テラフォーマーズ

テラフォーマーズ

それでは二本目はこちら

「テラフォーマーズ」です。

評価:(40/100点) – B級アクションホラー映画へのチャレンジ精神は良い!


【あらすじ】

西暦2599年。本多博士の計画のもと、小町小吉を含む15人の一団は火星のテラフォーミングプロジェクトの最後のミッションへ向かう。ミッションは火星を地球化するために送り込まれたゴキブリを退治すること。しかもミッションに参加した者には多額の給料と恩赦が与えられるという。楽勝案件と思われたプロジェクトには、しかし大きなウラがあった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 火星への到着とテラフォーマーとの遭遇
 ※第1ターニングポイント -> テラフォーマーとの初戦闘
第2幕 -> 宇宙船バグス1への道のり
 ※第2ターニングポイント -> バグス2が墜落する
第3幕 -> 決戦と火星からの脱出


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【感想】

それでは「ちはやふる」の余韻も冷めやらぬ中(笑)、本日の2本目はテラフォーマーズです。某ネット映画評論家の人がボロカス叩いたそうで、ほんまかいなとイソイソと出かけてきました。結論なんですが、先ほどの「ちはや~」の文章で煽ってすみませんでした。これ、ジャンル映画としてはそんなに悪く無いです。普通にマシなほう。そして、少なくとも私の見る限り、邦画の平均でいうとわりと制作側の志も高い方です。ということで、今回は擁護モードで書いていきたいと思います。ボロカスな文章を期待していただいた皆様、すみません。

私、この作品についてはやはり漫画を読んでいませんしアニメも見てません。なので、原作ファンの方の怒りのツボみたいなのはわかりません。結構巻数が出てる作品みたいなので、きっとストーリーは全然違うんだろうなと思いつつ、あくまでも本映画だけに言及することをご容赦ください。

演出は超ダサい(笑)。っていうか舞台演劇。

まずダメなところから書いていきましょう。っていっても実際はそんなにないです。そもそもの内容がそんなにないですからね(笑)。

まず一番ダメなのは、ストーリーの進行がすべて棒読みの「セリフ劇」である点です。ここに関しては一切の擁護の余地はありません。本多博士のいかにも「マッド・サイエンティストで~す」というような大根丸出しな振る舞いや、各キャラの超棒読みかついちいち見栄を切ってくるセリフ回しは本気でゲンナリします。
なんでこんなことになっているかというと、完全に舞台演劇のメソッドで脚本が書かれてるからです。ちょいと気になって公式ページを見てみたら、脚本の中島かずきさんは50代半ばのベテランの方で、劇団☆新感線の本を書く人なんですね。それで腑に落ちました。「曲がれ!スプーン」とかもそうですが、劇団の人ってどうしても、大きな声で滑舌よく、人物同士のセリフが極力かぶらないように交互に叫ぶように演技するセリフ回しが染み付いちゃってるんですね。本作も基本的にクロストーク的な場面が一切ありませんし、毎回毎回キメ顔で「ポーズ」を取ります。なんでわざわざ海外ロケやってCGバリバリでスケール感を出したいはずの映画に劇団の人を使うのかよくわかりませんが(笑)、なんか中島さんご本人にとっても不運だったというか、完全に資質の問題ですね。これはさすがに依頼する方が悪いと思います。すくなくともスケール感が必要なSF映画にはまったく合っていません。

もう一つ悪いところを上げるならば、回想シーンや味方同士で励まし合ったりする「馴れ合いパート」の間の悪さです。せっかくいい感じのアクションでテンションが上がっている所で、本当にどうでもいい人情話が差し込まれるもんですから、そのたびにテンションがリセットされちゃうんですね。これもね、、、正直なんでこんなブサイクな構成にしてしまったのかよくわかりません。山田孝之演じる蛭間一郎の事情なんて、本作のストーリーに毛ほども関係ないんですよ。だって「みんなにそれぞれ事情がある」って冒頭で言ってるわけで、蛭間がなんぼ濡れ衣食らったからってだからどうしたっていうね。「嵌めた相手が本多博士の仲間だった」とか、「実は蛭間がバグズオペレーション技術の発明者で密かに自分に特殊能力を付加していた」とかならまったく問題ないんですが、まじで何の意味があるのかさっぱりわかりません。そしてこれまた邦画特有の敵を前にしたグダグダ馴れ合いですね。よそでやれっていう、いつものアレです。この辺はなんか三池崇史監督の悪意がチラチラ見えてきてちょっと嫌な感じです(笑)。真面目にやればできるんだからやりゃいいのにね。「大作邦画ってこんなかんじでしょ!」みたいな投げやりな感じが透けて見えるのがね^^;

それではそろそろ擁護をば

ではここから良かった集めをしたいと思います(笑)。

まず一番はですね、話の骨格・プロットがきちんとしている点です。こういう「変な場所に急に連れてこられた一団がサバイバルする」というジャンルものにおいて、「A地点でスタート→B地点に行ってなんか拾ったり発見する/知識を得る→A地点に引き返して脱出」というのはお約束のフォーマットです。最近だと「リディック: ギャラクシー・バトル」とか、当ブログだと「ブレデターズ」とかですね。変な惑星に放り出されて、原住民的なエイリアンに襲われて、なんだかんだで脱出するというジャンルムービーです。原作がどうなっているかはわかりませんが、世界観を上手にジャンル映画フォーマットに落とし込めてると思います。これは素晴らしい。なかなかこういうお約束って怖くてできないんですよ。だから、このストーリープロットだけは十分に満点です。
強いて言えば、最初は脱出ポッドが何らかの事情で使えないっていう描写は欲しいですね。一応「定員2人=どのみち全員は乗れない」というのがエクスキューズにはなっていますけれども。

そしてアクション・バトル関連のところです。これはそのまんま「戦闘少女 血の鉄仮面伝説」の丸パクリなんですが(笑)、ある意味「世界に持っていく日本特撮映画=ちょいグロ描写ありのチーム変身ものだ」「しかもスタイルの良い女の子が体の線をモロに出してやるんだ!」という制作側の認識は当たっているわけで(笑)、よくぞこんな企画に大金ぶち込んだと素直に褒めたいと思います。これ、もうちょいちゃんと作ればカルト映画になり得た可能性があったと思います。
それだけに、演技周りの不満が残念でなりません。

