トイ・ストーリー3

トイ・ストーリー3

今週の金曜レイトショーは

「トイ・ストーリー3」です。

評価:(95/100点) – お帰りなさい、極上のストーリー。


【あらすじ】

17歳になったアンディは大学入学を控え部屋の掃除をしていた。母から引っ越し先へもっていくものを選別するよう言われたアンディはお気に入りのカウボーイ人形・ウッディだけを残し他のおもちゃ達を屋根裏部屋にしまおうとするが、母親の手違いでゴミに出されてしまう。絶望したバズ達はアンディを捨て近所の保育園・サニーサイドのやっかいになることになる。しかしそこは、「捨てられたおもちゃの墓場」であった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> アンディの引っ越し
 ※第1ターニングポイント -> バズ達がサニーサイドに入る。
第2幕 -> おもちゃの墓場
 ※第2ターニングポイント -> ウッディが救出に戻る。
第3幕 -> サニーサイド脱出作戦。


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【感想】

さて、今週は金曜の新作が無かったので取っておいたトイ・ストーリー3を見てきました。というのも、私はここ何作か連続でピクサーに泣かされているため、土日以外の空いてるタイミングを狙ってたんですw 平日夜中のレイトショーでしかも3D字幕でしたので、ほとんど観客は入っていませんでした。環境バッチリw
結論から言いますと、今度のピクサーも凄い事になっています。とにかくシンプルな話を演出だけで持っていっていまして、まさに「映画力」満点といった貫禄の趣です。
一応おさらいしておきますと、「トイ・ストーリー」はディズニーアニメが停滞していた時期にジョン・ラセターとピクサーの名を一躍世にしらしめた歴史的な作品です。「おもちゃと持ち主」というある種絶対的な主従関係(=所有関係)にあって、それでも「おもちゃ」の幸せって、、、、という部分がテーマになっています。
ところが、「トイ・ストーリー2」では1での「おもちゃの幸せ」がごっそり抜け落ちてしまい、「おもちゃにとっては主人の言うことを聞くのが一番」という「どこの独裁国家だ!」って酷さになってしまって、お怒りの方も多数かと思います。っていうか言ってることが1作目と真逆w
そういった背景があって、「トイ・ストーリー」のファンは10年以上もやもやしていたわけです。で、今作ですが、、、、すっげぇ。まさに1作目の時のクオリティが戻ってきました。素晴らしいです。1作目から関わっているだけあって、リー・アンクリッチはきちんと本作の肝を理解して演出をしていますし、脚本のマイケル・アーントも完璧です。
本作ではきちんと「おもちゃにとっての幸せ」に一定の結論を出しています。そこは是非劇場で確かめていただくとして、、、、やはり本作で一番凄いところは、真の意味で悪人がいないっていう部分です。悪には悪になる理由があって、ある程度は情状酌量の余地があります。根っからの悪人は出てきません。みんなちょっとしたすれ違いで道をはずしたりすれ違ったりしていくんです。
ですが、本作ではウッディ達の「友情パワー」によって窮地をくぐり抜けていきます。今作における「善人」と「悪人」の差はそこだけなんです。友達がいるかいないか。ロッツィは友達がいないからグレていって、バズやジェシーは友達が居たから戻れたんです。「友達って大事」という教訓をここまで明確に出せるのは凄いです。しかも「ジェダイの復讐」のオマージュまでやってきます。
また、冒頭のシーンから顕著ですが、この監督は「マクロな視点で見るとショボイことをミクロに寄って迫力を出す」という事に特化した抜群の演出力があります。すんごいショボイことをやっているだけなのに、画面上では一大スペクタクルなシーンにきちんとなってますし説得力もばっちりです。
私は恥ずかしながら2箇所で号泣してしまいました。1カ所はもちろん冒頭のビデオカメラシーンです。本当に幸せそうなんだ、これが。手ぶれグラグラのヘンテコなショットなんか使わずに、誰がどう見ても手持ちカメラだっていうのが一発で分かって、しかもそのローテクな感じとノスタルジーを混ぜてくるあたりは完璧です。
そしてもう1カ所は終盤の手をつなぐシーンです。無理。マジ無理。完全に涙腺決壊。絶望の淵で、ご主人様を呼ぶでも泣き叫ぶでもなく、ただ仲間達で手を繋ぐんですよ。ここが本作が一番「分かってる」所だと思うんです。
結局、本作ではアンディとウッディを「主従関係」ではなく「友情関係」として描ききるわけです。「ご主人様の言いたいことも分かるけどそれでも仲間が大事」というウッディの思いがアンディに通じたとき、本作を1から見てきた人たちへのご褒美のような極上なエンディングが待っています。最後にウッディがつぶやく一言で、もう無理なんです、私。涙が止まらんのですよ(苦笑)。

