テラフォーマーズ

テラフォーマーズ

それでは二本目はこちら

「テラフォーマーズ」です。

評価:(40/100点) – B級アクションホラー映画へのチャレンジ精神は良い!


【あらすじ】

西暦2599年。本多博士の計画のもと、小町小吉を含む15人の一団は火星のテラフォーミングプロジェクトの最後のミッションへ向かう。ミッションは火星を地球化するために送り込まれたゴキブリを退治すること。しかもミッションに参加した者には多額の給料と恩赦が与えられるという。楽勝案件と思われたプロジェクトには、しかし大きなウラがあった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 火星への到着とテラフォーマーとの遭遇
 ※第1ターニングポイント -> テラフォーマーとの初戦闘
第2幕 -> 宇宙船バグス1への道のり
 ※第2ターニングポイント -> バグス2が墜落する
第3幕 -> 決戦と火星からの脱出


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【感想】

それでは「ちはやふる」の余韻も冷めやらぬ中(笑)、本日の2本目はテラフォーマーズです。某ネット映画評論家の人がボロカス叩いたそうで、ほんまかいなとイソイソと出かけてきました。結論なんですが、先ほどの「ちはや~」の文章で煽ってすみませんでした。これ、ジャンル映画としてはそんなに悪く無いです。普通にマシなほう。そして、少なくとも私の見る限り、邦画の平均でいうとわりと制作側の志も高い方です。ということで、今回は擁護モードで書いていきたいと思います。ボロカスな文章を期待していただいた皆様、すみません。

私、この作品についてはやはり漫画を読んでいませんしアニメも見てません。なので、原作ファンの方の怒りのツボみたいなのはわかりません。結構巻数が出てる作品みたいなので、きっとストーリーは全然違うんだろうなと思いつつ、あくまでも本映画だけに言及することをご容赦ください。

演出は超ダサい(笑)。っていうか舞台演劇。

まずダメなところから書いていきましょう。っていっても実際はそんなにないです。そもそもの内容がそんなにないですからね(笑)。

まず一番ダメなのは、ストーリーの進行がすべて棒読みの「セリフ劇」である点です。ここに関しては一切の擁護の余地はありません。本多博士のいかにも「マッド・サイエンティストで~す」というような大根丸出しな振る舞いや、各キャラの超棒読みかついちいち見栄を切ってくるセリフ回しは本気でゲンナリします。
なんでこんなことになっているかというと、完全に舞台演劇のメソッドで脚本が書かれてるからです。ちょいと気になって公式ページを見てみたら、脚本の中島かずきさんは50代半ばのベテランの方で、劇団☆新感線の本を書く人なんですね。それで腑に落ちました。「曲がれ!スプーン」とかもそうですが、劇団の人ってどうしても、大きな声で滑舌よく、人物同士のセリフが極力かぶらないように交互に叫ぶように演技するセリフ回しが染み付いちゃってるんですね。本作も基本的にクロストーク的な場面が一切ありませんし、毎回毎回キメ顔で「ポーズ」を取ります。なんでわざわざ海外ロケやってCGバリバリでスケール感を出したいはずの映画に劇団の人を使うのかよくわかりませんが(笑)、なんか中島さんご本人にとっても不運だったというか、完全に資質の問題ですね。これはさすがに依頼する方が悪いと思います。すくなくともスケール感が必要なSF映画にはまったく合っていません。

もう一つ悪いところを上げるならば、回想シーンや味方同士で励まし合ったりする「馴れ合いパート」の間の悪さです。せっかくいい感じのアクションでテンションが上がっている所で、本当にどうでもいい人情話が差し込まれるもんですから、そのたびにテンションがリセットされちゃうんですね。これもね、、、正直なんでこんなブサイクな構成にしてしまったのかよくわかりません。山田孝之演じる蛭間一郎の事情なんて、本作のストーリーに毛ほども関係ないんですよ。だって「みんなにそれぞれ事情がある」って冒頭で言ってるわけで、蛭間がなんぼ濡れ衣食らったからってだからどうしたっていうね。「嵌めた相手が本多博士の仲間だった」とか、「実は蛭間がバグズオペレーション技術の発明者で密かに自分に特殊能力を付加していた」とかならまったく問題ないんですが、まじで何の意味があるのかさっぱりわかりません。そしてこれまた邦画特有の敵を前にしたグダグダ馴れ合いですね。よそでやれっていう、いつものアレです。この辺はなんか三池崇史監督の悪意がチラチラ見えてきてちょっと嫌な感じです(笑)。真面目にやればできるんだからやりゃいいのにね。「大作邦画ってこんなかんじでしょ!」みたいな投げやりな感じが透けて見えるのがね^^;

それではそろそろ擁護をば

ではここから良かった集めをしたいと思います(笑)。

まず一番はですね、話の骨格・プロットがきちんとしている点です。こういう「変な場所に急に連れてこられた一団がサバイバルする」というジャンルものにおいて、「A地点でスタート→B地点に行ってなんか拾ったり発見する/知識を得る→A地点に引き返して脱出」というのはお約束のフォーマットです。最近だと「リディック: ギャラクシー・バトル」とか、当ブログだと「ブレデターズ」とかですね。変な惑星に放り出されて、原住民的なエイリアンに襲われて、なんだかんだで脱出するというジャンルムービーです。原作がどうなっているかはわかりませんが、世界観を上手にジャンル映画フォーマットに落とし込めてると思います。これは素晴らしい。なかなかこういうお約束って怖くてできないんですよ。だから、このストーリープロットだけは十分に満点です。
強いて言えば、最初は脱出ポッドが何らかの事情で使えないっていう描写は欲しいですね。一応「定員2人=どのみち全員は乗れない」というのがエクスキューズにはなっていますけれども。

そしてアクション・バトル関連のところです。これはそのまんま「戦闘少女 血の鉄仮面伝説」の丸パクリなんですが(笑)、ある意味「世界に持っていく日本特撮映画=ちょいグロ描写ありのチーム変身ものだ」「しかもスタイルの良い女の子が体の線をモロに出してやるんだ!」という制作側の認識は当たっているわけで(笑)、よくぞこんな企画に大金ぶち込んだと素直に褒めたいと思います。これ、もうちょいちゃんと作ればカルト映画になり得た可能性があったと思います。
それだけに、演技周りの不満が残念でなりません。

【まとめ】

本当のところはわかりませんが、「世界に持っていく日本映画」として作ったのであれば、方向性は間違いなく当たっていると思いますし、これが出てきたというのは大変うれしいことだと思います。あんまり貶す気にならないくらい好感を持ちました。ただ、やっぱり題材がゴキブリってのは、、、、正直なはなし、大画面でみたいかっていうとね(笑)。これなら別にエイリアンでいいじゃんっていう気がビンビンしています。ただのエイリアンじゃそもそも「テラフォーマーズ」にならないって話はありますけどね^^;。

なんというか「全然ダメ!話にならない!糞映画!」っていうテンションではなくて、「惜しい!次頑張って!」って応援したくなるような、そんな映画でした。ただ2回目は遠慮しときます。ゴキブリ苦手なんで^^;

映画をあんまり見ない人がたまたまコレを見たらボロカス叩きたくなる気は凄いよく分かります。でも死屍累々の糞映画を見まくっていて、それでも映画が好きな人ならば、かなり好意的に見られると思います。見どころが一個もないどうでもいいクソ映画じゃなくて、ちゃんと志があって長所のあるクソ映画ですから。「結局クソ映画なんじゃん!」ってオチがついたところで、本作はこの辺で(笑)。

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記事の評価
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

今日はついに公開された

「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」を見てきました。

評価:(97/100点) – 傑作ヒーロー・アクション・サスペンス!