【まとめ】

本当のところはわかりませんが、「世界に持っていく日本映画」として作ったのであれば、方向性は間違いなく当たっていると思いますし、これが出てきたというのは大変うれしいことだと思います。あんまり貶す気にならないくらい好感を持ちました。ただ、やっぱり題材がゴキブリってのは、、、、正直なはなし、大画面でみたいかっていうとね(笑)。これなら別にエイリアンでいいじゃんっていう気がビンビンしています。ただのエイリアンじゃそもそも「テラフォーマーズ」にならないって話はありますけどね^^;。

なんというか「全然ダメ!話にならない!糞映画!」っていうテンションではなくて、「惜しい!次頑張って!」って応援したくなるような、そんな映画でした。ただ2回目は遠慮しときます。ゴキブリ苦手なんで^^;

映画をあんまり見ない人がたまたまコレを見たらボロカス叩きたくなる気は凄いよく分かります。でも死屍累々の糞映画を見まくっていて、それでも映画が好きな人ならば、かなり好意的に見られると思います。見どころが一個もないどうでもいいクソ映画じゃなくて、ちゃんと志があって長所のあるクソ映画ですから。「結局クソ映画なんじゃん!」ってオチがついたところで、本作はこの辺で(笑)。

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アイアムアヒーロー

アイアムアヒーロー

本日は

「アイアムアヒーロー」をレイトで見ました。

評価:(86/100点) – 亡きシアターNへ捧ぐ


【あらすじ】

ヒデオは漫画アシスタントである。15年前に新人賞をとって華々しく業界入りしたものの、いまやそれも過去の栄光。ヒモ同然の生活を送っている。
ある日、同棲中の彼女と喧嘩したヒデオが仲直りをしようと家へ戻ると、そこには変わり果てた彼女の姿があった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ヒデオの鬱屈とした日常
 ※第1ターニングポイント -> パンデミックが起きる
第2幕 -> 富士山への旅とアウトレットモール
 ※第2ターニングポイント -> ヒデオがロッカーから飛び出す
第3幕 -> ゾンビvsヒデオ


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【感想】

公開からちょっと経ってしまいましたが、本日はアイアムアヒーローを見てきました。私は漫画を完全に未見でして、前知識も「ゾンビ映画である」ことしか知りませんでした。ただ結構評判がいいというのは聞いてましたので、結構ハードルは上がっていました。そんな中で実際見てみまして、、、これね、凄い良いです。めちゃくちゃ良く出来てます。「100%完璧!手放しで大絶賛!」とまではいかないんですが、でも見終わっての率直な気持ちは、日本だって「ゾンビランド」に近いレベルの作品が作れるんじゃん!という素直な喜びです。
今日はですね、もうさんざん言われてるのかもしれませんが、このアイアムアヒーローをガッツリ褒めます。いや本当に良かった!

ここで一応のお約束です。本作はアクション・スプラッター・ホラー映画です。決してお上品な作品ではないですし、予告を見ればある程度の話はわかってしまいます。今回も褒めるにあたり物語の最後の方まで書きますので、未見の方はご注意ください。

これは素晴らしき「終末負け犬映画」である!

本作は、「第9地区」や「ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!」、それこそ直接的には「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ゾンビランド」と同じ、「終末負け犬映画」です。
「終末負け犬映画」とは、冴えなかったりなにか致命的な欠点(※アル中とか)のあるダメ人間の主人公が、終末を迎えて完全実力主義のサバイバル世界になることで、その才能を活かしてダメ人間からスーパーヒーローに成り上がるというフォーマットです。つまり、これこそ世間に対して若干負い目のある我々(と断言しますがw)非リア充の妄想であり、「未知との遭遇」のように「いつか宇宙人がこないかな~」とか思ってることそのままの具現化なわけです。
さて、本作の主人公「ヒデオ」は完全無欠の負け犬キャラです。漫画家アシスタントで事実上のヒモ状態。過去の栄光にすがりお先真っ暗な上に彼女ともルーズな関係。趣味はクレー射撃。人はいいがしょっちゅう現実逃避をしている。こんな状況の中で、ある日急にゾンビ病のパンデミックが起こるわけです。こうなればヒデオの「クレー射撃」の趣味は最強の武器になります。ところが人がいいヒデオは悪人はおろかゾンビでさえも撃てない(笑)。うじうじうじうじ悩み続けるヒデオが遂に勇気を振り絞るきっかけとなるのは、自分の危機ではなく自分を救ってくれた女子高生・ヒロミのピンチなわけです。やっぱね、漢なら妄想の中で一度や二度は可愛い女の子を助けたことがあるわけですよ(笑)。それを恥ずかしげもなくきっちりと、最高に熱血な展開でスクリーンで見せてくれるわけです。これはもう大喝采を送るしかないです。

しかもですね、最後のシーンで長澤まさみ扮するヤブとヒデオがゾンビの返り血を顔に浴びまくっているのをゆっくり見せる描写まで入れてきます。これはつまり二人がゾンビに感染してしまう可能性を示唆しているわけで、決してハッピーエンドではないんですね。ゾンビはまだまだいっぱいいて、安全という富士山頂も本当に安全かなんてわからない。しかも自分たちはゾンビに罹った可能性すらある。それでもヒーローなんだから女子供は守るんだっていう完全なるルサンチマンでありマッチョイズムであり、でもそれって絶対に漢ならだれでも持ってるヒーロー幻想です。単純に「覚醒したから無敵」という甘えたところに落とすわけではなく、あくまでも負け犬のルサンチマンに帰ってくるこのラストこそ、本作を良作にしている決定打です。
田嶋陽子あたりに見せたら口から泡吹いて卒倒しそうですが(笑)。