【まとめ】

とにかく、1作目・2作目を見てない人はいますぐレンタル店に駆け込んで1・2を見て、続けて劇場へ走り込んで下さい。断言します。このクオリティの作品をシネコンで全国公開しているのに見に行かない人は大バカモノです。人生の何分の一かは損をしています。悪い事は言いませんので、劇場で、3Dで、トイ・ストーリー3、是非見て下さい。
大プッシュです。

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記事の評価
アリス・イン・ワンダーランド

アリス・イン・ワンダーランド

今日の一本目は期待の新作、

「アリス・イン・ワンダーランド」です。

評価:(55/100点) – つまらなくはないが、、、中途半端。


【あらすじ】

19歳になったアリスは、ある日大勢の前でヘイミッシュにプロポーズをされる。しかし困惑した彼女は見かけた白ウサギを追いかけて逃げ出し、ウサギの穴に落ちてしまう。目が覚めるとそこは子供の頃から夢に出てきたワンダーランドだった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> アリスがパーティーに出席する。
 ※第1ターニングポイント -> アリスがアンダーランドに迷い込む。
第2幕 -> アリスとハッターとの再会。アリスと赤の女王の城。
 ※第2ターニングポイント -> アリスがヴォーパルの剣を持って城の女王に合流する。
第3幕 -> アリスとジャバウォックの決闘。


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【感想】

さて、本日はディズニー期待の大作実写映画・アリス・イン・ワンダーランドです。宣伝は去年の11月頃から散々見せられてきましたから、話の内容はあらかた想像がついていました(笑)。監督はティム・バートン。おなじみジョニー・デップとヘレナ・ボナム・カーターがメイン級ででており、鉄板のバートン組って感じでしょうか?

話のディティールについて

本作の話自体は、よくある類の異世界に迷い込んで独裁者を倒すファンタジー・アドベンチャーです。最近ですと、ナルニア国物語第一章/第二章あたりが全く同じ話ですし、古くは「ネバーエンディングストーリー」や「オズの魔法使い」など山程ある話です。
そんな中で本作がアリスとしてギリギリ成立出来ているのは、一重にキャラクター造形の巧さです。特に見た目に関しては本当にジョン・テニエルが描いたオリジナル挿絵にそっくりです。ジャバウォックなんてそのまんまで3Dで動きますから、感激とまでいかないまでも感心はしました。
しかし、キャラクターの性格については正直に言ってほとんど原作と関係ありません。っていうかハッターが真面目かつヒロイックすぎますし、原作での最重要キャラ・白ウサギもキャラが薄すぎます。
結局ですね、本作はルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」にある単語やエピソードやキャラクター造形を使って、ティム・バートンが(ディズニーの制約の中で)好き放題やっているという印象がします。この「ディズニーの制約」というのが結構微妙だったりします。

