優に言うのはどうかとおもいますが)間違いなく本作はカトリーヌ・ドヌーヴのアイドル映画です。
2008年公開の「母べえ」で志田未来(当時15歳)の母親役を吉永小百合(当時63歳!)が演じて局所的に話題になりましたが(俗に言う「吉永小百合・不老説」)、フランスにも吉永小百合級の不老不死がいるぞと、そういう事ですw

【まとめ】

一般的にはあんまり好きこのんで見に行くような映画では無いと思いますが、カトリーヌ・ドヌーヴが好きな方は必見の映画です。久々にカトリーヌ・ドヌーヴが前面に出た映画というだけで十分に見る価値があると思います。ただ、できればあまり夫婦では行かない方が良いかもしれません。本質的には都合の良い女性の妄想話なので、旦那様の仕事のモチベーションに多大な支障がでる恐れがありますのでご注意下さいw
平日の昼間に女友達を誘って見に行くのをオススメしたいと思います。

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シチリア! シチリア!

シチリア! シチリア!

今年最後の映画は

シチリア! シチリア!」です。

評価:(95/100点) – 感傷と郷愁の”胡蝶の夢”


【あらすじ】

ペッピーノはシチリアに生まれ、幼少時に第二次世界大戦を経験した。終戦のどさくさで大金を手に入れるが乳牛の生産に失敗して貧乏に戻ってしまう。彼の唯一の救いはイタリア共産党の仲間達。彼はやがて美しいマンニーナと恋に落ち、家庭を持ち、自身も政治家を志すようになる、、、。


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【感想】

今年(たぶん)最後の映画は「シチリア! シチリア!」です。「ニュー・シネマ・パラダイス」でお馴染みの、ジュゼッペ・トルナトーレ監督とスパゲッティ・ウェスタンの巨魁エンニオ・モリコーネのコンビ作品です。公開から日は経っていますがかなりお客さんが入っていました。
元も子もない言い方をしてしまいますと、本作は完全な雰囲気映画です。その雰囲気の作り方がもの凄い事になっています。
メインストーリーは家族愛もので、どうしようもないヘタレな男が共産主義に傾倒していき、そして夢を追って政治家になろうとします。彼の家族は仲睦まじく、三人の子供と優秀な妻、そして妻の母の6人で幸せに暮らします。でもそれだけです。後は特にどうという話もありません。劇的な何かがあるわけでは無いですし、特別なにかを表現しているわけでもありません。一番近いのは「ものすごく良く出来た三丁目の夕日」でしょうか。
ただその雰囲気自体はとても普遍的に見えますし、少なくとも「シチリア」=「ゴッドファーザー」「エトナ火山」ぐらいの知識しか無い私でも(苦笑)それなりにグッとくるものあありました。強いて言えば多少ラストで”ぶつ切り感”がありますがそこまで気になるものでもありません。音楽と相まって良い雰囲気に浸りたい場合にはベストチョイスな映画です。かなり良い感じの雰囲気映画だったので、今年の映画鑑賞はこれで締めにしようかと思っていますw
とか言いつつ明日はキック・アス3回目(BD鑑賞入れると7回目)にふらっと行きそうですけどねw

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最後の忠臣蔵

最後の忠臣蔵

本日は1本、

最後の忠臣蔵」を観てみました。

評価:(60/100点) – 真っ当な作りだけど、面白いかは別問題。


【あらすじ】

赤穂四十七士の最後の生き残り・寺坂吉右衛門は遺族達を訪ねて生活の支援をしていた。16年を掛けて全ての遺族を訪ね終えた吉右衛門は、四十七士の十七回忌の法要のため京都の進藤長保の元を訪れる。その道中、彼はかつて討ち入り前夜に逐電(=脱走)した瀬尾孫左衛門によく似た人物を見かける、、、。


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【感想】

本日は一本、「最後の忠臣蔵」です。お客さんはお年寄りが中心でしたが、あまり入っていませんでした。原作は池宮彰一郎で、一度NHKで連続ドラマになっています。私は原作、ドラマ共に未見でした。
本作の話の内容自体は予告で全て語られます。なので、予告編を見れば十分です。オススメDEATH!!!!。




で終わるのもなんなので、ちょっとだけ書きますw
劇中繰り返し出てくる「曽根崎心中」があんまり関係無いとか、キャラも話も薄すぎるとかいう嫌いはあるのですが、全体的には結構よく出来ていると思います。ただ、良く出来ているといってもそれは「告白」的な意味で良く出来ているという感じです。どういうことかというと、それはあくまでも演出的な格好良さ・大作感が前面に出ているだけということです。
この話は世間から臆病者と罵られながらも生き抜いてきた孫左衛門の忠義の話であり、それには明確に「可音をしかるべき家に嫁がせる」というゴールが設定されているわけです。そしてこのゴールへの回答は、開始20分くらいに豪商のお坊ちゃん・茶屋修一郎が一目惚れする事で示されるわけです。後は「可音が嫁ぐ気になるかどうか」と「孫左衛門が隠している秘密とは?」という2点で1時間を引っ張ります。
後者については、予告の時点から散々見せられていますのでもはや引っ張りにはなりません。「だって内蔵助の隠し子でしょ?」というのは映画を見に来た全員が知っている事です。そして前者については、ものすごくあっさりと解決されてしまいます。映画の時間にして約3分。孫左衛門が可音とちょっと喋って終わりです。なので、この映画は非常に予定調和的に話が進んでいきます。そこには驚きや興奮はありません。私たちが予告を見て想像したまさにそのことが、たっぷりと間をとった演出でゆったりと語られます。
ですから、良い映画かどうかと聞かれれば「かなりまともな映画ですよ」と答えますが、「面白いですか?」と聞かれたら、、、、、お察し下さいw
元からしてそこまで盛り上げづらい題材ではあります。せめて討ち入りの回想をもっと豪華にするとか、所々で吉右衛門と孫左衛門の過去エピソードを入れるとかいう工夫があれば、もうちょい話の推進力を保てたかなと思います。
もちろん桜庭ななみが好きで好きでしょうがなかったりですとか、役所広司が好きで好きでしょうがないといった事情があれば興味も続くかとは思いますが、後半は結構睡魔との戦いでした。
チェックして置くに越したことは無い作品ですが、前夜にはたっぷり休息とカフェインを取って見に行くのがオススメです!!!

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