【あらすじ】

スーパーヒーロー機関「S.H.I.E.L.D.」が崩壊し、アベンジャーズたちは草の根でヒーロー活動を続けていた。しかし活動中に民間犠牲者が出続ける事態に、ついに各国から抑止力の必要性が提示されるようになる。提案された「ソコヴィア協定」と名付けられた国際協定は、事実上アベンジャーズを国連軍に組み込むものであった。メンバー間でも賛否が分かれる中、協定を強行する国連とトニー・スターク。しかし調印のまさにその日、ウィーンの国連会議場がテロにより爆破されてしまう、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ラムロウ鎮圧とソコヴィア協定
※第1ターニングポイント -> 国連会議場が爆破される
第2幕 -> キャプテン・アメリカの事件捜査
※第2ターニングポイント -> シベリアのハイドラ基地へ着く
第3幕 -> トニー・スタークの合流と事件の真相


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【感想】

ということで、今日は待望の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」です。なんか宣伝だと「アベンジャーズ3」じゃないかというくらいキャプテン・アメリカのことがスルーされてますが(笑)、れっきとした「キャプテン・アメリカ3」です。とはいえ本作の主題はキャプテン・アメリカの行動理念の源と、そしてアベンジャーズの一時的な分裂です。今後のアベンジャーズシリーズに影響を与えるのは間違いありません。もうシリーズ13作目なので大丈夫だと思いますが、いきなり本作を見てもなんのこっちゃかと思いますのでご注意ください。また、以降はガンガンネタバレを含みます。未見の方はご注意ください。先に感想だけ書いちゃいますと、本作は凄く良くできたサスペンスの上にヒーロー要素を振りかけた傑作です。ぜひぜひGWは劇場へダッシュです!

二つのテーマ

本作には二つのテーマがあります。

一つは活動中に民間人を巻き込んでしまうヒーローの苦悩であり、これはまんま「バットマンvsスーパーマン」にもあったテーマです。「悪との戦いなんだから巻き込まれる人がいたとしても確実に被害は少なく済んでいるはず」というヒーローの心理の一方で、被害者側からすれば個人はあくまでも個人でしかないわけでやりきれないという、いつものですね。これが発展して今回はアイアンマン=トニー・スタークとキャプテン・アメリカ=スティーブ・ロジャースのイデオロギー闘争となります。

もう一つはテロ事件を巡るサスペンスです。国連会議場が爆破され、現場では爆弾を積んだバンに乗ったウィンター・ソルジャー=バッキー・バーンズが目撃されます。果たして犯人はバッキーなのか?それとも誰かの陰謀か?この事件をめぐり、バッキー逮捕に乗り出すトニーと、バッキーの無実を信じて匿いながらも独自調査をするスティーブの衝突が描かれます。

前者のテーマはもちろんスーパーヒーローもの特有の倫理観を取り上げたものですが、後者のサスペンス要素は独立した映画としても十分に通用する素晴らしいものです。前作の「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」も陰謀サスペンスでしたが、本作はさらにクライムサスペンスとして十分な完成度を持っています。やっぱりルッソ兄弟は凄いです。本当にマーベルは良い監督を見つけてくるのが上手です。

テーマ1:ヒーロー問題について

まずは一つ目のテーマであるヒーローの倫理観問題についてです。これは過去作のキャラクター性・ストーリーを踏まえた素晴らしいものになっています。

スティーブは、一作目「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」において、ヒョロヒョロなモヤシ男ながら、国/みんなの役に立ちたい一心で米軍志願兵となります。そして超人化計画を経てキャプテン・アメリカになっての初陣は、ヒドラ軍に捕らえられたバッキーを助けるために、上官の反対を押し切って勝手に単独で敵地潜入を行うというものです。両方とも「誰かに命じられたから」ではなくて、自らの意思で進んで行ったわけです。だからこそ、バッキーから「キャプテン・アメリカの部下はごめんだけど、モヤシのスティーブのためなら一緒に戦う」と言われるわけです。
二作目の「ウィンター・ソルジャー」ではスティーブは自分の信念に従って政府を敵に回して戦います。そして遂にS.H.I.E.L.D.内に潜伏したネオヒドラの存在を突き止め、ヒドラの殲滅に動くわけです。
基本的にスティーブ・ロジャースは己の正義感と信念に従って行動する人間であり、その意味では紛れもなくアベンジャーズの精神的支柱であり、まさしくキャプテンなんです。本作での劇中でも、民間人に犠牲が出たというニュースをみて落ち込むスカーレット・ウィッチ=ワンダ・マキシモフに「犠牲者を気にしすぎて止まってはいけない。」と諭します。確かにラムロウに生物兵器が渡って大量殺人が起きるよりは遥かに被害が少なかったのは間違いないですから。

では一方のトニー・スタークはと言うと、彼は非常に自己中心的で我が道を行く人間です。もっとも、自己中心的と言っても誤解されやすいだけの照れ屋さんで、根はただの技術オタクなんですけどもね(笑)。彼は「アイアンマン」「アイアンマン2」「アイアンマン3」「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」と、毎度毎度アイアンマン・スーツを敵に取られたり技術を悪用されたりしてピンチに陥ります。頑張り屋さんなんですが、結構裏目にでるんですね(笑)。彼は徹頭徹尾自分の意思でやりたい放題やってきたんですが、それの積み重ねにより遂に本作では自分のうかつさに懲りているんです。だから冒頭、「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」のソコヴィア最終決戦で犠牲になったという学生の親から糾弾を受け、ショックを受けてしまうんです。すくなくともウルトロン計画についてはほとんどトニーの責任ですから。明確に「おまえが将来のある若者を殺したんだ」と言われてしまって、しかもインテルに就職が決まってる技術屋だったと知って、完全に自分に重ねちゃったわけです。

これがスティーブとトニーのイデオロギー闘争に発展します。スティーブはいままでも己の意思/正義に従ってきましたし、それを変えるつもりはまったくありません。むしろ「己の正義」以外の第3者の政治にアベンジャーズの力を利用されることを懸念します。この辺は第1作「ザ・ファースト・アベンジャー」においてハイドラ(=ナチス)の全体主義と真っ向勝負をしたからこその教訓なわけです。トニーはその真逆で、失敗続きの自分のことがもう信用出来なくなっています。そして誰かに管理されたいと望むわけです。そうすれば責任も分散されますしね。これは言ってみれば自営業者とサラリーマンの違いみたいなもんです(笑)。

このイデオロギー闘争は、当然決着するわけがありません。これは普遍的なテーマであり、現実世界だってどちらかに統一されるなんてありえないですから。
このスタンスの違いにより、本作でアベンジャーズが2つに分裂してしまいます。

テーマ2:ウィーン国連会議場テロ事件のサスペンス要素

そしてこのヒーロー問題を振り掛けるベースとなるのが、第一ターニングポイントでおきる国連会議場のテロ事件です。現場で取られた写真にはウィンター・ソルジャー=バッキー・バーンズがバッチリ写っており普通に考えれば犯人なのは間違いありません。しかし、スティーブは己の信念にしたがってバッキーの無実を信じ、解明に乗り出します。
本作でもっとも大事な事件は、第一幕に来るスティーブの永遠の恋人・ペギーの死です。スティーブはもともと第2次世界大戦の時の人であり、北極で氷漬けになって70年の時を超えました。スティーブを「キャプテン・アメリカ」ではなく「モヤシのスティーブ」として知っているのは、おばぁちゃんになったペギーと、スティーブと同じく冷凍睡眠されて若い状態でいるバッキーだけです。スティーブにとって「モヤシのスティーブ」こそが自分の原点であり真の姿なわけで、それを知っているこの2人はとても特別な存在です。本作の冒頭でペギーが亡くなったことにより、バッキーは名実ともに「唯一無二の親友」となったわけです。それは「キャプテン・アメリカ」として親交のあるトニーやブラック・ウィドウ=ナターシャ・ロマノフよりも遥かに大切です。だからこそ、彼はリスクをとってでも、バッキーを信じることを選ぶんです。

一方、本作において、トニー・スタークのコンプレックスも描かれます。トニーは技術者としても人間としても偉大な父親に猛烈なコンプレックスを抱いており、同時にまともに会話をすることなく父を亡くしてしまったことに深い後悔を持っています。そして、若かりし父と交流のあったスティーブに対して嫉妬に近い感情を持っています。スティーブのトレードマークである「ヴィブラニウムの丸盾」はまさしく父・ハワード・スタークの創造物であり、それはつまり自分には残されなかった父の形見なんです。そして父と同じようにスティーブと親交をもち、父と同じようにスティーブの真面目さを信頼してもいます。だからこそ、再三再四、トニーはスティーブに協力を依頼します。

このサスペンスパートについては要素を抽出すると、とてもわかり易くなります。
「テロ事件が起きて、警察官である主人公の親友が犯人と疑われる。主人公は警察仲間の必死の説得を無視し、親友を匿って真犯人の独自捜査を開始する。一方、警察仲間は彼なりに独自捜査をすすめ、そして遂に真犯人が別にいることを突き止める。しかし、真犯人の目的は、この3名をある場所へおびき出し、破滅させるためだった、、、」。これですね、いわゆる悪魔型サスペンスのオーソドックスなスタイルなんです。倫理観の暴露を目的とした犯人が、複数の罠を仕掛けてキーマンを集め、最終的に破滅を呼びこむというやつです。
監督のルッソ兄弟もインタビューで元ネタを言っちゃってますが、これモロにデヴィッド・フィンチャー監督の「セブン(1995)」なんです。

本作は、物凄く高いレベルで「キャラものエンターテイメント」と「犯罪サスペンス」を融合させています。これはとてつもない構成力です。ルッソ兄弟は凄すぎます。

もちろんヒーローアクションとしてもバッチり面白いよ!