ティム・バートンという監督の資質

いまや日本でも一般認知度の高い人気監督になりましたティム・バートンですが、当ブログで彼の作品を扱うのは初めてです。ということで、そもそもこの監督の資質というものについて考えてみたいと思います。
ティム・バートンの代表作といえば、バットマンシリーズやシザーハンズ、マーズ・アタックあたりが有名でしょうか? 彼の作品に共通するキーワードは「弱者に対する優しさ」と「カルトな描写」です。例えば「シザーハンズ」では生まれつき人とふれあうことが出来ない孤独なエドワードの悲哀を描いていますし、「バットマン・リターンズ」では親に捨てられた孤独なペンギンの悲哀が前面にでてきます。「チャーリーとチョコレート工場」では貧乏な少年が正直さと真面目さで評価されるようになりますし、「スウィーニー・トッド」では悪徳判事にハメられた一小市民の反撃を描きます。
そしてこれらの「弱者に対する優しい視点」がカルトな雰囲気を混ぜて倒錯した描かれ方をします。
では今回の「アリス・イン・ワンダーランド」はどうでしょうか?
「アリス・イン・ワンダーランド」はまさに赤の女王の圧政で虐げられた人々の復讐劇です。その意味ではこれ以上ないほど「弱者の味方」そのままです。ところが、、、本作を見ていてイマイチ物足りないのはここに「カルトな描写」が入ってこないことです。具体的にはマッド・ハッターがまったくマッド(=気狂い)じゃないんです。せっかくジョニー・デップなのに、全然変人ではありません。マッドなのは服のセンスぐらいです(苦笑)。
本作で私が一番ワクワクしたシーンはずばり言って、赤の女王城のお堀に浮いた顔(生首)を飛び石にしてアリスが渡るシーンです。あとはアン・ハサウェイ演じる「白の女王」のエドワード・シザーハンズを連想させる変な動きぐらいでしょうか?
逆に言うとですね、、、そこ以外はきわめて普通で、「毒気」を抜かれたティム・バートンの抜け殻のように見えてしまいます。とてもディズニーっぽいと言った方が良いかもしれません。ディズニーなので赤の女王を処刑するわけにはいかないですし、人間の形をしたクリーチャーは殺せないんです。
でもそれってティム・バートンの魅力の大部分を削いでしまっているわけです。じゃあカルト表現を削いだ分だけファミリー向けになっているかというと、そうでもありません。生首が出てきたりしちゃうわけで、100%ファミリー向けにはなっていません。とっても中途半端です。

話のプロット上で気になる点

物語で気になる点は結構あります。まず一番は、そもそもアリスが救世主であることの根拠の薄さです。「預言に書いてあるから」ってだけだとちょっと、、、。おそらく実際には「アンダーランド(ワンダーランド)はアリスの夢なのだから自分が最重要人物になるのは当然」って辺りの事情だと思いますが、ちょっと微妙です。しかも終盤では、いくら「ヴォーパルの剣が戦ってくれるから握ってるだけで良い」とはいえ、ちょっと驚くほどのアクションを見せてくれます。せめて白の女王に合流した後で剣術の練習ぐらいはして欲しかったです。
第二に、この物語の着地の仕方です。本作は最終的には「ダウナー系の不思議ちゃん」だったアリスが「物事をハッキリ自己主張する大人の女性」に成長する物語になります。でですね、、、この自己主張の仕方に問題があると思うんです。特に姉とおばちゃんに対しての態度は自己主張っていうよりは冷や水をぶっかけてるようにしか見えません。もしかしたらアメリカ人の感覚では問題無いのかも知れませんが、ちょっとどうなんでしょうね?

【まとめ】

ここまで書いていない重要な事があります。
原作の「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」が何故ここまで名作として普及しているかという理由は、もちろん1951年のディズニーアニメの影響もありますが、その原作の持つ暗喩性によるところが大きいと思います。早い話がアリス・キングスレーが少女から女性に成長する過程をワンダーランドのメタファーに置き換えて語っているわけです。
ですから、私個人としては「千と千尋の神隠し」で宮崎駿がやったような「倒錯した自分流の不思議の国のアリス」をティム・バートンがやってくれることを期待していました。その意味ではちょっとがっかりです。
しかし、決してつまらない話ではありません。手放しでは喜べないものの、最近のファンタジーアドヴェンチャーとしては手堅い出来です。小さいお子さんを連れて行くのは考えものですが、友人や恋人と気軽に見るには最適ではないでしょうか? ディズニーのエンタメ・ファンタジーとしては十分に及第点だと思います。

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スパイアニマル・Gフォース

スパイアニマル・Gフォース

本日も二本観てきました。一本目は

新作3D映画「スパイアニマル・Gフォース」です。

評価:(10/100点) – 「可愛いだけじゃダメかしら?」「はい。ダメです。」


【あらすじ】

FBIのベンは独自に動物をスパイ要員として育てるプロジェクトを立ち上げていた。しかし、FBI本部は研究費の削減を理由にプロジェクトの廃止を決定する。なんとか実績を上げてプロジェクト存続を狙うベンは、かねてよりFBIが目をつけていたセーバリング・テクノロジーのCEO・レオナルド=セーバー邸への潜入ミッションを計画する。実戦部隊は三匹のモルモットと一匹のモグラとハエ。こうしてGフォースの初ミッションが始まった。