ちゃんとゴア描写にも意味がある

本作がさらに素晴らしいのは、きちんと物語のテンションに合わせてゴア描写がエスカレートしていくところです。最初はまったく大したことが無いですし危ない所ではカメラが外れるのですが、だんだんと直接的にゾンビを殺すところが映るようになっていき、最終的にはクライマックスでヒデオのゾンビ大虐殺をきっちり見せます。こういう映画のゴア描写って結構サービスショットな側面が強く、ただグロいだけで緩急がついてないことが良くあります。典型的なのは「SAW3」とかですね。グロいけどそのグロさにあんまり意味が無いという。本作では、ちゃんと意味があります。ボスとして出てくる高飛び学生のゾンビなんかが典型で、高飛びをするから頭が凹みまくっており、そして頭が凹みまくってるから急所が隠れてなかなか頭の完全破壊ができないという、ちゃんとロジックが通ってます。こういうのってきちんと脚本を練らないといけないので面倒くさいんですよね。でも本作ではきちんとやっていて、とても好感がもてます。

惜しかった所:女性陣の非有効活用

今回、唯一おしいと思ったのが有村架純扮するヒロミの使い方です。ヒロミはいうなれば人間とゾンビのハイブリッドであり共生体なわけですね。それだったら当然、ワンダーウーマンよろしく覚醒して戦闘したり、またはヒロミの血からゾンビの特効薬ができたりとかいろいろ活用できるはずです。でも本作のヒロミは完全にマスコットなんですね。有村架純のちょっと丸っこい整った顔立ちって、すごいお人形さんっぽいんです。菜々緒のバービーっぽい感じじゃなくて、どっちかというと雛人形的な和風な感じ。これがヒロミの独特のマスコット感ととてもマッチしていて凄い魅力的です。「この子のためならヘタレが勇気を振り絞って立ち上がっても不思議じゃないな」という存在感・説得力があります。この立ち振舞は完璧なので、もっと活用して欲しかったです。

一方の長澤まさみはですね、こっちは看護師なので当然有村架純をつかってゾンビ病の究明をするのかな、、、、と思っているとまさかの肉弾アクション担当w 意外性はあっていいんですが、だったらせめてもうちょいサービスしてくれないかな、、、とちょっと拍子抜けな面がありました(笑)

総じてこのメイン級女優の使い方はちょっともったいないです。

【まとめ】

本作は、本当によく出来たジャンルムービーです。嬉しいのは、こういう作品がTOHOシネマやイオンシネマなんかの大手シネコンで掛かっているっていうこの状況なんですね。昔だったらこの手の映画は銀座シネパトスかシアターNでレイトショー限定が当たり前でした。それがほぼ全国どこでも見られるというのはとても素晴らしいことです。これはもう駆けつけるしかありません。CGバリバリとはいえグロいっちゃあグロいですから、そこだけは注意してください。あと、デートやファミリーは辞めたほうがいいです(笑)。私はGW終わりぐらいにもう一回見に行こうとおもいます。今度はポップコーンと生ビールを抱えて(笑)。とてもいいお祭り映画でした。

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七つまでは神のうち

七つまでは神のうち

先週土曜の2本目は

七つまでは神のうち」を見てきました。

評価:(70/100点) – モンスターホラーかと思いきやサスペンスでやっぱ心霊かと思ったらビジランテ映画だけどオバケ。


【あらすじ】

まゆは父と共に寡黙に教会に通い続けていた。ある日教会からの帰り道、いつものようにビデオレンタル店を出たところでまゆは不審なワゴンとその中に目隠しで縛られた少女を見かけてしまう。犯罪のにおいをかぎつけたまゆは父とともにワゴンを追跡する、、、。
一方、売り出し中の女優・さおりは廃校でのロケの後で一人取り残されてしまう。仕方無く校舎で一夜を過ごそうと中に入るさおりだったが、、、。
 


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【感想】

さて、先週の土曜の2本目は三宅隆太監督の最新作「七つまでは神のうち」です。TOHOシネマズ川崎で舞台挨拶直後の回にいきましたら、あんまり人がいませんでした。本当は舞台挨拶をみようとおもったんですがそちらはほぼ一杯で端っこしか残っていませんでした。スターダストのアイドルパワーおそるべしです。
本作は大変説明に困る作品です。というのも本作は15分に一回くらいジャンルが変わるからです。作品全体はちょっとした短編っぽいエピソードが繋がりながら事件の全貌が徐々にあきらかになるようなサスペンス調の構成をしています。神隠しっぽいエピソードと胡散臭いマメ知識の後、本作は偶然見かけた誘拐犯を追う少女の話になります。かとおもいきや、、、、と言う風に進んで行きます。一見関係の無いように見えるエピソードなのにだんだんに登場人物や地名が重なってきて、そうするとどんどん良い奴と悪い奴がひっくり返っていって、最後はすっごいイヤ~~~~~な気分になって帰るという、、、、、ね(苦笑)。本当後味悪いんですよ。「あれ?あたしゃこの子を応援してたはずじゃ、、、」みたいな。しかも後半はあからさまにスキモノを狙った映画パロディが続きます。「ダークナイト」のハービーデントから「オーメン」の神父のアレにつながり、最後はトリッキーに「リミット」っていうか「新・ヒッチコック劇場」の「最終脱獄計画」に落とすという、、、、ね(苦笑)。
という感じでして、本作は良くも悪くもオタク向けのジャンル映画です。こういったB級ホラーが好きだという前提で、かつそこそこ映画も見ていてある程度文法の知識があって、それでいて「どうせこうなったらこうだろ」みたいなひねた見方に慣れている人向けです。つまり私w
逆に言うとですね、映画の文法であったりお約束であったり過去作の展開であったり、そういう背景を持っていない人が見ると、おそらくこれは物凄くつまらないように見えると思います。というのも、結構その場その場のトリッキーな展開を優先しているため、終わってから振り返ってみるとすごく変なエピソードの繋ぎ方をしているんです。
基本的には「あ~いつものあれか」→「ん?ちがう???」→「え~~!?そっち(苦笑)」という展開の積み重ねなので、この「いつものあれか」が思い浮かぶかどうかが本作の全てです。「いつものあれか」が浮かばないと当然次の「え~~~!?」に行かないので、全然盛り上がらないばかりか訳の分からない方向に場当たり的に向かうヘンテコな映画に見えてしまいます。まぁ、タイトルとポスターとスターダストピクチャーズのロゴで十分に「一見さんお断り」になってるとは思いますが、そうとう人を選ぶというのは念頭に置いて見に行かれた方が良いと思います。