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そんななか、本作ではヒーローアクションもきっちり見せてくれます。まずは冒頭のラゴスでの対ラムロウ戦。チームアクションとしてきっちり連携を取りながら、スティーブ、ワンダ、ナターシャ、ファルコン=サム・ウィルソンが大活躍します。全員に見せ場が用意されており、特にファルコンの子機=レッドウィングの存在とスカーレット・ウィッチの念力が描かれます。このパートは本当に最高です!個人的にはナターシャのルチャ・リブレっぽい戦い方が大好きで、そこだけで100点満点つけたいくらいです(笑)。
さらには目玉の一つとなっている中盤の空港での6vs6のチームバトルですね。どう考えてもヴィジョンとスカーレット・ウィッチが強すぎるのでどうするのかと思いきや、ここでも見事にみんなに見せ場を用意してくれました。特にですね、ここはアントマンとスパイダーマンが大活躍するのが堪りません。途中ウルトラマンのパロディを入れたり、スパイダーマンをちゃんと軽口を飛ばしながら若者っぽい無鉄砲さで暴れさせたり、笑いを随所にいれながらの素晴らしい配分です。予告でも話題になったウォーマシンの例のシーンはどう考えてもおかしいんですが(笑)、勢いで全然気になりません、どんまいどんまい。ファルコンに直撃してたら消し飛んでたようにしか見えず、明確な殺意が見えるんですがドンマイドンマイ(笑)。

あとですね、途中のカースタントでのブラックパンサー=ティ・チャラはめちゃくちゃかっこいいです。今回のブラックパンサーの戦い方って、爪や蹴りを多用しながら回転しつづけるというカポエイラ系の動きなんですね。これ本当にいい動きをしてます。本作のキーマンの割にはいまいちティ・チャラがお話し上の存在感がないんですが、単独作品がいまからとても楽しみです。

基本的にキャプテン・アメリカって身体能力が超強いだけですし、アイアンマンだって中年のおっさんが手からビームが出る鎧を着てるだけですから、この二人の戦いって地味になりがちです(笑)。でも脇をこれだけ多種多様なメンバーが囲んでくれて、さらにはストーリー上も強烈に盛り上がる場面でタイマン(正確には最初2vs1ですが^^;)が始まるわけで、これは盛り上がらないわけがありません。

正直、このクオリティでバットマンvsスーパーマンを見たかったな~とちょっと遠い目になります、、、、。

【まとめ】

本作はですね、サスペンスとして一級品、ヒーロー・アクションとしても一級品、熱血ものとしても一級品、そしてシャロン・カーターもスカーレット・ウィッチもブラック・ウィドウもみ~んなエロ格好いい。つまり文句がありません!
そりゃね、ラスボスがたかが個人のくせに有能すぎるし行き当たりばったりだろとか、なんでシベリアの基地にビデオが残ってると確信してるんだとか、そもそも最重要テロ犯の精神鑑定医が小細工なしに入れ替わりってセキュリティがザルすぎるだろとか、突っ込みどころは結構あります。でもですね、いいところがありすぎてあんまりノイズになりません。このままのクオリティで、ルッソ兄弟にはぜひ「アベンジャーズ:インフィニティー・ウォー」に突っ込んでいただきたいものです!
ということで、GWはぜひこの一本!超おすすめです!

※もしアベンジャーズシリーズをひとつも見たことがないという方がいたら、最低でも「アイアンマン1」「キャプテン・アメリカ1~2」「アベンジャーズ1~2」は見てからのほうが良いです。最低限この5本で、トニーとスティーブのイデオロギー闘争の背景がわかります。

【おまけ】

最後の「スタークが知らなかった過去」の件でスティーブやナターシャはなんで知ってたんだという話ですが、これ「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」の中盤、スティーブとナターシャがハイドラの秘密基地を発見してドクターゾラ(のAI)を起動するシークエンスで、ドクターゾラが喋ってます。いかにS.H.I.E.L.D内にハイドラが入りこんだのかっていう説明を喜々として語る自慢話のパートです。当時はシレっと流されてましたが、こんなところも伏線だったんですね。

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記事の評価
バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生

では四年ぶりの更新はこちら

「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」です。

評価:(60/100点)
ベン・アフレックは頑張った!あとムチムチ!!!


【あらすじ】

地上に、神が降りた。前作「マン・オブ・スティール」にて圧倒的な存在感をもって地上に降臨したスーパーマンは、異星人・ゾッド将軍の地球侵略を見事に阻止した。しかしその一方で、多くの一般市民を戦いに巻き込み、犠牲者を出すに至った。
得体の知れないスーパーマンは、熱狂的信者を生み出す一方で、同じくらい多くの恐怖と反発を招いた。そして遂に、抑止力の必要性が訴えられるようになる。
その時、あの男が遂に動き出した、、、

【三幕構成】

第1幕 -> バットマンの暴走
 ※第1ターニングポイント -> クリプトナイトの塊がメトロポリスに来る
第2幕 -> バットマンによるクリプトナイト奪取作戦と打倒スーパーマン
 ※第2ターニングポイント -> バットマンが改心する。
第3幕 -> マーサ救出作戦とドゥームズデイとの死闘


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【感想】

ということで、改めましてこんばんは。きゅうべいです。ブログ復活第1弾は「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」です。アメリカにおける「ジャンプとマガジン」的な立ち位置のマーベルとDCコミックスにおいて、全てを超越して知名度を誇るのは「スーパーマン」「バットマン」「スパイダーマン」です。日本でいう仮面ライダーとかドラゴンボールみたいな感覚ですね。話しは知らなくても、キャラクターを知らないってことはまずありません。ところがどっこい、マーベルはアイアンマンを筆頭に良作を連発し、「軽いノリで家族や恋人と楽しめるヒーロー映画」を確立してしまいました。しかも大正義スパイダーマン抜きで^^;「ダークナイト」だって面白いですが、やっぱ暗いじゃないですか。これはDCコミックスにとってはかなりまずい状況です。そんなこんなで、マーベルに対抗するために、DCもDC版アベンジャーズであるところのジャスティス・リーグを本格的に始めるわけです。余談ですが、この「DC版アベンジャーズ」という表現が、もうすでにDCコミックスにとっては屈辱なわけです(笑)。
そんな状況の中で、「マン・オブ・スティール」はかなりアレな出来になってしまったわけで(笑)、本作はまさにDCにとっての「負けられない戦いがそこにある」って環境です。プレッシャー5割り増し。7回8点差からの大逆転が求められる大事な場面。だれしも「ザックで大丈夫か?」「ノーランのが良くね?」「っていうかベン・アフレックじゃね?」と怪しい空気が流れる中、ザック・スナイダーの続投です。

さて、このお決まりのセリフを書くのも4年ぶりです。以降、本作を全力で擁護するために完全にネタバレを含みます。未見の方は、ぜひ映画館で見ていただいて、そのあとでお読みください。
また、本作は「マン・オブ・スティール」の完全な続編です。「マン・オブ・スティール」を見ていないとそもそもの話についていけませんので、映画館に行く前にまずは前作をチェックしてください。