【三幕構成】

第1幕 -> Gフォースの初ミッション。
 ※第1ターニングポイント -> Gフォースが研究室を追われる。
第2幕 -> ペットショップからの脱出。
 ※第2ターニングポイント -> ベンの元に合流する。
第3幕 -> セーバー邸への再突入。


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【感想】

本日の一本目は「スパイアニマル・Gフォース」です。本当はワーナー・マイカルMMのRealDで見るつもりだったのですが寝過ごしてしまいまして、ブルク13のXpanDで見ました。観客は圧倒的に子供連れが多く、入りは6割といったところでしょうか? そういえば、そろそろ春休みが始まってるんでしょうかね。子供が多かった割には本編上映中はおとなしかったので、子供達はきっと集中して楽しんでいたと思います。
しかしですね、、、本作を子供連れで見に行くのは正直どうなんでしょうか? その理由を述べたいと思います。

本作の立ち位置と難点

本作は人間の言葉が話せるモルモットが活躍する戦隊ヒーローものです。「モンスターズ・インク」と「ボルト」で完全に確立された「動物の毛並みの表現」をフルに使用したモルモットは本当に可愛いです。ラブリーです。そして敵は家電業界のトップ。世界滅亡を企むテロリストとしてFBIが数年来マークしていたそうで、そこにGフォースが突入します。話の構図の単純さやルックスを見るにつけ、完全に子供連れファミリーをターゲットにしています。子供向けの勢い重視の作品で脚本の穴を指摘するのはヤボだと思いますが、しかし本作を私は子供騙しの酷い駄作だと思います。
まず、話に一切驚きや興奮がありません。スパイの大味ヒーローものというと真っ先に「ミッション・インポッシブル」が浮かびますが、あの作品で描かれていたようなハラハラドキドキのシチュエーションが一切ありません。「ミッション・インポッシブル」も決して褒められた作品では無いですが、それでも一時的なサスペンス・シチュエーションだけは作っていました。そういったハラハラが無いので、そもそもGフォースの活躍が良く分からないという事態になっています。

本作の倫理的な問題点

次に、本作の抱える倫理的な問題です。私が見る限り、許し難い問題点が3点あります。
1点目は途中でダーウィンが自信を無くすシーンです。彼は自分が遺伝子操作をされておらず、普通のモルモットだということにショックを受けます。そして、そこから立ち直る理由が「僕はエリートだから」なんですね。はぁ!!!???? 挙げ句の果てには「僕はペットショップのモルモットとは違う。訓練を積んだスペシャルなモルモットだ!!」とか言い出すわけです。これって素直に「僕は努力をしたから出来るはずだ」って言わせれば済むことなんです。なんでそんな差別的な表現をするんでしょうか? しかも肝心の努力をするシーンが全然映らないものですから、まったくのお笑い草です。
2点目は、ハムスターとフェレットの合いの子を「合いの子だから(純血じゃないから)」という理由で主人公・ダーウィンがいじめる描写です。しかも謝らない。それどころか、その合いの子が実は嫌な奴だというエクスキューズまで後からつけるんです。合いの子をいじめるのはOKなの? 合いの子って根性ひねくれるものなの? それってナチスに通じる純血主義そのものですよ。他民族国家アメリカでは一番センシティブな話題のはずです。もしやアメリカでは、父親が黒人で母親が白人だといじめてOKみたいな裏ルールでもあるんでしょうか?
3点目は、勧善懲悪のフォーマットがボロボロだという点です。今回の黒幕は「両親を人間に殺された」恨みをはらすために人間を皆殺しにする計画を立てます。そして実際に実行に移すのですが、ダーウィンの説得にあっさり応じて計画を緊急停止します。そして罰として自分の作った兵器の後片付けを命じられます。
まず、この緊急停止までにかなり時間があるため、作品内の描写の威力であれば間違いなく何(百)人かは死んでます。人が死んでいるのに後片付け程度で済んで良いのかというのが引っかかります。さらに、そもそも根本的な問題である「黒幕の両親が人間に殺された件」が完全にスルーされています。それは落とし前つけないとダメじゃないですか? 殺した人間が謝るでも良いし、今後殺さないようなルールや工夫ができるでもいいし、何かしら回収するべきです。ものっすごい人命軽視です。