【まとめ】

個人的には久々に当たりなJホラーでした。Jホラーかはよく分からないですけどw 日南響子がホラークイーンとして最高に良かったです。なにより2エピソード目の家庭教師のやつとか本当に嫌w まじで嫌。
ちょろっと後半のパロディの話を書きましたが、後半も後半、というか最後のエンドロールで流れる日南さんが歌うエンディングテーマはGacktの「Metamorphoze~メタモルフォーゼ~」とコード進行が同じです。「Metamorphoze~メタモルフォーゼ~」は2005年公開の映画「機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-」のエンディングテーマです。いちいちパロディする作品がスキモノすぎw
あんまり大きな声では言えませんがオススメです。

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赤い珊瑚礁 オープンウォーター

赤い珊瑚礁 オープンウォーター

先週の火曜日は

「赤い珊瑚礁 オープンウォーター」を観てきました。

評価:(20/100点) – あれ? サメちゃん一匹だけ?


【あらすじ】

オーストラリアでクルーザーの買い付けをおこなっているルークは、親友のマットとその恋人スージーを夏のバカンスに招待した.。マットの妹でルークの元カノのケイトも一緒だ。初めはぎこちなかったルークとケイトだったが、だんだんと元の関係を取り戻して行く。そんな時、彼らの乗ったクルーザーが珊瑚礁に乗り上げて座礁してしまう。引っくり返ったクルーザーの上でなす術も無い一行は、近くの島を目指して泳ぐことにする。しかし、その海域はサメが出ることで有名だった、、、。

【三幕構成】

第一幕 -> クルーザーでのバカンス
※第1ターニングポイント -> クルーザーが座礁する。
第二幕 -> 終わらない遠泳とサメの出現
※第2ターニングポイント -> 残り二人になる
第三幕 -> 浮島への決死の泳ぎ


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【感想】

さて、先週の火曜日は「赤い珊瑚礁 オープンウォーター」を見てきました。公開直後でしたが、あんまり観客は入っておらず、なんかパニック映画の割には客席の温度は微妙な感じでした。
本作は1983年に実際にあった事件を元にしています。元にはしていますが、基本的には「転覆しかけたボートから泳いで逃げるうちに仲間がサメに襲われる」という大枠だけで、基本は創作ストーリーです。
本作はいわゆるモンスターパニックホラーにあたります。「グリズリー」とか「ジョーズ」とか、それこそ今度公開される「ピラニア3D」とかの同系統です。実在の動物が超大きかったりまたは超大量だったりして人間を襲うジャンルです。今回はそれがサメなわけですが、、、どうにもあんまり歯切れが良く無いと言いますか、ジャンル映画なのにカタルシスがありません。
というのもですね、本作では登場人物たちはずっと海の中で泳いだり浮かんでいるだけで武器もロクにもっていないので、ただただ逃げるしか無いんです。しかも相手は海が主戦場のサメですから、当然泳いで逃げられるわけでもないんです。そうすると、これはただただパニックになっているのを見るだけになってしまって、ものすごい単調になっちゃうんです。
ちょっと泳ぐ→サメの気配がする→パニックになる→気のせいでしたor本当にサメで襲われました
ずっとこれを繰り返しで見せられるわけで、そこには対処も何もあったもんじゃないんです。
じゃあその襲われるシーンが楽しいのかというと、これまた微妙な感じで目が泳いでしまいます。だって普通サイズのサメちゃんが一匹出てくるだけなんですもの。しかも明らかに海洋記録映像を使っていて、サメと人間が同じカメラフレームの中に収まらないんです。かなり低予算です。
実際に実話を元にはしているんですが、あまりにも低予算な雰囲気かつ盛り上がりがないため、すごくテレビの再現映像を見ているような気持ちになってきちゃいます。

【まとめ】

なんと言いますか、消化不良というかあんまり映画を見た気がしなくてちょっと残念でした。せめてなんかしら対処法を発見したりとか、なんかしら殺される順番に因果関係があったりするとよかったんですが、非常に順当かつ面白みもなく話しが進んでしまいました。来たる「ピラニア3D」に向けてテンションを上げるつもりで見に行ったんですが、残念ながら類似商法的な買い付け以上ではなさそうです。
あとですね、どうしてもこれだけは言いたいのです。予告で「その海、サメだらけ!」っていうのは本当だけど嘘。海自体にはサメだらけだけど、映画に登場するのは一匹だけです!!! 紛らわしい、いくない!
オーストラリアに憧れる方に現実を知らしめる意味でおすすめです。海さ、怖いとこだべ。

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赤ずきん

赤ずきん

日曜は1本、

赤ずきん」を見てきました。

評価:(40/100点) – 赤ずきんというか、簡易版ジェヴォーダンの獣。


【あらすじ】

村には、月が赤くなる週には怪物狼が現れて村人を襲うという伝説があった。ここ数十年来は生贄を捧げることで犠牲を回避してきたが、ある日、村に久方ぶりに犠牲者が出てしまう。殺されたのはヴァレリーの姉であった。
すぐに狼ハンダーのソロモン神父を呼ぶことになったが、気が収まらない村の男達は討伐隊を組んで洞窟へと向かってしまう。一人の犠牲者をだしただけで狼の首を持ち帰った討伐隊に対して、訪れたソロモン神父は衝撃の事実を告げる。怪物狼は人狼で、死後は人間の体に戻るという。狼の首があるということはそれは人狼では無く、よって怪物狼は退治されていないのだ、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ルーシーの死と狼討伐隊
 ※第1ターニングポイント -> ソロモン神父の到着
第2幕 -> 狼の襲撃とヴァレリーの拘束
 ※第2ターニングポイント -> ソロモン神父が襲われる
第3幕 -> 解決編。


