ソーシャル・ネットワーク

ソーシャル・ネットワーク

今日は一本、

「ソーシャル・ネットワーク」を見てきました。

評価:(90/100点) – ザ・ナードの純情物語。


【あらすじ】

時は2003年、ハーバード大学に通うマーク・ザッカーバーグはバーで彼女を完全論破して振られてしまう。マークは寮に戻ると酔った勢いで自身のブログに彼女の誹謗中傷を書き並べ、さらにハーバードの全学寮のwebサイトをクラッキングし女学生達の顔写真を集め、流行していた「HOT or NOT」のハーバード女学生版を数時間で制作する。できあがったサイト「FaceMash」は2万2000ページビューを記録し学内LANをダウンさせわずか4時間で閉鎖、マークは理事会に呼び出されて保護観察処分を受ける。
全学内女子の敵として有名になった彼は、しかしそのプログラミング能力を知られることになり、先輩のウィンクルボス兄弟とディヴィヤにハーバード専用のSNSサイト「Harvard Connection」のプログラマとしてスカウトされる。「Harvard Connection」のアイデアを聞いたマークはすぐさまもっと良いアイデアを思いつき、友人のエドュアルドの資金協力を得てSNSサイト「The Facebook」を立ち上げる。「The Facebook」は瞬く間に全米中の学生でヒットし、マークは一躍有名人となる。
一方その頃、プータローをしていたナップスター創設者のショーン・パーカーが「The Facebook」の存在に目をつけたた、、、。


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【感想】

本日は昨年の東京国際映画祭のオープニング作品にして今年のアカデミー賞の大本命、「ソーシャル・ネットワーク」です。方々から大絶賛の嵐を聞くのですが、その割にはそこまでお客さんは入っていませんでした。日本では先行するmixiやtwitterが主流でFacebookはマイナー扱いですので、題材的にちょっと厳しかったのかも知れません。

本作の立ち位置

本作は世界最年少の億万長者・マーク=ザッカーバーグの伝記的な内容です。しかし注意しなければならないのは、本作は「facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男」を原作としており、この原作はエドゥアルド・サベリンへの取材を元に書かれた彼視点のストーリーだということです。この映画の制作中にもデヴィッド・フィンチャー監督と脚本のアーロン・ソーキンはマーク・ザッカーバーグへの直接インタビューを試みていますが、あまりにもフェイスブック側が内容に文句をつけてきたということで仲違いになっています。つまり、実際にマーク・ザッカーバーグの性格の悪さは疑いようはないのですが(苦笑)、少なくとも本作はかなり意図的にエドゥアルド・サベリン側の主張に偏っているということです。エンドロールの最後に「この作品は事実を元にして脚色を施した創作だ」という旨の注意書きが出ますが、それは間違いなく真実であり注意するべきです。
本作中ではマークはまるでショーン・パーカーに洗脳され、そそのかされて親友のエドゥアルドをハメたように描かれていますが、実際にはショーン・パーカーはかなりフェイスブックのために尽力していますし、一方のエドゥアルドは最初の資金提供以外はあまり何かしているわけではありません。マークだってエドゥアルドにたかっていただけではなく、自分でも金を工面しています。まぁショーンが麻薬パーティで現行犯逮捕されたのは本当ですけどw

ナードかつギークな性悪男の純情物語。

マークは自身の能力に絶対の自信を持ち、他者を完全に見下しています。その一方ナード特有の無神経さと熱心さから、ついうっかりバーで彼女を完膚無きまでに論破してガチ切れされたりしてしまいますw 作中におけるマークは自分への絶対の自信と技術的欲求だけで突き進んでいきます。そこには他者への思いやりとか法令遵守だとか、そういった“些末なことを考えるヒマ”はありません。明らかに最低な男として描かれるマークですが、その一方で本作は彼の純情に着地します。彼をそこまで突き動かすのは「FaceMash」での悪評を挽回するためであり、そしてうっかり論破して振られてしまったエリカへの謝罪です。もちろん実際にはマークはエリカと別れた直後にプリシラ・チャンと付き合っていますし、今でも7年越しで付き合っています。でも本作のマークは不器用にうじうじうじうじ悩み続けます。
本作でもっとも象徴的なシーンはやはりラストです。本作のラストカットは彼が一人で椅子に座ってラップトップを弄っている所です。作品の冒頭では、彼の周りにはルームメイトが居ましたし親友のエドゥアルドも彼女のエリカもいました。しかし彼が社会的地位や巨万の富を得た一方で、最後に彼の周りには誰も居ません。このラストカットのもつ切なさが本作の全てです。悪意というよりはただの無邪気さによって周りを傷つけまくって暴走してしまったナードの孤独が描かれます。この無邪気さというか子供っぽさが、本作がグッとくる大きな要因になっています。裁判の調停中なのに落書きをして全然聞いていないマーク。相手方の弁護士に質問されても「雨が降ってきた」とまるで感心を示さないマーク。そして突如として自身の能力をえばり始めるマーク。あこがれの天才・ショーン=パーカーに会うときに普段見せないほどの笑顔で興奮を隠さないマーク。確実に嫌なやつでありながらも魅力的に映るこのキャラクターが、疑いようのないカリスマ性をもって本作を一級の純情映画にしています。

【まとめ】

私が劇場を出るときに、前にいた高校生ぐらいの女性2人組が「つまんなかった」「話がよくわかんない」「起承転結がないから飽きた」と言っていました。ちょっとビックリしたんですが、本作はいわゆるエンターテイメント映画ではありません。本作はデヴィッド・フィンチャーの能力全開で、すばらしいカット割りや表情などの「映画的表現」によって物語を進めていきます。ですので、最低限のリテラシーは観客側にも必要です。「オタクの自己憐憫じゃねぇか。」という批判は出てきても仕方無いかなとは思いますが、すくなくとも起承転結はありますしストーリーもあります。
確かに序盤でマークをギークとして印象づけるためにApacheやperl、wgetといった固有名詞が出てきますし、フェイスブックへの入社試験としてクラッキング合戦も出てきますw しかし、そういったコンピュータやSNSの知識は本作を見る上ではそこまで重要ではありません。是非、劇場でこの愛すべきゲスの活躍をご覧下さい。軽くひきながらも(苦笑)、最後にはマーク・ザッカーバーグが好きになっていると思います。ただしあくまでも本作のマークは架空の登場キャラクターだということだけは再度確認しておきましょうw かなりオススメな作品です。

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ソーシャル・ネットワーク」への1件のフィードバック

  1. こんにちは。
    きゅうべいさんのこのサイト、大好きです
    鋭く、わかりやすく、批判も感情的でなく。
    うんうんと共感したり、
    うまく意味がとれなかった映画も
    コメントを読んで、なるほどと思ったり。
    ソーシャルネットワーク、私は3回見ちゃいました
    稚拙な文章でごめんなさい
    これからも楽しみにしています!

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