【まとめ】

本作は話が単調でつまらないという以上に、倫理的に問題がありすぎます。可愛ければ/格好良ければなんでもOKという酷いスタンスです。もしあなたが子供連れの親御さんだとして、子供にこういう思想を持って欲しいですか? 「いじめ上等。」「人間は見た目が全て。」「人を殺してもせいぜい数年刑務所に入るだけならいいじゃん。」等々。もしこれがOKということであれば、いますぐお子さんを連れて劇場に行きましょう!! オススメです!!!
本作のプロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーの親はナチスから逃げてアメリカに来たユダヤ移民なんですが、本当にこれでいいんですかね? 「ブラックホーク・ダウン」でもソマリアの黒人をゾンビのように描いていましたし、ちょっとブラッカイマーはファミリー映画をやらせるには思想に問題がありすぎるように思えるんですが、、、。

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プリンセスと魔法のキス

プリンセスと魔法のキス

二本目は今日見た作品です。

「プリンセスと魔法のキス」

評価:(85/100点) – ディズニー・アニメ完全復活!!!


【あらすじ】

ニューオリンズで母親と住むティアナは、亡き父との夢であるレストランを持つために二つの仕事を掛け持ちしてお金を貯めていた。ある時ニューオリンズにマルドニアのナヴィーン王子がやってくるニュースが飛び交う。プリンセスになることを夢見るティアナの友人にして金持ちのシャーロットは、父に頼んで王子とのパーティーを計画する。そしてパーティーの夜、ティアナはシャーロットの部屋で一匹のカエルと出会う。カエルは自身をナヴィーン王子だと言い張り、魔法を解くためのキスの見返りに開業資金の提供を申し出る、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> ティアナの半生と夢。
 ※第1ターニングポイント -> ティアナがカエルになる。
第2幕 -> 人間に戻る方法探し。
 ※第2ターニングポイント -> ティアナ一行がニューオリンズに戻る。
第3幕 -> 解決編。


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【感想】

本日公開と同時に見て参りましたのは「プリンセスと魔法のキス」です。昨年「カールじいさんの空飛ぶ家」の時にも書きましたが、本作はジョン・ラセター体制になったディズニーの非3DCGの長編アニメーション第一作目です。「ボルト」でまだまだ実力があることを証明したディズニー・アニメーション部門が満を持して送る待望の「トラディッショナル・アニメ(=デジタル手塗り/非3DCG)」です。
監督はジョン・マスカーとロン・クレメンツで、80年代後半から90年代初頭のディズニー黄金期の終盤を担ったゴールデンコンビです。2004年に両名ともディズニーを辞めていましたが、ジョン・ラセターの依頼により復活しました。この配置を見ても、ラセターの「ディズニー黄金期復興計画」への想いが伺えます。
公開初日ですが私の見た箱では3割ぐらいの入りでした。子供連れも数組で、どちらかというと男・女問わず一人で見に来ている人が多かったように思います。

物語について

話のベースは劇中でも登場するグリム童話「かえるの王子様」です。ディズニーがかつて得意としていた「有名な童話をディズニー調に書き換えて家族向けのハートウォーム・テーマに噛み砕く」という手法を踏襲していまして、まさしくディズニー・クラシックスにふさわしい内容です。
物語の部分は文句のつけようがありません。ある種の”道徳的問題”を背負ったティアナとナヴィーンが一連のドタバタを通じて「本当の愛」に気がつき成長する普遍的ストーリーです。道徳的問題と書きましたが、ティアナは「働き過ぎ」、ナヴィーンは「女ったらし」というだけで、別にそんなに大問題ではありません。しかしそこはディズニー、「本当の愛」のためならそんな小さな人間的ほころびすら許しません(笑。とはいえこんな優等生的で正論すぎるテーマでも、押しつけがましくすることなく綺麗にストーリーの盛り上がりと併せて発信出来ています。その違和感の無さ(少なさ)がディズニーの特徴であり、そしてこの作品の脚本の巧さでもあります。
物語で言いますと、終盤にある悲劇的事件が起きます。これは過去のディズニー・アニメには無かった(※あったかも)シーンですが、これをエピローグで綺麗に回収して見せます。もしかしたら彼の夢も叶ったのかな、、、とか勝手な事を思えるシーンでして、私は完全に号泣モードでした。
一点気になることがあるとしたら、最後の最後の場面です。王子に起こったある事件は説明があって納得出来るのですが、でもその論法だとティアナに起こった事についてはまったく説明できないんです。なんか勢いで持って行かれますが、ちょっと引っかかりました。