話の概要

本作は「マン・オブ・スティール」の「一方その頃劇場」から始まります。「マン・オブ・スティール」にてゾッド将軍とスーパーマンがまさに死闘を繰り広げるそのウラで、メトロポリスにあるバットマン=ブルース・ウェインの会社ビルが倒壊し、従業員に多数の死者が出ます。ここからブルースは私怨の入り混じった「こじらせ正義感」でもってスーパーマンを敵視していくようになるわけです。
そして、その私怨を利用する悪魔レックス・ルーサーによって、ついにはバットマンとスーパーマンは戦わざるをえない状況に突入してしまいます、、、、。そう、「ダークナイト3部作(2005~2012)」の流れを否が応でも意識してしまう本作において、倫理を問う「悪魔」の役はレックス・ルーサーが背負います。レックス・ルーサーを演じるジェシー・アイゼンバーグは、今作でも早口・頭の回転激速・ちょいとイカれたサイコパスという得意芸を披露してくれます。「まんまソーシャル・ネットワークのザッカーバーグやんけ!」という話なんですが、もうなんかアイゼンバーグが出てきただけでキャラがわかるというすごい変な立ち位置になってしまいました(笑)。ある意味では藤原竜也の最終進化系かもしれません(笑)。

また、このあたりは「アベンジャーズ(1作目)」でも苦労していた部分なのですが、ヒーロー同士が戦うというのは、作劇的には非常に難しいのです。プロレスが好きな方には「チャンピオンvsチャンピオン」というとすぐにピンと来ていただけるかと思いますw

ちょいと話しが脱線しますが、「チャンピオンvsチャンピオン」というのはプロレスに古くからある様式美の一つでして、数々のアレげな遺恨を残してきた曰くつきの試合展開のことです(苦笑)。アメリカのプロレス界には昔(※といっても厳密には名前だけはいまも残ってます)NWAという業界団体がありまして、ここが多くの加盟団体を盛り上げるために「統一王者」を核とした「中央ドサ回り体制」というのを組んでいた時代がありました。要は各団体ごとに各々存在しているチャンピオンのさらに上に「NWA世界チャンピオン」という「チャンピオン・オブ・チャンピオンズ」を作って、これが全米を巡業していくんですね。そうすると、一年に一回、「世界チャンピオンがオラが街にやってくる」というイベントが有るわけです。こうしてマンネリ化しがちな団体のストーリーに刺激を加えるんです。そこで生まれるのが「チャンピオンvsチャンピオン」という型です。「世界チャンピオンは負けてはいけない」「その地方のチャンピオンもボロ負けして”格”を落としてはいけない」という制約のもと、試合を組み立てないといけないのです。そうすると、これはもうパターンが決まってきます。

1) 世界チャンピオンの反則負け
2) 接戦での両者リングアウト
3) いい試合を展開するが邪魔者が乱入して無効試合になる。チャンピオン同士が共闘して邪魔者を排除し、最後は二人でガッツポーズ&固い握手
4) 大接戦を演じるが、地元のヒーローが最後にあと一歩およばずに世界チャンピオンに負ける

世界チャンピオンが悪役(ヒール)の場合、1)のパターンが一番楽で疲れません。実際に歴代のNWA王者はヒールで1)を行うことが圧倒的に多かったです(笑)。2)はお客さんが不完全燃焼になってしまうため、ここぞの場面では使えません。3連戦等のときに、初戦で使うのが上等手段です。3)は一番みんながハッピーになるパターンです。これはどちらのチャンピオンも価値を損なうことなく善玉(ベビーフェイス)でいられるとても良い選択肢です。4)はこれもWin-Winなのですが、超疲れるという弱点があります(笑)。世界チャンピオンはほぼ毎日試合をしないといけないので、こういう30分を超えるハイスパートゲームは1年に1回くらいしかできません。これはビッグマッチ用です。

さて、では今回の「チャンピオンvsチャンピオン」、つまりバットマンvsスーパーマンはというと、、、こりゃもう見なくてもなんとなくわかると思います(笑)。その予想があっているかどうか、ぜひ劇場でお確かめください。

ちなみに、本作の元ネタのひとつである「ダークナイト・リターンズ(日本では「バットマン:ダークナイト」名義で小プロから刊行http://books.shopro.co.jp/?contents=9784796870610)」では、とある事情で両者リングアウト状態になっています(笑)。

怒涛の擁護を展開するぜ!

さて、それではいよいよ本日の本題に入ります。ここからが私のアクロバット擁護と詐欺的弁舌の腕の見せ所(笑)。では行ってみましょう!

■ 争点1:「そもそもスーパーマンが暗くね?」問題

まず見た方が一番怒っている部分についてやっつけましょう。「そもそもスーパーマンが暗くね?」っていう問題です。これはですね、、、その通りです(笑)。返す言葉もございません。マーベルの一連のアメコミ映画と比べて、本作は明らかにギャグ要素が少ないです。っていうかほとんどないです。ギャグとして成立しているのは、アクアマンの登場シーンと、バットマンがスーパーマンと戦ってる最中に「ちょ、まって、、、たんま!たんま!」ってやるシーンぐらいです。あとは全体的に超シリアスです。

これは一般論としてなのですが、マーベル系は「ノリの軽いスーパーヒーローがギャグを飛ばしながら敵をやっつける」というパターンが多く、一方のDCコミックス系は「ヒーローが頭脳的な敵の手のひらの上で踊らされて苦戦するが、正義の心でなんとか勝利する」というパターンが多いです。キャラの特性上、これ結構仕方ないんですよね。特に今回の「バットマンvsスーパーマン」はどうしたって序盤は「イデオロギー闘争」にならざるを得ないわけで、これは暗くなるしかないんです。余談ですが「イデオロギー闘争」ってのもプロレスオタクが大好きなキーワードです。脱線すると超長くなるので、それはまた別の機会に(笑)。

今回の「バットマンvsスーパーマン」で一番重要なのは、これを「リアル路線」でやるのか「コミカル路線」でやるのかという点です。そしてワーナー/DCコミックス連合は一貫して「リアル路線」を通してきました。この方向性において、本作の「暗さ」はとても重要な意味をもちます。

本作を成立させるためには、観客をバットマン側に感情移入させないといけません。プロレスにおいての「オラが街のヒーロー」はバットマンであり、スーパーマンは「よそからやってきた宇宙チャンピオン」なのです。「DC宇宙ヘビーウェイト・チャンピオン」がスーパーマンで、「DCゴッサムテリトリー・チャンピオン」がバットマンです。この構造において、スーパーマンは「敵かな~?味方かな~?」という立ち位置をキープする必要があります。真正面から戦えば、生身の人間であるブルースが目から怪光線を出す宇宙人のカル・エルに勝てるわけがないですから。

そのため、本作のスーパーマンは「得体の知れない宇宙人」である必要があります。これこそ、まさに「神のいかづち」というスーパーマンのキャラクター性なわけです。クラーク・ケントがとってもナイスガイなのは世界中の皆が知っているんですが、一方で「でもこいつちょっと、、、」と思わせるために、本作では「後光を背負って空からゆっくり降りてくるスーパーマン」という描写が多用されます。まるで天使か神が降臨したかのように、後光で表情がよく見えないスーパーマンは不気味さを漂わせています。スーパーマンの暗さは、この得体の知れなさを演出するために非常に重要です。

■ 争点2:「バットマンが敵を殺してね?」問題

一方のバットマンですが、こちらは「神」であるスーパーマンとは対照的に、泥臭いまでの人間性を見せてくれます。本作のバットマンは、少なくとも後半のとある転機を迎えるまでは、はっきりと「狂って」います。正義を遂行するためには悪人に焼きごてを押し付けて「拷問」することも厭いません。そして、映画を見た多くの方がツッコミをいれているように、序盤のバットマンは明らかに敵を殺しています。夢の中だろうが現実だろうが、バットマンは銃を撃ち、敵の車を爆破し、ぶっ殺しまくります。これはみんなが想像する「バットマン像」とは違います。

本作のストーリーの核となるのは、「オラが街のヒーロー」であるバットマンの復活劇です

映画の冒頭、ブルースの両親が殺されるおなじみの展開のあと、両親の葬式→地下(井戸?)に落ちる→コウモリと出会うというおなじみの展開があり、そしてタイトルが出ます。映画のラストでは、ブルースが世界中に散らばるヒーローを集めて「ジャスティス・リーグ」を作る決意をする所で終わります。この単純な構成において、映画の最初と最後を担うバットマンは間違いなく本作の主人公です。