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【感想】

日曜日はモンスター映画「赤ずきん」を見てきました。公開から1週たっていましたが、カップルを中心に客席は一杯でした。予告をどこからどうみても超B級モンスター映画なんですが、かなり不思議な客層です。「恋をした、大人になった赤ずきん」という嘘まるだしのキャッチコピーに引っかかったんでしょうかw ワーナーのマーケティング勝ちです。
正直な所、あんまり書くことがないくらいよくあるB級ホラーなんですが(苦笑)、一応ちょろっとだけ書きます。
本作がいわゆるグリム童話の「赤ずきん」っぽいのはラストもラスト、3幕目の冒頭だけです。そこまではただひたすら普通のカルト系モンスターホラーのフォーマットをさらっと流しながら使っています。大きな狼による村の襲撃。モンスターハンターとしてでてくる怪しげな神父さん。狼は教会には入れないというお決まりの「宗教観」「モンスターのアンチキリスト精神」。何十回と見たことがあるゴシックモンスターホラーそのものです。直近で一番近いのは、「ジェヴォーダンの獣(2001)」、雰囲気で言えばかのシャマランの「ヴィレッジ(2004)」あたりを彷彿とさせます。
そして、「なんじゃこりゃ。パチモノじゃんか、、、。」とゲンナリしていると、突然3幕でみんなが知っている「赤ずきん」が始まるわけです。「おばあさんの家まで赤ずきんが行く」「でも、おばあさんの家に着くと様子がおかしい、、、、。」という例のアレです。そこまでには物凄い退屈なストレスを食らっていますから(笑)、一気にテンションが上がるわけです。よっしゃキタコレ!!!! と思っていると、案外さらっと終わってモンスターの正体が明らかになって、、、、あっちゃー、、、、、、となるわけです。
なんで「ジェヴォーダンの獣」が面白かったのに「赤ずきん」は微妙かといえば、一番大きいのは構造的に本作が「巻き込まれ型サスペンス」になっているからです。本作はヴァレリーが事件に巻き込まれることでストーリーが展開します。事態に対してヴァレリーは主体的に行動し謎を解く余地がありません。さらに途中からヴァレリーがある事件によって事態の蚊帳の外に置かれてしまい、その後はピーターが主役になります。ストーリー上でヴァレリーが100%安全な立場になってしまうため、あんまりハラハラもしなくなってしまいます。そして唐突に語られる解決編。あらぬ所から急に現れる真犯人に「そういや居たね」ぐらいの感慨しか湧きません。結果として、なんか釈然としない終わり方で微妙な気分が残ってしまいます。
あんまり一般向けにオススメする作品ではありませんが、B級モンスター好きはとりあえず押さえておきましょう。そういやせっかくの怪物狼もあんまり怪物っぽい所がなくてただの大きいワンちゃんでした。でもカワイイからOK。全部OK。物語上はカワイくちゃですけど(苦笑)。オススメです!

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スカイライン-征服-

スカイライン-征服-

今日も今日とて新作2本です。一本目は

スカイライン-征服-」です。

評価:(75/100点) – 楽しい楽しい侵略SF。でもちょっと蛇足付き。


【あらすじ】

ジャロッドと恋人のエレインは親友であるテリーの誕生日パーティのためにロサンジェルスまでやってきた。楽しいパーティを過ごし雑魚寝をした夜更け過ぎ、急にマンションが揺れたかと思うと窓からは強烈な光が差し込んでくる。テリーの仕事仲間であるレイは窓からの光を見ると突然姿をけしてしまった。窓の外には強烈な青い光を放つ塊が何個もあったが、それらはすぐに消えてしまう。
不審に思ったジャロッドとテリーは屋上にあがって様子を探る。すると今度は複数の光が地上に落ちて来た。その直後、巨大な宇宙船が上空に現れる、、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> テリーの誕生日パーティ。
 ※第1ターニングポイント -> 回想終了。
第2幕 -> 宇宙人の侵略と脱出方法の模索。
 ※第2ターニングポイント -> ジャロッドとエレインが屋上に出る。
第3幕 -> 結末。


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【感想】

今日は新作を2本見てきました。一本目は「スカイライン-征服-」です。「バトル・オブ・LA」と大変紛らわしいですが、新作の侵略SF映画です。完全なジャンルムービーですが、そこそこお客さんは入っていました。監督は「300」「アバター」等の特殊効果で知られるVFX会社・ハイドラックスのストラウス兄弟です。そんなわけなので、本作は人間ドラマと特殊効果が大きな見せ場となっています。
ここでいつものお約束です。以後本作のネタバレが含まれると同時に、関係無い映画までとばっちりを食ってネタバレされますw 本作および関係作を未見の方はお気を付けください。

侵略SFって最高じゃん!!!! という話

本作はいわゆる「侵略SF」と呼ばれるジャンルの映画です。侵略SF自体は昔からあるお決まりのジャンルです。例えば一番有名なところで言いますと、1898年発表のH・Gウェルズの傑作「宇宙戦争」や1953年発表のアーサー・C・クラークのこれまた歴史的傑作「幼年期の終わり」、さらには最近ですと1996年の映画「インデペンデンス・デイ」なんかもあります。基本的には宇宙人がやってきまして、なんだかんだありながら撃退したり撃退できなかったりします。1938年に「宇宙戦争」をラジオドラマにした際に全米が本当だと思って大パニックになったという有名なエピソードもあります。侵略SFは「戦争」や「天災」のメタファーとして描かれることが多く、強大な力や高度な知恵をもったエイリアンは「かなうはずのない圧倒的な敵」や「不条理性」の象徴として描かれます。
そんなわけで侵略SFは作られたタイミングでの時代背景に大きく左右されます。特に最近のハリウッド映画はその傾向が顕著です。個人的にあんまり好きな言葉ではないのですが、「9・11以降」に攻撃される事の恐怖をようやく実感として理解したハリウッド(アメリカ)映画は、侵略SFというジャンルで「個人の無力さと絶望」を描くようになります。