「アナスタシア」について

実は本作を見ている最中に、ものすごい既視感を覚えていました。最後のエンドロールで気付いたんですが、原因は「アナスタシア」だったんです。
皆さん1997年公開の「アナスタシア」という劇場アニメをご存じでしょうか?アナスタシアは20世紀フォックスの作った長編アニメ第一号でして、80年代のディズニーアニメを支えたドン・ブルースとゲイリー・ゴールドマンがディズニーを辞めた後で制作しました。「アナスタシア」の名前は出しませんでしたが、「カールじいさんの空飛ぶ家」の時にちょろっと書いた作品です。
(※ カールじいさんの空飛ぶ家はこちら https://qbei-cinefun.com/up/)

この「アナスタシア」はメグ・ライアンが主役の声を当ててましたが、吹き替え版では本作と同じくミュージカル女優の鈴木ほのかさんが演じています。さらには敵役が優男の魔術師でして手下の影を使って主役を追い詰めます。この辺のディティールがそっくりなんです。これはパクリという意味ではなくて今回の作品がそれだけ「80年代ディズニー・クラシックス」のテイストを出せているということです。「アナスタシア」は完全にディズニーアニメのルックスでありながら(作ってるのがディズニーの人なので当然ですが)、ディズニーの枷をはずれたことで少し「怖い事」「酷い事」を描けていたのが画期的でした。本作はその「酷い事」の部分も上手に取り込んでいます。なので、必ずしも子供向けというわけでは無く、大人でも十分に楽しめる内容になっています。

数少ないノイズの部分

と、ここまで絶賛モードなんですが、どうかと思う部分が一点だけあります。それが「劇中内の日本語訳」です。私の気付いたところだと、「お父さんがイラストの上に書く”ティアナのレストラン”」「新聞の見出し”王子が来るよ”」「ティアナの店の看板」が、それぞれ日本語表記になったり英語表記になったりします。特に「ティアナのレストラン」は結構酷くて、同じシーンでもティアナが手に持ってる時は日本語で、額に入れた瞬間に英語になったりします。おそらくディズニーなりの「ローカライズ」なんだと思いますが、はっきり言ってズサンです。やるなら全部のシーンできっちり日本語表記にするべきだし、やらないなら他のアメリカ映画と同様に縦の字幕を出せば良いだけです。中途ハンパ過ぎてものすっごい気になりました。
見出しだけ日本語で本文が英語のニューオリンズ新聞ってどうなんでしょう?(苦笑

【まとめ】

最後にちょっとノイズ部分を書きましたが、作品全体ではとても素晴らしい出来です。なにせミュージカル・パートが楽しいですし、特にワニのルイスは最高です。ルイスのぬいぐるみがあれば欲しいですもの。そのためだけにディズニー・ストアに行くぐらいのテンションです(笑。
率直に言いまして、本作をもってディズニーアニメが完全復活をしたと思って間違いないと思います。
作品単体として見ても、そして歴史を目撃するという意味でも、間違いなくオススメの作品です!!!
ラセターはまだ53歳なので、あと20年はディズニーの第三黄金期が続くのでしょうか。いまからどんな傑作を量産してくれるのか楽しみで仕方がありません。

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ティンカー・ベルと月の石

ティンカー・ベルと月の石

うってかわって2作目は「ティンカー・ベルと月の石」です。

評価:(80/100点) – 子供向けと侮る無かれ。堂々たる傑作!