映画の1幕~2幕までのブルースは明らかに狂っており、それは
「20年近く戦ってきたのに悪は一向に減らない」
「本当に自分のやりかたは正しかったのか?」
「ポッと出のスーパーマンは犠牲を多く出しているのにヒーロー扱いされている。自分も犠牲を厭わずに強行手段に出るべきでは?」

という自己葛藤の末の「正義感の極端な飛躍」によるものです。ここに及んで、バットマンは「敵を殺さずに逮捕する」というポリシーを捨て、「できるだけ逮捕するが必要ならぶっ殺す」というポリシーに切り替えるわけです。
物語の序盤で、この転向のことをアルフレッドがはっきりとセリフで嘆きます。

“That’s how it starts. The fever, the rage, the feeling of powerlessness that turns good men… cruel. ”

直訳:それ(=スーパーマンの登場)がきっかけです。熱狂、怒り、無力感、それが良い奴(=ヒーロー=バットマン)を残酷な男に変えました。

スーパーマンの登場によってタガが外れたバットマンは、しかし最終盤において、そのスーパーマン自身が「赤い血を流す存在(=全知全能の神ではない)」であり、「母親を心配する一人の良き男(=しかもお母さんの名前がたまたま自分と同じ)」であるという事実を知り、我に帰ります。そしてみんなのバットマンが帰ってきます!本作におけるバットマン最大の見せ場――マーサ救出戦において、バットマンはワイヤーガンで敵を吊るしあげ、殴って気絶させ、そして犠牲者を出すことなく(※ひそかに2人ぐらい手榴弾の自爆で死んでるっぽいですがw)事態を制圧します。そして助けたマーサにギャグを飛ばします。これこそ本作における最大のカタルシスであり、「バットマンお帰り!」という拍手大喝采のシーンなわけです。

そこから先は、ついにジャスティス・リーグとしての初戦、「ヒーロー軍団vsスーパーモンスター」に突入します。これははっきりいって蛇足みたいなものです。ストーリーの本筋はもう終わっていますから、あとは心いくまで「怪獣大戦争」を愉しめばOKです。

■ 争点3:「クリプトナイトを強奪するのにバッツが発信機つけた上でモービルで追っかけるのは変じゃね?」問題

あの場面、バットマンは「いま強奪できるならしちゃいたいけど、万が一ミスったときように発信機をつけとこう」っていうことなんですね。なので、「発信機をつけたのに追っかけるのはおかしい」ではなくて「追っかけるのにわざわざ発信機を付けるなんて、バッツはなんて用意周到なんだ!」と褒めるべきです(断言)。そうなんです。よくやったんです。さすがブルース、百戦錬磨・20年の経験が活かされたナイスチョイスです。そのあとガンぶっ放して発信機が壊れそうになってるのはギャグパートです(笑)。

■ 争点4:「バットマンとスーパーマンの戦いの端初がただのバカじゃね?」問題

返す言葉もございません(笑)。というか、バットマンがスーパーマンの話を聞いてくれなかったのが原因ではじまった「売り言葉に買い言葉」的な喧嘩である事実は否めません。でもさ、仕方ないじゃん。あの場面じゃ「殺る気マンマン」なわけで、まさか「かぁちゃん助けるの手伝って」なんて言ってくるとは思わないべさ。それにさ、スーパーマンは目から怪光線だせるわけで、一瞬でも躊躇ったら即死だからさ。そりゃ先手必勝でいくべさ。仕方ないべさ。そうさ、仕方ないだ(自己暗示)。

■ 争点5:「そもそもマーサを助けるのってスーパーマン単独で楽勝じゃね?」問題

返す言葉もございませんパート2(笑)。スーパーマンが助けを求めるぐらいだから、対スーパーマン専用の罠とか仕込んであるのかなと思ったら、まさかの何もなし(笑)。映画の冒頭でロイスを助けた時と同じやり方でスーパーマン単独で助けることができたのは間違いありません(笑)。でもさ、スーパーマンはウブな坊やだからさ、まさかレックス・ルーサーが100%ハッタリだけであんな大胆な人質の取り方をしてるとは思わないじゃないですか。ということで、あれは間抜けというよりも「さすがレックス!ハッタリだけでスーパーマンを萎えさせるなんて!」とヤツを褒めるべきでしょう。さすがレックス!そこにシビれる!あこがれるゥ!。なんか擁護がキツくなってきた(笑)。

■ 争点6:「スーパーマンが死ぬって酷くね?」問題

最後の最後にスーパーマンが殉職することについて、「これからジャスティス・リーグをやるのにいきなりメインを殺すなよ!」というツッコミが多数見受けられました。でもですね、シリーズを続けるからこそ、これは必要なんです。

これは私が勝手に呼ぶところの「勇者のジレンマ」ってやつです。

皆さん、ドラゴンクエストっていうRPGゲームをご存知でしょうか?エニックスの人気テレビゲームで、だいたいのシリーズ作品は「ど田舎の少年が勇者に成長して、魔王を倒しに行って、世界を救う」という王道ファンタジー・ストーリーです。それでもってですね、この王道ストーリーにおいて勇者にはあるジレンマが発生します。それは「魔王を倒した勇者は、魔王よりも強いうえにもはやライバルがおらず、やろうと思えば世界征服が可能である」ということなんです(笑)。ドラゴンクエストでは、このジレンマを解消するために、勇者が行方不明になったり、勇者が田舎にもどって百姓になったりします。たまに王様になるパターンもありますが、その場合は「いつまでも幸せに暮らしましたとさ」みたいなヌルい注釈がつきます(笑)。

この「勇者のジレンマ」はかなり切実な問題です。現実世界でも「革命家が独裁者になる」というパターンは世界史で繰り返されてきました。勇者は本気をだせば世界征服ができてしまうわけで、それはつまり「世界の脅威を倒したものは、すなわちそれ自身が新たな世界の脅威である」ということなんですね。

本作「バットマン vs スーパーマン」において、ドゥームズデイを倒したスーパーマンは完全に「世界の脅威」なんです。スーパーマンがいると、彼が強すぎるがゆえにこの先ストーリーが転がせなくなってしまいます。つまり、セガール映画におけるスティーブン・セガールのように(笑)、スーパーマンがいると「いつスーパーマンが本気をだすか」という点以外にストーリーが成立しないんですね。ですので、シリーズを続ける以上はスーパーマンには一旦お休みしてもらう必要があるんです。これにたいしてスーパーマンのファンの方が怒る必要はまったくありません。むしろスーパーマンを最大限に評価しているからこそ「一旦お休み」という選択肢を取らざるを得ないわけですから、最高のリスペクトを受けている証拠です。

■ 争点7:「でもさ、クリプトナイトの槍を貫通させる必要なくね?」問題

返す言葉もございませんパート3(苦笑)。本作では、「自分の胸に突き刺さったドゥームズデイの右腕」をわざわざ引き寄せて(自分に深く突き刺して)まで、スーパーマンはドゥームズデイにクリプトナイトの槍を深く突き刺し、貫通させます。でも、クリプトナイトってその形状に破壊力があるんじゃなくて触れたり近くにいるクリプトンを弱体化させるわけで、っていうことは貫通させずに体内に残しておいたほうが破壊力高いんですよね(笑)。たぶんスーパーマンも久々の熱血展開でテンション上がっちゃって判断をミスったんでしょう。スーパーマンの人間らしさが垣間見えるすばらしいエピソードです(半分泣き目)。

【まとめ】

勢いで書いていたらすでに6,000字を超えてしまったのでまとめに入ります(笑)

本作はスーパーヒーロー軍団「ジャスティス・リーグ」の序章であると同時に、実質的に「新生ベン・アフレックのバットマン」1作目です。ですので、本作は「ジャスティス・リーグ誕生の契機がきちんと描かれているかどうか」と「ベン・アフレックのバットマンは魅力的かどうか」が重要です。その点はどうでしょうか? 本作は随所でボロクソに叩かれてますが(笑)、でも少なくとも「ベン・アフレックのバットマン」と「ワンダーウーマンの太もものムチムチっぷり」についての悪口は見たことがありません!っていうか最高です!太もも最高!!!

