終着駅 トルストイ最後の旅

終着駅 トルストイ最後の旅

3連休初日の本日は3本です。1本目は

「終着駅 トルストイ最後の旅」を見ました。

評価:(75/100点) – 暗くなりがちな伝記物を上手くまとめた佳作


【あらすじ】

ヴァレンティンはチェルコフに論文を認められトルストイの世話係となる。トルストイ・コミューンで生活しながらトルストイの家に出入りするようになったヴァレンティンは、そこでトルストイの人間性を知ることになる。そこには自身の理想とチェルコフの信仰と妻との愛の間に揺れる一人の老人がいた、、、。


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【感想】

本日の1作目は「終着駅 トルストイ最後の旅」です。年配の方を中心に結構な人が入っていました。トルストイ役のクリストファー・プラマーと妻役のヘレン・ミレンは共にアカデミー/ゴールデングローブにノミネートされていまして、前評判はそこそこありました。
本作は若くしてトルストイの世話役になったヴァレンティンを観客の代弁者にし、そこからトルストイと妻ソフィアの関係を通じて魅力的な人間像を描いていきます。本作におけるトルストイは、さながら祭り上げられた宗教の教祖のような位置にあります。盟友チェルコフはトルストイの参謀としてトルストイ主義のイメージを作るべく奔走しますし、ヴァレンティンも熱狂的なトルストイ主義者として信仰にも似た尊敬を寄せます。そこに俗世の権化とも呼ぶべき妻・ソフィアが絡んでくるわけです。
トルストイがチェルコフに乗せられて「博愛的で私有財産を廃した理想的社会主義」に突き進もうとするのに反して、ソフィアは「夫婦愛」「家族愛」「子供への遺産」に執着してトルストイを現実に引き戻そうとします。確かに見ようによってはヒステリックなだけにも見えるのですが、それを全て愛で説明してくるのが本作の一番の肝です。
劇中で、トルストイは”人類愛”を掲げて著作権を放棄しようとしますが、ソフィアは”家族愛”を訴えて著作権の放棄を求めます。この両方の”愛”の大きな違いが、前者が「目に見えない概念」を対象としているのに対して、後者は完全に身近な「目に見える具体的な人」が対象だということです。
もちろん役者の力によって魅力的に見えるというのもあるのですが、この対比が「聖人と俗人」「理想と現実」「建前と本心」という感じがビンビン伝わってきてとても引き込まれます。
大前提としてトルストイがどういう位置の人なのか(ロシアの文豪でカリスマ的社会主義者で非暴力・人類愛をかかげたほとんど新興宗教の教祖のような人)だけは知らないとマズイですが、魅力的な夫婦愛の映画としても十分に楽しめると思います。

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