9・11以降の侵略SFの決定版は、おそらく異論の出る余地なくスピルバーグの「宇宙戦争(2005)」です。この「宇宙戦争」において、主人公はただの無力なブルーカラーとして登場します。妻には離婚され娘・息子からはバカにされるチビで情けないダメ親父が、エイリアン達の侵略で地獄絵図となったアメリカを舞台に元妻の所に子供を送り届けることに必死になります。主人公はニュージャージーからボストンまで子供達を届ける過程でガッツを思い出し、父親としての尊厳を取り戻します。ですが、この主人公は大勢に影響を及ぼしません。ヒーロー的な活躍をするわけでも無ければ、彼がすごい人物となるわけでもありません。完全に無力な一市民であり、ただただ逃げ惑っているだけです。しかもこのエイリアンの侵略が食い止められる理由も、人間がすごいからではありません。たんなる偶然です。人類はたまたま助かっただけで、人間様がすごかったわけではないんです。

「クローバーフィールド/HAKAISHA(2008)」も同様です。物語はいきなりニューヨークのマンハッタン島をゴジラっぽい巨大モンスターが襲うところから始まります。主役達はなんとかしてモンスターから逃げますが、別に退治するわけでもありません。逃げるだけです。次々と仲間が死んで脱落していくなか、主人公はただただハンディカメラを回しながら逃げまくります。でも最後まで解決はしません。残るのは必至に生きようとする人間と、その先の圧倒的な絶望だけです。

少しトリッキーな作品では「ミスト(2007)」があります。田舎のスーパーマーケットで急な濃霧に囲まれた主人公達は、濃霧の中から現れたエイリアン達に襲われます。いろいろその場で対処しようとはしますが、彼らは無力でただ籠城することしか出来ません。それすら困難になったとき、主人公達は命からがらスーパーから逃げ出します。しかし外には圧倒的な力をもつエイリアンがうじゃうじゃいます。なんとか生き残ろうとはするものの、、、という展開です。この作品において、主人公達は状況に貢献しないどころかむしろ悪化させてしまいます。そして状況は主人公達とはまったく関係無いところで解決に向かいます。主人公は無力というよりはむしろ結果的には邪魔者になってしまいます。

このように9・11以降、ハリウッドの侵略SFはどうしてもアメリカ同時多発テロを背景とした「大局にあって個人は無力だ」という方向の作品が多くなっていきます。1996年に「インデペンデンス・デイ」でウィル・スミスを先頭にしたアメリカ空軍が無邪気にエイリアン達をぶちのめしていたのを考えるととんでもない変わりようです。

では本作はというと、、、

さて、前述の状況を踏まえますと、本作がいかにオーソドックスな作りをしているかが良く分かります。本作の主人公ジャロッド達もやはりエイリアンの前では無力です。後半に火事場の馬鹿力でエイリアンを数体倒す描写はありますが、基本的には主人公達は今回の侵略行為に対してまったくなんの役にも立ちません。ただビビッてマンションに引きこもってるだけです。たまに部屋を出たかと思うと、すぐに作戦を失敗して戻ってきます。メインで描かれるのは「エイリアンの侵略」というシチュエーションを使った「極限状態における人間達のドラマ」です。2組の恋人達によるドラマであり、そして圧倒的な力の前での無力感とそれでも最後に残る意地の物語です。ですので、これはもう面白いにきまってるんです。
繰り返される痴話げんかとお化け屋敷のように急に画面の外から脅かしてくるエイリアン達。ハラハラどきどきしっぱなしの楽しいアトラクションの90分です。
大変愉快なんですが、一点だけ気になるのがクライマックス以降につくエピローグの展開です。このエピローグで描かれるある出来事によって、主人公のジャロッドが無力な一般人ではなく特別な存在になってしまうんです。本作の一番の良さは「どんなに格好を付けてもやっぱり個人は無力だ」という部分にありますので、主人公が特別になってしまうと話が全然違ってきちゃいます。ジャンルムービーとしてみればアリな展開ですし、つい続編をつくりたくなってしまったのかも知れませんが、急にトーンが変わるのでやっぱりちょっと吹き出してしまいますw

【まとめ】

とっても楽しいエンターテイメント映画です。エクスペンダブルズにも出ていたデクスターのあいつもマンションの管理人とは思えない熱い活躍を見せてくれますし、浮気者のちゃらいあんちゃん・ねぇちゃんにはきちんと天罰が下りますw お約束をしっかりやっているとはいえジャンルムービーには間違いありませんので、見る人は選ぶかも知れません。かなりオススメな作品ですが、もし未見の方はまずスピルバーグの「宇宙戦争」から見ると良いと思います。オススメです。

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記事の評価
アバター(2011/邦画)

アバター(2011/邦画)

4月最後の映画は同名のハリウッド映画とは全く無関係な

「アバター」です。

評価:(65/100点) – 無茶苦茶すぎて一周して面白い。


【あらすじ】

阿武隈川道子(あぶくまがわ みちこ)は高見女子高校に通う二年生。しかしクラスは女王様・阿波野妙子が牛耳っており、教師の面前で平然とイジメが行われるほど荒れていた。
道子は17歳の誕生日祝いで母親から携帯電話をプレゼントされた。喜んで学校にもっていった道子だったが、それを阿波野に見つかり、強制的にアバQなるSNSに招待されてしまう。この学校ではアバQの人気こそが絶対で、そのゲーム内でレアアイテムを持っていることが阿波野の権力の源だったのだ!
しかし道子が期間限定スロット企画でレアアイテムを手に入れてしまったことから状況は一転する、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 道子とアバQの出会い。
 ※第1ターニングポイント -> 道子と西園寺の結託。
第2幕 -> アバターサークル結成と道子の復讐。
 ※第2ターニングポイント -> 道子が阿波野に復讐する
第3幕 -> 阿波野の逆襲


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【感想】

土曜の2本目は「アバター」です。とはいっても某ジェームズ・キャメロンの3D大作では無く、「リアル鬼ごっこ」「Xゲーム」でお馴染みの山田悠介原作の方です。たぶん製作費用はキャメロンの800分の1ぐらいですw 初日で昼の回は舞台挨拶をやっていましたが、あまり混んでるのが苦手なので敢えてレイトショーで見てみました。そして予想的中。初日に行くような人は当然舞台挨拶が見られるなら見たいわけで、夜の回はガラガラでした。現在渋谷のシアターNと名古屋のシネマスコーレだけで上映していまして、画質が荒かったのでたぶんBD上映だと思います。
いきなり結論を言ってしまいます。本作は突っ込み所だらけで出来もヘッたくれもありませんが、テンションだけは無駄に高く、面白さはかなりのものです。なので全然OKです。問題なし。オススメです!!!!!
真面目な話し、面白さだけで言えば間違いなくジェームズ・キャメロンのアバターを越えてます。いまからダメな所を書きますが、でもだから最低ということではなく、そういう適当な所も含めて本作はアイドル映画として十分成立しています。
ここでいつものお約束です。これ以後書くことは本作の直接的なネタバレを含みます。まっさらな気持ちで鑑賞したい方はご遠慮下さい。重ねて言いますが、オススメですよ!!!!