ということで、ベン・アフレックが最高で、太ももがむっちむちで、なんの文句がありましょうか??? いや、あるはずがない(反語)。

暗い? 話が長い? バットマンとスーパーマンが戦ってない? ロイスが間抜けすぎる? そんなことはええんや!!!
太ももじゃ太もも!!!!

おすすめで~~~す。(適当)

※ちなみに、大マジな話、そろそろジョゼフ・ゴードン=レヴィットのナイトウィングがみたいので、是非ベンアフ版バットマン単独作品は「Court of Owls」原作でお願いしたいです。

※ザック・スナイダーという監督は、「300」もそうですし「ウォッチ・メン」もそうですし、もちろん「エンジェル・ウォーズ」もそうですが、あんまりお話に興味がないんですよね(笑)。”グラフィックノベルの映像化”の極北が「シン・シティ(2005)」シリーズなわけで、きっと大真面目に巨大バジェットを使ってそれをやりたかったのかなぁと。「いかに漫画を格好良く実写化するか」というオタクマインドで突き進む人なので、そういう意味ではヘンリー・カヴィルもベン・アフレックも十二分に格好いいし、いいじゃんとゆる~く思います(笑)。

【おまけ】

※さんざっぱら言われてますが、本作の元ネタは、7割が「ダークナイト・リターンズ」、2割が「キングダム・カム」、残りが「フラッシュ・ポイント(ヴィレッジブックス刊)」他って感じです。とりあえず、アメコミを掘ってみたい方は小学館集英社プロダクションの「ダークナイト」(←ダークナイト・リターンズと続編のダークナイト・ストライクス・アゲインの合本豪華版)を読んでおくと良いと思います。気に入ったら「バットマン:ゼロイヤー(The New52!)」に行くと、なんとなくイントロから読めます。リブートしたバットマン漫画は、まだ本編6巻+外伝3巻しかないので手を出しやすいです。

以下はアフィリエイト/ステマ等は一切ございませんので安心してご覧ください(笑)。

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ハンナ

ハンナ

今日も2本見て来ました。1本目は

ハンナ」です。

評価:(65/100点) – ニキータっぽいのかとおもいきや意外と淡々。


【あらすじ】

ハンナは人里離れた雪の森で父親に育てられた。世間から隔離された環境の中で彼女は父から格闘術や暗殺術をしこまれる。ある日、父は無線機を出して「このスイッチをいれればここから出て行ける。そのかわりマリッサを殺すかマリッサに殺されるかしなければ自由はなくなる。」と告げられる。迷った末にスイッチを入れるハンナだったが、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ハンナの森での暮らし。
 ※第1ターニングポイント -> ハンナがCIAに捕まる。
第2幕 -> ハンナのベルリンへの旅。
 ※第2ターニングポイント -> ハンナがベルリンへ到着する。
第3幕 -> ハンナの出生の秘密


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【感想】

今日も今日とて2本見てきました。1本目は少女暗殺者ものの「ハンナ」です。ジャンルとしてはアクション映画だと思うんですが、小箱ながら客席は完全に満員でした。学生の夏休み最後の土日だからなのか作品人気だからなのか、ちょっとビックリしました。
本作品は少女がなんらかの組織に暗殺者として育てられる、、、というある種のジャンル映画です。このジャンルのパイオニアはリュック・ベッソンの「ニキータ(1990)」で、その後似たような設定の作品が映画のみならずアニメや漫画でも溢れかえりました。このジャンルでは「世間知らずだけれども暗殺術・格闘術に関しては超一級」という少女と普通の少年・少女とのカルチャーギャップコメディを混ぜつつも最終的には普通の少女になったりやっぱり暗殺者に戻ったりします。
では本作はどうかといいますと、、、シアーシャ・ローナンもエリック・バナもケイト・ブランシェットも魅力的ではあるんですが、どうにもいまいち淡々とした印象をうけます。一番の理由はハンナがあんまり「普通の女の子」になろうとしないことです。この手のジャンルものですと通常は途中で「普通の女の子」としての楽しみを知ってそれに憧れる過程があるのですが、本作ではずっと無表情でいまいち笑いません。唯一出てくるのが道中で出会うソフィーとの友情物語です。ですが、肝心の場面でハンナが助けにいかなかったりするので、ハンナにとってどこまで重要なのかあんまりわかりません。そうすると、ハンナが本当に不思議ちゃんにしか見えなくなってしまうので微妙に盛り上がりに欠けます。
一応本作のストーリー構造上は、「何も知らなかったハンナがソフィーと出会って友情を知るけど出生の秘密を知ることで再び暗殺者の顔にもどる」という形にはなっています。もっと思い切って中盤でハンナがキャピキャピしちゃっても良かったかなと思います。
そして肝心のアクションシーンですが、こちらはエリック・バナが面白さの大部分を牽引しています。とにかくエリック・バナ演じる父ちゃんが最高に渋くて最高に格好いいです。細身のスーツでビシっと決めながら相手をぶち殺していく姿は本当にキマっています。一方のシアーシャ・ローナンも負けじとかなり頑張っています。1対1で正面きっての戦いこそないものの、結構あいてを”こねる”動きが出来ていてかなり素質を感じました。
ただ、このアクションシーンでも実は一点だけどうしても惜しいところがあります。鉄砲にしても矢にしてもナイフにしても拷問にしても、肝心の「死ぬ瞬間」が映らないんです。相手に当たるところはカメラが別の方向を向いていてその後に死んでいる人だったりが「結果」として映ります。おそらく年齢制限を回避するためだとおもいますが、せっかくのアクション映画で肝心の所を隠してしまうのはちょっと残念でした。これもやっぱり全編通して淡々とした印象をあたえてしまう一因だとおもいます。
とかなんとかいいつつも、Wデートのシーンは本当に最高です。このシーンの腰払いだけで100点!!! そこだけって話もありますけど、、、、。

【まとめ】

シアーシャ・ローナンのアイドル性がいまいち伝わらなかった大変惜しい作品だと思います。でもシアーシャとケイト・ブランシェットが役者のタイプとして本当にそっくりというのは良い発見でした。
あんまり積極的にオススメするほどでもないかなとはおもいますが、ジャンルムービーとしては十分に及第点の出来です。やっぱり最後に天丼ギャグで”ドーン”ってタイトルが出るとテンション上がりますしね。何を見るか迷ったらおすすめです。

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トランスフォーマー: ダークサイド・ムーン

トランスフォーマー: ダークサイド・ムーン

はいはいどんどんいきましょう。続いてはマイケル・ベイの超絶アホ映画。

トランスフォーマー:ダークサイド・ムーン」です。

評価:(75/100点) – 夏だ!一番!マイケル・ベイ祭り!!


【あらすじ】

前作から数年後。オプティマスらのオートボットはアメリカ政府に協力して、世界各地で平和のために戦っていた。
ある日、いつものように敵を探しにチェルノブイリ原発跡に潜入したアメリカ軍とオプティマスは、そこで新たな巨大ディセプトコンと遭遇する。
ディセプトコンをなんとか撃退した彼らが見つけたのはかつてサイバトロン星から最後の希望として脱出した宇宙船アークの運搬物だった。
何故アークの残骸が地球にあるのか?その謎が明かされた時、かつてのアポロ計画の全容が明らかになる、、、。


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【感想】

さてさて、7月最後に見たのはマイケル・ベイのバカ映画シリーズ3作目、「トランスフォーマー:ダークサイド・ムーン」です。3D映像を前面に出したプロモーションをしていまして、いろいろと不安は一杯あったんですがとりあえず行ってみました。初日ということもありお客さんはかなり入っていました。てっきり前作「トランスフォーマー:リベンジ」のあまりの出来でもう飽きられてるかと思ってたんですが、意外や意外。なんというか、、懲りないというか、大作に弱いというか、、、。でも個人的には見て大正解だったと思います。相変わらず脚本はズタボロですが、3Dも相まってお祭り感がとんでもないことになっています。超躁状態。超ハイテンション。そして超頭が悪いw まったく問題無いと思いますw

