ズートピア

ズートピア

本日はレイトショーでディズニーアニメ最新作の

「ズートピア」を見ました。

評価:(79/100点) – 「普通に面白い」という贅沢さと物足りなさ


【あらすじ】

動物たちが理性をもって生活する世界。うさぎのジュディは「うさぎ界初の警察官」の夢を叶え、大都市「ズートピア」へとやってきた。ズートピアでは最近失踪事件が多発しており警察署内は大騒ぎになっていたが、しかしジュディが配置されたのは駐禁係。なかなか警察らしい仕事をさせてもらえない不満から、ジュディはついうっかり失踪者の一人=カワウソのオッタートンの捜索を勝手に買って出てしまう。タイムリミットは48時間。それをすぎると、ジュディは事実上解雇されてしまう。はたしてジュディは無事事件を解決することができるのか、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ジュディの上京とニックとの出会い
 ※第1ターニングポイント -> オッタートンの捜索を買って出る
第2幕 -> オッタートンの足取り調査と発見
 ※第2ターニングポイント -> ジュディが田舎へ帰る
第3幕 -> 事件の解決と真相。


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【感想】

さてさて、今週2本めの新作映画は、ディズニー最新作「ズートピア」です。ディズニーアニメのお家芸といえば白雪姫/眠れる森の美女から脈々とつながる「かわいらしくデフォルメされた動物」です。本作・ズートピアは人間の登場人物が一人もおらず、この「かわいらしくデフォルメされた動物」が所狭しと登場します。
見る前から本作が某Rotten Tomatoで98% Freshを記録したというニュースは見ていましたから、さてこれはどれだけ傑作なのかと結構ハードルが上がっていました。
そして実際に見てみて、、、というところですが、これはRottenの仕組み上仕方ないといいますか、、、「大傑作!」というよりは「これは皆がそれなりに満足して帰る内容だな」という感想です。100点満点中の100点というよりは、「良いか悪いかで二択にしたとき”良い”が限りなく100%になる」という類の作品です。

本作は王道どまんなかのバディ・ムービー/ファミリー映画です。ですから極力ネタバレはしないようにいたしますが、少々感づいてしまう恐れもあるため、映画未見の方はできるだけご注意ください。

果たして優等生は魅力的なのか?

まずざっくりと語るならば、本作は大変良く出来たバディ・ムービーです。女性(メス)でか弱く体格的にも小さいが頭脳と工夫で乗り越えるウサギのジュディと、ひねくれ者だけど優しくて頭がキレるキツネのニックのデコボコ・コンビが手がかりを追って事件を解決していく、、、という教科書にでてくるような非常に理想的・類型的なフォーマットです。

そうなんです。先に書いちゃいますと、私の不満点はまさにここ。この一点だけです。「教科書にでてくるような非常に類型的な」よくできた映画。なんというか、毒にも薬にもならない「普通の良い映画」なんです。これは物凄い贅沢な話でして、「飽食の時代ここに極まれり」ってことなんですが(笑)、なんかこう「これっ」っていうチャームポイントがあんまないんですよね。「どうしてもズートピアがまた見たい!」ってなるような魅力的なポイントが、ですね。

全体を通じて凄く良く出来ていて、文句の付け所はほとんどないです。お話的には伏線はちゃんと回収されますし、きちんと「他者を属性で判断するな!」「善人は必ず報われる」という道徳的なテーマになっています。キツネのニックは全然言うほどひねくれても無ければ悪人でもないですし、悪役だってひねくれるだけのきちんとした事情があります。そして、ジュディの性別や体格が原因で捜査が行き詰まるようなこともないです。凄く優しい世界の中で物事が進んでいきます。テーマ自体は人種差別というか「マイノリティvsマジョリティ」という重い民族問題を扱っているわけですが、しかしテイストはどこまでも軽く、そしてとても誠実です。そういった意味で、本作は間違いなく良質なファミリームービーです。

なので、本作を減点式にした場合、まず間違いなくそんな貶す人はいないと思います。大幅にマイナスなポイントって本当にないですから。
一方でこれを逆側から、つまり「良かった所集めの加点式」にするとですね、、、これどうなんでしょうか? 少なくとも私個人的には「70~80点ぐらいかな」というぐらいの温度感なんです。それでも十分に高いですよ。

変な言い方ですが、例えば「ナルニア国物語 第1章(2005)」と「ハリー・ポッターと賢者の石(2001)」のどっちが好き?って聞かれたとしましょう。個人的には、「ナルニア~」のほうが間違いなく映画として出来がいいと思いますが、もう一回みるなら「ハリー・ポッター~」なんですね。それはやっぱりあの3人の仲間うちのワイワイをもっと見たいからです。本作は「ナルニア~」と同じで、なんというか優等生すぎて癖がなさすぎるというか、それこそ何年経っても印象に残るようなシーンがあんまり無くてですね、、、「出来はいいけど、そんないうほど好きでもない」ってところです^^;あくまでも贅沢な無いものねだりです。

とはいえよく出来てるよ!

いきなり「そんな好きじゃない」とか書いといてなんですが(笑)、本作は凄いよく出来てます。これだけは再三再四書いても書きたりません。よく出来てます。劇中のズートピアには、エリアが何個もあって、エリアごとに「ジャングルっぽい」とか「南極っぽい」とか特徴があります。これって要はほとんどディズニーランドなんですね。ディズニーランドにおける「クリッターカントリー」「ファンタジーランド」「トゥモローランド」みたいなテーマエリアがあって。もっというと、ジオラマ的な「遊園地」です。ですから、この世界観の時点で、これはもう箱庭ファンタジーなんだというのをハッキリ表明しているわけです。

そしてこの「遊園地」を舞台に、かわいい動物たちが暴れまわり、しかもいろいろなパロディやギャグをかましてきます。実写だったら間違いなく腹が立つレベルの寒いギャグも、かわいいネズミキャラがやれば途端にキュートになります。そういった意味では、「動物が楽しく住んでいる楽園」っていう設定だけでもう勝ったも同然な作品です(笑)。

事件の解決はサラっとスマートに

本作は「ゾディアック(2007)」のような大真面目なサスペンスではなく、あくまでもコミカルアニメですから、事件はあっさりと解決します。とくに悩むこともなく、ジュデイとニックはほぼ最短距離で事件解決に向かっていくんです。
この作品の一番うまいところはまさにこの「コミカルアニメだからそこはそんな本気でやることないでしょ?」という言い訳を使ってくる部分です。そもそも動物がしゃべって二足歩行する世界なので、細かい部分は別に雑でもいいんです。
これのおかげで話の粗が目立たないというのは間違いないです。ニンジン型レコーダーの耐久性はどうなってんだとか、トイレの下水管が太すぎるだろとか、誰がこんな凄いズートピアを作ったんだとか、そういう所ですね。動物がしゃべって二足方向する世界なんだから、レコーダーの電池とか下水管の太さとかどうでもいいわけです(笑)。とても上手いです。

【まとめ】

表現が難しいんですが、「アニメの持ってる嘘やアラを隠してくれる懐の深さ」を最大限活用した良作だなと思いました。本作を実写でやったらかなりのトンデモ映画になるはずです。逆に言えば、アニメだからこそ出来ることをちゃんとやっているわけで、そりゃあ支持率が高いのは当たり前のことです。テーマが重くて子供向けじゃないんじゃないかという話もありますが、私はこれは大人も楽しめるバリバリの子供向けだと思います。
GW中の時間潰しやデートなら、ちょうどいい湯加減ではないでしょうか。

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