本作の話しの流れ

本作は行き当たりばったりで滅茶苦茶な話しなので整理しないとワケが分かりませんw なのでまずは設定とストーリーを整理しましょう。
本作における学校ではアバター(=ネット上の似顔絵キャラ)を着せ替える「アバQ」というサイトが物凄く流行っています。「アバQ」は広告収入で成り立っており、アバQ公式サイト内のアフィリエイト広告をクリックするとポイントが溜まり、そのポイントと着せ替えグッズを交換してアバターを着飾っていきます。
ポイントを獲得するにはアフィリエイト以外にも、他人を招待したり直接的にwebマネーで買う方法やイベントゲームで獲得する方法もあります。また着せ替えグッズには星1~星5までのレア度が設定されており、レア度の高い物はイベントゲームでしか手に入りません。
学校内では阿波野妙子が絶対的な女王様として君臨しています。彼女は手下をつかって弱い者達からレアアイテムをカツアゲしており、そのレアアイテムを見せびらかすことで生徒達から指示を得ています。レアアイテムの譲渡を拒んだ西園寺真琴(さいおんじ まこと)は猛烈なイジメにあっています。
そんな状況下でたまたま道子が全国で50個しかないレアアイテムを手に入れたことから状況が一変します。西園寺と道子は美人局をしながら金を巻き上げレアアイテムを次々と購入、学園内でのし上がっていきます。
その道子の強烈な野心の背景として、かつて妙子によって父親を間接的に殺されたことと、そして自身の顔に対するコンプレックスが描かれます。次第に道子は権力におぼれ、狂気に走るようになります。
この作品はいろいろなエピソードがぐちゃぐちゃに混ざっていますが、柱になるのはこの道子のコンプレックスの話しであり、コンプレックスがやがて強迫観念に変わり、そして遂には決定的な狂気になって周りも巻き込んでいくというサイコホラーになっています。
本作の一番の見所はこの「道子がどんどん狂っていく」部分です。ただの内気な少女が、自己表現としてのゲームにのめりこんで行き、しまいには完全にそこに取り込まれます。このディティールは素晴らしく良く出来ています。それこそお金と時間を掛けて脚本を書き直せば、普通にファンタスティック系の賞レースに絡めるぐらいのプロットです。

本作のツッコミ所。又は、ほつれ具合

本作のツッコミの全ては「大仰」「嘘くさい」「そんなアホな!」。この3パターンが全てです。そしてその全てが脇がガラ空き過ぎてそもそもガードする気が無いくらい途方もなくほつれており、そこが逆に魅力になっています。
一番ひどいのは道子が整形手術するくだりでしょう。整形前と整形後でかわったのはアイシャドーとファンデーションが濃くなって髪がシャギ掛かっただけ。つまりただの高校デビューです。それは整形じゃないw しかもこの前後で橋本愛がものすごい無理をして話し方を変えようとするものですから、その滑舌の悪さと相まって悶えるレベルの恥ずかしさになっています。この瞬間、私はこの映画がアイドル映画として完璧に成功していると確信しましたw
これ以外にもツボは山ほどあります。たとえば何故かサークルの皆が付けるガスマスクです。ガスマスクには「金のガスマスク(道子専用)」と「銀のガスマスク(西園寺専用)」と「銅のガスマスク(幹部用)」と「黒のガスマスク(雑魚用)」があるんです。何故ガスマスクかもわかりませんし、ガスマスクを特注している意味もわかりませんw 東急ハンズとかで頼めるのでしょうか? 意外と部活グッズで流行るかも知れません。 しかもこのガスマスクはチェーンソーを跳ね返すほどの強度をもってます。是非一家に一個!!!
あとはなにせ阿波野です。昨年の実写版マリみてで令ちゃんを演じた坂田梨香子がいかしたテンションで怪演しています。男に振られた腹いせにチーズ味のカールを泣きながらヤケ食いしたり、キレてチェーンソーを持ち出してきたり、いちいち小ネタを仕込んできます。阿波野最高。
アバター程度でなんでそこまで人を操れるのかとか、この世界の警察は無能すぎるとか、夜中に学校に侵入している割に声が大きすぎとか、プロジェクターがどんだけでかいんだとか、高校性がwebマネーを何百万も使ったら不審だろうとか、そういう現実とつなげたリアリティは全くありません。ですが逆に言うと本作のリアリティ水準は冒頭からその程度ですので、特に引っ掛かる部分もなく見ることが出来ます。
本作は最初から最後まで設定が無茶苦茶なため、ある意味ではツッコミ所だけで出来ているとも言えます。ただその無茶苦茶さこそがハイテンションさにつながり、そしてアイドル映画としての魅力にもなっています。だから昨年の「私の優しくない先輩」と似たような雰囲気になります。純粋に映画としてみれば酷い出来ですが、アイドル映画としては十分ですし、結果として面白さはかなりのものです。

【まとめ】

ということで、本作は好事家専用の良作と言って良いと思います。とにかく面白いですが絶対に一般受けはしませんし、なによりアイドル映画視点を持っていないと結構つらいと思います。演技力は全員お察し下さいレベルですし、話しも無茶苦茶です。でもあまりに弾けすぎていてむしろ物凄く熱気・スクリーン圧力のある作品になっています。DVDが出るかもわからない作品ですので、お近くの方は是非映画館で見てみて下さい。オススメです!!!