「好きなものを詰め込む=俺だけの祭り」というサービス

本作にもし自分がサブタイトルをつけるとしたら「マイケル・ベイ リサイタル」です。この作品はとにかく過剰なサービス、つまりドラえもんの「ジャイアン・リサイタル」的な過剰なサービスに溢れていますw
「おまえら女の子は好きだろ。よし、尻とおっぱいを3Dで飛び出しとくぞ!」「おうおう。おまえらロボットも好きだろ。良し。じゃあ今度はもっと細かく書いといてやろう。」「そうかそうか。やっぱりおまえら侵略SFも好きだよな。おれも大好きだ。じゃあ宇宙戦争を入れとくか。」などなど。本当にこんな感じで悪意の無い過剰サービスに涙が止まりませんw
おばぁちゃんもうお腹いっぱいだからおかわりはいいって。え、おはぎもう一個? じゃあ一個だけね。えぇ!?スイカもあるの!?あ、じゃあ後で食べるから置いといて、、、。
気付くとどんどん後回しになっていて、どんどん上映時間が伸びていって、そしてどんどん最初の目的から脱線していきますw
ですから、本作をどう表現するかはすごく難しいんです。いわゆる「映画として良く出来ているか」で言えば
全然ダメです。文字通り話しになってません。でも「面白いか」って聞かれればこんなに面白いお祭りは他にありません。だってロボットがワイワイ活躍して、美女が周りをウロウロしていて、イケすかない奴はみんな痛い目をみるんですよ。こんな爽快でこんなに頭の悪い映画は他にありませんw
そもそもからして、開始早々に某ユダヤ人問題で降板したブルーカラー・セクシーのミーガン・フォックスをいきなりビッチ呼ばわりした挙句に貴族でお嬢様のロージー・ハンティントン・ホワイトリーが代わりの恋人として出てくるわけですよ。この半笑いで悪ふざけのキャスティング。絶対にミーガンはこの当て付けにムカついてると思うんですが(笑)、こういうことをやってくるこの悪ふざけセンスが始終続きます。ですから、なんというか真面目に突っ込んだら負けな気がするんです。どっカーン!ちゅどーん!いぇーい!で、エンディングロールw
100%良いと思います。
そりゃあね、最後に敵を倒すのがあっさりしすぎて雑魚にしか見えないとか、そもそも書き込み過多な上に3Dで雑然としてるからロボットキャラの区別がつかないとか、いろいろ言いたいことはあるんですよ。マルコビッチがなんだったのかもよくわからないですし、なんかパトリック・デンプシーも最後で帳尻を合わせただけみたいに雑ですし。でも良いんです。お祭なんです。だからこっちも乗っかっときましょう。
踊る阿呆に見る阿呆。同じ阿呆なら踊らにゃソンソン!!!!

【まとめ】

右手にポップコーン、左手にコカコーラを抱えて劇場へダッシュです。あとお祭なので2Dはオススメしません。ぶっちゃけ話しとしては3Dの必要はまったくないのですが、毒を喰らわば皿までです。せっかくじゃんがらラーメン全部のせを頼んだのに、味薄めにしてもしょうがないじゃないですかw 思いっきりニンニクも放り込みましょうw どうせ話しは破綻してますし、全てはその場その場の勢いだけです。でもその勢いがとんでもないレベルの勢いなため、不思議な説得力と満腹感があります。
オススメです!!!

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アイ・アム・ナンバー4

アイ・アム・ナンバー4

やっつけ仕事パート3は

アイ・アム・ナンバー4」です。

評価:(85 /100点) – ジョックス共よ、帰宅部の本気を見せてやる!!!!


【あらすじ】

宇宙の侵略者モガドリアン達によって故郷をまさに破壊されようとしていたロリアン人たちは、最後の希望を9人の子供達に託し守護者と共に地球に避難させることにした。
それから十数年、ナンバー4と呼ばれるロリアンの少年は、偽名を使いながら父親代わりのヘンリーと逃走生活を送っていた。ある日、いつものように転校してきたオハイオのパラダイス高校でジョン・スミス(=アメリカ人の典型的な偽名。山田太郎みたいな感じ。)と名乗った彼は、学校でカメラマンをするサラと出会う。ミステリアスなジョンの雰囲気に魅かれるサラと良い感じの雰囲気になるものの、彼女にはアメフト部のエースで学園を牛耳る元カレのマークが居たのだ! マークはあまりの傲慢さからサラに振られたにも関わらず、まだまだ未練タラタラでちょっかいを出してくる。やがてジョンがロリアン人としての真の力に目覚めるとき、世を忍ぶ帰宅部員vs学園ナンバーワン・ジョクスの究極の恋愛闘争が始まる!! 果たしてジョンはマークを倒せるのか!? サラとの恋の行方は!? そして蚊帳の外におかれたモガドリアン達のロリアン人狩りは成功するのか!? 今、宇宙を揺るがす戦いがオハイオ州パラダイス高校のアメフト場で切って落とされる!!!!!!


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【感想】

さて、やっつけ仕事の3本目は「アイ・アム・ナンバー4」です。本作は一見すると超能力ヒーローものかと思いますが、実際には正当な学園ラブコメとなっています。あきらかにスーパーマン・クラーク=ケントを意識した設定で登場するナンバー4・ジョン=スミスは、転校早々にちょっと問題児っぽい美人カメラマンのサラ(=これがモロにスーパーマンのヒロイン・ロイス)と陰謀論者兼SFオタクでいじめられっ子のサムと出会います。この3人組とサラの元カレにしてジョックス代表のようなイケ好かないマーク&取り巻きとの戦いが作品の大部分を占めます。すなわち、ナードとジョックスが学園有数のプロム・クイーンを奪い合うという典型的なラブコメものです。ここに宇宙からの侵略者・モガドリアンが入り乱れて、非常に大がかりな大スペクタクル・アホ大戦が始まりますw アメフト野郎は終始情けない醜態を晒し続け父親にまで泣きついたあげくにモガドリアンに一蹴さられてしまいますし、ラストには聖地・アメフト場がジョンの本気によって見るも無惨な大爆発を起こしてしまいます。この作品を書いた人は本当にジョックスが嫌いなのねw
一方のナード軍団はパラダイスです。ジョンはきっちりサラをゲットしますし、なんとオタクのサム君にもスレンダーなのに超強いワイルド系美女・ナンバー6・ジャン・ドー(山田花子的な偽名)が割り当てられます。つまりナード軍団完全勝利!小五月蠅い保護者も居なくなって、ジョックス共はボコって改心、完全なるパラダイスが待っています!!
ということで、ヒーローモノかと思ったら実は頭の悪い童貞バンザイ映画だったわけです。つまり、、、、我々の大好物!!!!!
オススメです!!!! 絶対オススメです!!!!!

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マイティ・ソー

マイティ・ソー

土曜は手始めに

マイティ・ソー」をみました。

評価:(60/100点) – アベンジャーズの前振り第2弾!


【あらすじ】

全知全能の神にしてアスガルドの王・オーディンの息子として生まれたソーは、その奔放な暴れっぷりから父にいまいち信用されていなかった。そんなソーに王位を譲ろうとするまさにその日、霜の巨人・ヨトゥンがアスガルドに侵入してくる。簡単に撃退したものの、怒りの収まらないソーはオーディンの制止を振り切って、仲間を引き連れてヨトゥンハイムに殴り込みをしてしまう。ついにオーディンの怒りに触れてしまったソーは、罰としてミッドガルド(人間界)へと追放されてしまう。
力を奪われて人間となったソーは天文学者のジェーンに拾われる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ヨトゥンの侵入とソーの殴り込み
 ※第1ターニングポイント -> ソーがミッドガルドに追放される。
第2幕 -> ムジョルニアとS.H.I.E.L.D.とロキの暗躍。
 ※第2ターニングポイント -> ロキがミッドガルドにガーディアンを送り込む。
第3幕 -> ロキの真の目的とソー。


