トロン:レガシー

トロン:レガシー

金曜のレイトショーは川崎109のIMAXで

「トロン:レガシー」を見て来ました。

評価:(50/100点) – 嫌いじゃないけどかなり単調。


【あらすじ】

デリンジャーからスペースパラノイドの権利を奪還し出世街道にのったケヴィン・フリンはエンコム社のCEOとなった。しかしその数年後、ケヴィンは息子のサムに「明日ゲームセンターへ行こう。」と約束して仕事へ向かったのを最後に消息を絶ってしまう。
それから20年後、エンコム社の大株主でありながら自堕落に過ごすサムの元に父の盟友アランが顔をだす。アランはケヴィンから預かったポケベルに着信があったことを告げ、サムにケヴィンがかつて経営していたゲームセンターに行くよう説得する。サムがゲームセンターへ行くと、そこには隠し通路があった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> エンコム社への侵入
 ※第1ターニングポイント -> サムがグリッドへ行く。
第2幕 -> サム達の旅。
 ※第2ターニングポイント -> サムがケヴィンのディスクを奪い返す。
第3幕 -> 結末


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【感想】

今秋の金曜新作レイトショーは往年の珍作SF映画「トロン」の続編、「トロン:レガシー」です。ロビン・フッドと並ぶお正月大作映画ということもあって、レイトにも関わらず川崎IMAXはチケット完売でした。久々に完全に埋まった劇場です。

前作「トロン」とその影響

本当にいまさらなんですが、一応のおさらいということでさらっと書いてしまいます。1982年に公開された「トロン」は興行的にはコケました。偶然コンピュータの中に入ってしまったフリンが、その世界の独裁者を倒し”ある証拠”を探すために、盟友トロンと共に戦います。かなり一本調子な話なので面白いかと言われると微妙ですが、特筆すべきはそのアイデアです。それは「コンピュータの中に入る」という部分と「コンピュータ内のデジタル世界を擬人化する」という部分です。透過光エフェクトのような蛍光灯のような独特なレトロSFテイストのアニメで合成された服は、まさに「センス・オブ・ワンダー」という名前がぴったりなワクワクを誘います。今見ると非常にショボいCG風景も、コンピューター内部の表現としては大変刺激的です。そしてなによりテンションが上がるのがライトサイクル戦です。コンピューターゲームをそのまま映像化したシーンは、まさにCG映画かくあるべしという素晴らしい物でした。
そしてこの2つのアイデアはその後「ニューロマンサー(1984)」、「攻殻機動隊(原作1991年)」と受け継がれ、さらにその影響下で「マトリックス(1999年)」が誕生し、それがさらに影響して今年の「インセプション」まで繋がります。「何かに入ってしまう」という類の作品は「ネバーエンディング・ストーリー(原作1979年)」や「ナルニア国物語(原作1950年)」のようなファンタジー色の強いものが多かったのですが、「トロン」のガジェット的な格好良さと相まって、一気にSFのトレンドの一つとなりました。もちろんアシモフの「ミクロの決死圏(1966)」のようなSFもあるにはありましたが、SFでありながらもファンタジーよりの描画になっています。コテコテのSFとして「トロン」は間違いなくエポックメイキングな作品でした。面白さは別にしてですけれど(苦笑)。ちなみに私は作品としてはともかくガジェットや世界観だけはかなり好きです。始めて見てから20年近く経っていますが、今でもちょくちょく見直しています。

本作のお祭り感とがっかりポイント

ここからが本題です。「トロン」という作品はCG表現のエポックメイキングとして確固たるブランド力を持っています。その続編を今作ると聞いた時点で、やはりSFファンとしては「3D表現のエポックメイキング」を期待するわけです。予告で見せる電脳世界や光るディスクはそれだけで十分にワクワクさせるものでした。
しかし、、、結果としてはまったくエポックメイキングが出来ていません。それどころか、3Dの意味すらほとんどないような演出が散見します。
本作で最も3Dを演出として利用しているのは、サムがグリッドに入る話の展開点です。そこまでの現実世界は2Dで描かれているのに対して、グリッドに入ると急に世界が3Dで広がります。これは「オズの魔法使い(1939)」でオズの国に行くとそれまで白黒だった画面がカラフルになるのと同じです。古典的な演出ではありますが、3D映画としては至極まっとうな使い方だと思います。事実、開始から1時間ぐらいは大いに楽しめます。ディスク戦、ライトサイクル戦、そして父との再会。旧作のファンならば燃えないわけがありません。
ところが、ここから先、驚くほど単調な世界と単調なストーリーになります。ただひたすら黒に蛍光白・蛍光赤が入るだけの世界。そして出口を目指すという一本調子なストーリー。ケヴィンはただの「オビワンっぽい賢者(=メンター)」として万能感を見せつけ、敵のボス・クルーはボスとは思えぬ軽さで最前線に飛び出し続けます。途中これでもかと言うほど他作品のパロディを入れ続け、あげくラストでは「そんな力があるなら最初から使えよ!!」というチート行為でもって難局を打破します。そして極めつけは前作の準主役・トロンの扱いの軽さです。本当に誰得としか言えないほどひどい扱いです。

【まとめ】

全体的には、前半の最高に楽しい60分を後半の酷いとしかいいようが無い60分で帳消しにしてしまった感じです。つまりフラットな50点というよりは、前半100点と後半0点で相殺の50点ですw そう考えると東京国際映画祭で本作の前半30分だけを先行上映したのは大正解です。
ちなみに、IMAXには本作は大変よく合っています。重低音で本当に椅子が揺れますから、グリッドに入った直後に陸橋みたいな輸送機が降りてくるシーンは迫力満点です。
また、ダフト・パンクのBGMもかなり良く出来ています。本人達もちゃっかりカメオ出演していますので、そういった見せ場も楽しみに劇場に足を運ぶのは手だと思います。ヒロインもオリエンタル感があって本当可愛いですし。
諸々の条件が揃っていただけに「惜しい」という言葉がどうしても頭から離れません。

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