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記事の評価
鬼神伝

鬼神伝

GW初日の今日は2本です。
1本目は

鬼神伝」を見て来ました。

評価:(18/100点) – 良くある微妙なエコロジー志向ファンタジー。


【あらすじ】

中学生の天童純はひょんな事から迷い込んだ寺でタイムスリップをして平安京へ連れて行かれてしまう。そこでは鬼と人間とが戦っていた。純は僧正・源雲より自身の能力を聞かされる。源雲によると純は伝説のヤマタノオロチを操ることが出来る選ばれた”救いの御子”なのだ。鬼達に襲われる純と純の護衛につく頼光。果たして純はオロチを目覚めさせることができるのか? そして鬼とは何者なのか? 鬼の素顔を見たとき、純は選択を迫られる、、、。


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【感想】

連休初日の今日の1本目は新作アニメ「鬼神伝」です。監督はアニメーターの川博嗣。監督をやってたのを知らなかったので調べましたら「劇場版 NARUTO -ナルト-」の2作目(2005)以来とのことです。アニメーターとしては結構有名な人ですが、確かに本作を見るとあんまり監督は向いてないかなという気もします。
劇場では連休に当てていろいろな子供向け映画をやっているんですが、本作も客席は子供連れの家族でかなり埋まっていました。ぶっちゃけた話し予告を見るだにあんまり子供向けではありません。もしかしたら「ドラえもん」や「クレしん」や「コナン」から流れてきているだけかも知れません。
正直なところあんまり気が向かないので触りだけさらっと書きます(苦笑)。
本作の世界観はかなりファンタジーレベルが高くなっています。たとえば、冒頭ではいきなり人間と鬼との戦いに祝詞(※ほとんど魔法)が出てきますし、かなり前半からみんなガンガン空を飛びます。話しが転がるきっかけになる現代で始めて純が鬼に追われるシーンなんぞは、いきなり空から黒い煙が振ってきて野良犬に乗り移って鬼になるのに、純は「バ、バケモノ???」とか不思議な事をつぶやいて冷静に逃げます。普通目の前で犬が鬼に変身したら「バ、バケモノ???」どころでは済みません。もうリアリティラインがワケ分からないことになっています。
そしてお約束のように平安時代にタイムスリップしてからは「都市vs田舎」「貴族vs土人」「文明志向vsエコロジー志向」というよくあるパターンが展開します。この点ではそれこそ「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」に代表される宮崎駿的なエコロジー信仰の匂いを感じます。ただ、本作の場合はそこまで突き詰めていないというか、たぶん監督・脚本家も宮崎駿ほどは本気でエコロジーを信じていない感じがします。というのもものっすごいペラいんです。本作では「大自然&土人バンザイ!!!」みたいな方向に行くかと思いきや、結局最後は可愛い女の子に熱を上げてるだけというしょうもない所に落ち着きます。
こういった「異次元(異世界)に迷い込んでファンタジーを経験したあと成長して現実に戻ってくる」という物語は、星の数ほどあります。クラシックで言えば歴史的名作「オズの魔法使い」「ネバーエンディング・ストーリー」、最近だと「千と千尋の神隠し」や「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ 戦国大合戦」なんかもそうです。これらで大事なのは、「現代パートではあくまでもリアリティを重視して私達が生活している現実に近くすること」と「ファンタジーの世界では創意工夫や常識・知識のずれを利用して乗り越えること」です。これが無いと何が何やらさっぱりでおかしな事になってしまいます。
本作でマズいのは、第一に純を「生まれながらの選ばれし者」にしてしまったことです。しかも冒頭でいきなり純は切り札のオロチを手に入れてしまいます。さんざん「オロチは八個の頭の八個のしっぽがある」と言っておきながら登場するとドラゴンボールのシェンロンのような普通の龍であるため、これはもう最後に純の覚醒と同時に真・ヤマタノオロチに変身するのが見え見えです。しかもその姿に誰一人突っ込みを入れません。「頭が八つないじゃん」と誰かに言わせるだけでも救われるのですが、誰も疑問に思わず完全スルーです。あまりにもあんまりです。これによって「いつ純が本気を出すか?」という心底どうでもいいガキのご機嫌取りが物語りの中心になってしまいます。せめてオロチを手に入れるまでの冒険譚にした方がまだ見られたと思います。
そして第二が肝心のエコロジーメッセージです。これもすごい中途半端です。本作の鬼たちは半神半人のような描かれ方をしており、妖怪と言うよりは「自然の化身」「八百万神(やおろずのかみ)」という趣です。神道をモチーフにしている以上は当然です。それこそ「トイレの神様」じゃないですが(苦笑)、「どこにでも神様がいる」というかなり極端な思想はエコロジーとは大変相性が良いです。「もののけ姫」や「千と千尋の神隠し」はそれを上手く設定に取り込んで見せていました。本作では肝心のエコロジーメッセージはちょっとセリフと雰囲気であるぐらいで、ほとんど入りません。たとえば鬼達は自然に囲まれた鞍馬山でくらしていて、最後は琵琶湖の化身が大活躍します。しかし「だから大切に」とかそういう方向ではなく、物語はあくまでも権力志向のある極悪支配者を倒すことが目的になってきます。勧善懲悪というシンプルな子供向けのメッセージをファンタジー・エコロジーにぶち込んだ結果、薄い「もののけ姫っぽさ」「千と千尋っぽさ」だけが残っています。
というような感じでして、全体としてはあんまりテンションが上がらない作品でした。「つまらない」というよりは「どうでもいい」部類です。ちなみに本作で一番語りがいがあるのは間違いなく頼光です。彼は鬼と人間との間で揺れ、アイデンティティクライシスを見せてくれます。特に後半は完全に頼光と水葉のエピソードが主役・純を食ってしまいます。
そのくせちょっと怒っただけで純君は覚醒してしまうものですから本当に拍子抜けで、「そんな簡単に覚醒するなら最初から本気出せ(怒」としか思えませんw
なので、連休中にヒマをもてあましてしまった方にのみオススメいたします。変に鬼が気味悪いデザインなので親子連れで見る映画を探している方はやめておいた方が良いと思います。

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