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【感想】

土曜の一本目は「マイティ・ソー」です。「雷神ソー」の名前で有名な古典的アメコミの実写化で、来年のアベンジャーズへの前振り第2弾です。アメコミものとしては劇場が7割ぐらい埋まっていましたので結構入っている方だと思います。
本作は非常に書きにくい作品です。というのも、単体の映画として見た場合、正直なところあんまり出来が良くないんですね。全体的に非常にあっさり話が進んでいきますし、そもそも前提として北欧神話の世界観がある程度分かってないときついです。何の説明も無しに「オーディンの眠り」みたいなネタが普通に登場しますから。
基本的には「やんちゃなマッチョ系神様のソーが地球に下りてきて人間的な心に触れることで思いやりを知る」という成長物語です。なんですが、いまいち盛り上がらないのはその決定的な成長の瞬間がショボイからです。ロキが「親父、死んじゃったよ」って言っただけで改心してしまいますから。それってミッドガルドがあんまり関係ないですし、あまりにも普通すぎてイマイチ成長した感じがありません。そして当たり前なんですが、さすが北欧神話最マッチョの雷神ソーだけあって、最強ハンマー・ムジョルニアを手にするとまったく敵がいません。楽勝で次々と敵を倒していきます。一番盛り上がるはずのソーの復活までに至るカタルシスがちょっと弱くて微妙な雰囲気になります。
一応原作のコミックではソーがミッドガルドに追放された際はドナルド・ブレイクという足の不自由な人間の姿にされるわけですが、本作ではマッチョなまんまで人間界に落とされるため、それはそれで問題無く活躍してしまいます。ここはかなり押しが弱くなっており、ソーがいまいち成長したように見えない原因になっています。
とまぁあんまりな感じなんですが、本作は単体の映画というよりは来年公開の「アベンジャーズ」への前振りなわけで、そう考えると突然面白くなってきます。本作でも相変わらず大ヒーロー本部「S.H,I.E.L.D.」が超常現象に目を付けて調査しに来ます。ここはアベンジャーズ系の前作「アイアンマン2」のエンドロール後にあったシーンから繋がるストーリーです。劇中では「政府系機関」としか語られませんが、アベンジャーズを心待ちにしているアメコミファンからすればS.H,I.E.L.D.の登場は「待ってました!」っていう展開なわけです。
でまぁハッキリといってしまえば、本作での「S.H,I.E.L.D.」の扱いを見れば明らかなように、本作は単体の映画として面白くする気よりはやはり「アベンジャーズ」のための顔見せの色合いが大変強くなっています。なので、多少つまらなかったとしてもそのアベンジャーズへの期待だけで結構ニヤニヤしながら見られてしまいます。ただ、やっぱりその変の事情が飲み込めている前提での映画ですので、アメコミファン以外にはちょっとオススメしづらいです。
もしアベンジャーズが良く分からないと言う方は、とりあえず「アイアンマン」「アイアンマン2」を先にレンタルDVDで見ておくと良いと思います。一応単体でも成立してはいますが、ネタとしてはアイアンマン2からの繋がりになっています。
ちなみに、予告を見る限りだとアベンジャーズ系の次作「キャプテン・アメリカ」は普通に第2次大戦中の話っぽいので、おそらく原作同様に「キャプテン・アメリカ」のラストで主人公スティーブが冷凍催眠に入って時代を超え、ここから一気に現代でトニー・スタークとソーとスティーブと超人ハルク・ブルース・バナーが連合を組む話に繋がっていくはずです。
あくまでも前振りではありますが、アメコミファンはとりあえず押さえておくべき作品だとおもいます。
それにしても、ここまで前振りを大々的にやりまくると「アベンジャーズ」のハードルはガンガン上がっていっていまかなりの所にあります。ジョス・ウェドン監督は大丈夫なんでしょうか? ウェドン監督がマーヴェルに追い込みを掛けられているようにしか見えませんw 「トイ・ストーリー」の脚本家ですので大丈夫だとは思うんですが、、、ちょっと心配になってきます。
ということで、来年のアベンジャーズへの気持ちとハードルを上げるために、とりあえず劇場に駆けつけましょう。オススメです。

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処刑剣 14BLADES

処刑剣 14BLADES

先週の日曜日は1本、2010年の香港お正月映画

処刑剣 14BLADES(原題:錦衣衛)」を見てきました。

評価:(90/100点) – 圧巻のドニー兄貴。グリーン・デスティニー風の剣劇武侠映画


【あらすじ】

時は明朝末期。洪武帝の作った秘密組織・錦衣衛は暗君の元で暗殺集団として恐れられていた。錦衣衛のリーダーは代々「青龍(チンロン)」の名を名乗り、敵を討つ14振りの剣を収めた箱を渡される。
ある日、当代のチンロンは宦官の賈(ジア)より大臣の趙(ジャオ)の謀反を止めるよう命令を受ける。いつものようにジャオの屋敷に忍び込み謀反の証したる箱を手に入れようとしたチンロンだったが、なんと箱には伝国璽が入っていた。ジャオの謀反は真っ赤なウソで、ジアが伝国璽を手に入れるための策略だったのだ!
企みに気付いたチンロンはジアに嵌められ謀反人として仲間の錦衣衛たちに命を狙われてしまう。チンロンは正義護送屋に逃げ込み、自身を嵌めたジアの真意を探り皇帝を守るため首都・京城(北京)へと向かう、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> チンロンのジャオ邸襲撃。
 ※第1ターニングポイント -> チンロンが正義護送屋に逃げ込む。
第2幕 -> チンロンとチャオ・ホアの逃走と砂漠。
 ※第2ターニングポイント -> 脱脱(トゥオトゥオ)に玉爾を奪われる。
第3幕 -> 雁門関での死闘


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【感想】

日曜日は昨年の香港のお正月映画「処刑剣 14BLADES」を見てきました。香港ではかなりのヒット作ですが、日本では一年遅れな上に小規模公開の寂しい扱いになっています。とはいえお客さんは結構入っていました。今年はドニー兄貴の過去作が続々公開されて嬉しい限りです。まさか上半期だけで4本も見れるとはw
いきなりですが本作はバリバリのB級アクション映画です。ストーリーはある程度世界観が分かっている前提で進んで行きますので、ちょっと説明不足で流れが分かりづらいかも知れません。
本作は明朝の末期を舞台にしています。皇帝の叔父・チン親王(サモハン・キンポー!!!)はかつて皇帝に謀反を起こし、それを罰せられて両足首から先を切られました。しかしまだ帝位を諦めてはおらず、娘のトゥオトゥオに暗殺術を仕込んで機会を狙っています。一方の皇帝はと言うと、宦官のジアに接待漬けにされて完全に骨抜きになってしまっています。皇帝の良き臣下であるジャオはこの事態を重く見て、皇帝の証しである伝国璽(=三国志等でお馴染みの皇帝のハンコ)を隠して保護しています。ここまでの説明が冒頭のモノローグで2分ぐらいで一気に語られますw 香港映画に馴れていないと、このテンポは結構厳しいです。
ここからジアが伝国璽を奪おうとする展開になり、そこでチンロンが嵌められ追われる身になります。ジアはチン親王と繋がっており私腹を肥やすために売国をしようとします。皇帝直属の暗殺集団としての誇りをもったチンロンは、自身のプライドを賭けて皇帝を守り、裏切り者のジアを倒すために奮闘します。
本作は追われる身となった孤高の天才暗殺者・チンロンと道中連れだった少女チャオ・ホアとのロマンスを混ぜながら、漢(おとこ)の尊厳を取り戻す戦いを熱く描きます。つまり私達の大好物です!!!! よし、全部OK。オススメです!!!!!



で終わってもいいんですが、なんなのでちょっとだけ書きますw 本作ではドニー兄貴の得意な剣劇アクションがメインになっています。アクションは生身のものよりはワイヤーを使ったものが目立ち、さながらグリーン・デスティニーのような雰囲気になっています。そもそもからしてチンロンの持っている箱が「スパイ7つ道具」っぽい面白いギミックがテンコ盛りの漫画チックなものですので、あんまりゴリゴリした肉体アクションではありません。敵のトゥオトゥオも幻影を使って鋼鉄の鞭を振り回しますし、”砂漠の判事”はくっつけるとブーメランになる日月彎刀(にちげつわんとう)をつかいます。全体をとおして非常にファンタジックなアクションが多く、肉体的な説得力よりは格好良さを重視しています。
本作はアクションがすごいというよりは、そのアクションに至るプロセスの見せ方が大変愉快な映画です。ホアが役所に殴り込みをかける所なんかは緊張感がありつつも完全にコントになっています。熱血な展開の合間合間に息抜きを入れてくるバランスはとてもすばらしく、110分があっという間です。かなりオススメです!!!

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