アジャストメント

アジャストメント

土曜の2本目はみんな大好きSFラブロマンス、

アジャストメント」です。

評価:(60/100点) – レトロSF感満載の小品の良作。


【あらすじ】

2006年、下院議員のデヴィッドは上院議員選挙に出馬するも酔ってスキャンダルを起こしてしまい敗戦してしまう。敗北宣言の練習をしていたトイレの中で、彼は偶然エリースという女性と会う。彼女はホテルに知人の結婚式をぶちこわしに来て、警備員から隠れているのだという。2人は一目でお互い惚れてしまい、デヴィッドは彼女に感化されて敗北宣言をアドリブで行う。
その後暫くして、デヴィッドは偶然にも通勤バスの中でエリースと再会する。運命を感じる2人だったが、、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> デヴィッドとエリースの出会い。
 ※第1ターニングポイント -> デヴィッドがオフィスで襲われる。
第2幕 -> 三年後、調整局とデヴィッドの駆け引き。
 ※第2ターニングポイント -> デヴィッドとエリースが別れる。
第3幕 -> 11ヶ月後、エリース奪還作戦。


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【感想】

土曜の2本目はフィリップ・K・ディックがオービット・サイエンス・フィクション誌の1954年9月号に書き下ろした短編「調整班(アジャストメント・チーム)」の世界観だけを持ってきてオリジナルストーリーに膨らませた作品です。ですので、映画化というよりは「”調整班”からアイデアを得たオリジナル作品」という感じです。
マット・デイモンがスーツ姿で走るポスターというそのまんまジェイソン・ボーンシリーズのポスターで話題になっていまして、結構お客さんが入っていました。こういうオールドスクールなSFでちゃんと観客が入っているのはめずらしいです。
本作は典型的な「近未来ディストピアSF」の体裁をとっています。劇中での時間軸こそ2006年~2010年ですが、プロット上では「何者かに実は支配されている近未来」という雰囲気になっています。この「何者かにこっそり支配された世界」「人間に紛れた異物」という世界観はまさしくフィリップ・K・ディックのお家芸であり、例えばマイノリティ・リポートのプリコグやブレード・ランナーのレプリカントなんかがそうです。このあたりのテーマは実際にはディック自身の宗教観がものすごく大きく反映されている部分です。
本作も世界観はディックが作ったモノですから、非常にレトロ感があふれるディストピアSFになっています。本作の中盤で調整員は天使であるとはっきりと台詞で説明されます。この辺りは原作から何も変えていません。この作品の世界では神様が「運命の書」というシナリオブックを書いていて、これを遂行するために天使達がいろいろと弄くっているわけです。コーヒーをこぼしたりコケさせたりw、やってることは大変ショボいですw
ですがそこに追加したのが「神様は人間が自身の予想を超えた意志を獲得するのを期待している」という新しめのキリスト教的価値観なのがなんとも言えません。
原作の場合はこの世界観をドタバタコメディに落としてくるわけで「意外と世界ってこんな間抜けな感じじゃない?」となるわけですが、本作の場合は大真面目に大上段から「神様は人間が予測を超えた動きをするのを喜んでいるのじゃ!!!」みたいな宗教的価値観に振り切れるわけです。
まぁこれが良いかどうかというのはデリケートな問題なんですが、どうしてもこういう「宗教的価値観に基づいた教訓話し」にされると無宗教な私としてはちょっと微妙な気分になってしまいます。
もちろんエンタメとしてさらっと見れば普通に良く出来たSFラブロマンスなんですが、なんか引っ掛かる部分がある惜しい作品でした。いくら運命とはいえデヴィッドがストーカー過ぎますし、なんぼなんでもエリースが「都合の良い女」過ぎますしね。普通2回も裏切られたのに、それでもその男の事を信じますかね? 運命だからってちょっと可哀想すぎです。そんなマッチョイズムも含めて愉快なバカ映画ですw どこでもドアを使った追い駆けっこは夢が一杯ですから。 仕事帰りにレイトショーなんかでフラっと寄るのがちょうどいいのではないでしょうか? わりとオススメです!

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記事の評価

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アジャストメント」への2件のフィードバック

  1. なんか調整班が悉く無能なんでそこは結構笑えました。
    ただ、主人公カップルがウゼエ。
    運命(笑)。とりあえず会ったばっかの人の携帯をコーヒーの中
    にぶち込むのはやめましょう。

  2. アジャストメント(THE ADJUSTMENT BUREAU)/運命は調整される

    アジャストメントTHE ADJUSTMENT BUREAU/監督:ジョージ・ノルフィ/アメリカ/2011年
    あなたの運命を正しい方向へと導く者たち。
    フィリップ・K・ディックが好きです。本をまったく読まないわたしが唯一好きな作家です。ほとんど全作品を読んでいるのですが、「ア?…

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