【三幕構成】

第1幕 -> ティンカー・ベルが“聖なる杖”を制作する大役を任される。
 ※第1ターニングポイント -> ティンカー・ベルが月の石を割ってしまう。
第2幕 -> インカンタの魔法の鏡を探す冒険
 ※第2ターニングポイント -> 魔法の鏡を手に入れる
第3幕 -> テレンスとの仲直りと秋の祭典


【あらすじ】

「物作りの妖精」ティンカー・ベルはフェアリー・メアリーの推薦で、秋の祭典用の聖なる杖を制作する大役を任される。秋の祭典は、8年に1度昇る「青い月」の光を杖の先の「月の石」に当てることで青い妖精の粉を生みひいては妖精達を生む大事な儀式である。ところがひょんなことからテレンスと大喧嘩したティンカー・ベルは、癇癪を爆発させた際の事故で月の石を割ってしまう。月の石は大変貴重な石で、簡単には手に入らない。そこで彼女は、願いの叶う伝説の「インカンタの魔法の鏡」を使って月の石を直す事を決意する。こうして魔法の鏡を求めるティンカー・ベルの冒険が始まった、、、。


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【感想】

素晴らしい。素晴らしいの一言に尽きます。わずか90分で道徳的でシンプルなテーマを完璧に語りきっています。是非とも文部科学省推薦で小学校低学年の道徳の授業に見せるべきです。お子さんをお持ちの親御さんは是非子連れで見に行ってください。正直に言って期待を大幅に上回る出来です。ディズニーはジョン・ラセターによって本格的に復活したのかも知れません。
あまりの出来の良さにちょっと興奮気味です。
話の構成は至ってシンプルです。「友達と喧嘩した女の子が一人で困難に立ち向かうが失敗し、友達の大切さを知って仲直りをする。二人で協力した結果、困難を乗り越え大成功を収める」。
超が付くほどベタで道徳的な話です。でも説教臭さが全然ないのです。アクションあり笑いあり冒険あり。そして根幹には道徳的なストーリー。「子供向けアニメとはかくあるべし」という鉄則を完璧に超ハイレベルで実践しています。大変よくできた子供向けファミリーエンタメ映画ですので、見終わった後に考えさせられるとか余韻に浸るとかいったことはありません。評価80点としてのはあくまでも映画として見たときにまだ上があるというだけの意味ですので、子供向けファミリー映画として見れば文句なしに100点満点です。脚本も一切無駄がありませんし、人物配置も完璧です。ただただ脱帽します。ディズニー・アニメもやれば出来るじゃない!というかジョン・ラセター凄すぎ。貫禄の安定感です。

【まとめ】

本作を「どうせ子供向けのアニメでしょ」と思って侮ってはいけません。ここまで基本を完璧にこなしている劇映画はそうそうありません。お子さん連れに限らず、カップルでも友達同士でもお一人でも、是非見に行ってください。間違いなく2009年のトップ10に入れるレベルの傑作です。超おすすめです!

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カールじいさんの空飛ぶ家

カールじいさんの空飛ぶ家

「カールじいさんの空飛ぶ家」を見てきました。
3Dで見るか迷いましたが、最初なんで2D字幕にしました。

評価:(90/100点) – 号泣でございます。本当にすみません。


【あらすじ】

冒険好きの少年カールは「スピリッツ・オブ・アドヴェンチャー」号の冒険家チャールズ・F・マンツに憧れていた。カールは同じく冒険好きの少女・エリーと恋をする。彼女の夢は、マンツが行ったという「楽園の滝(Paradise Falls)」の上に家を建てて暮らす事だった。結婚したカールは動物園の風船売りとして子供がいないながらも日々を幸せに暮らしていく。しかし、エリーに先立たれて状況が一変する。地上げ屋に難癖をつけられる形で、彼はエリーとの思い出が詰まった家を離れ老人ホームに入らねばならなくなってしまった。老人ホーム入居の朝、カールは家にたくさんの風船を付けて空の冒険に出ることにした。目的地はマンツが行った「楽園の滝」。亡きエリーを連れて行くと約束した夢の場所だった、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> カールとエリーの出会いと結婚。そしてエリーの死。
 ※第1ターニングポイント -> カールが旅に出る。
第2幕 -> 楽園の滝への冒険。マンツとの出会い。
 ※第2ターニングポイント -> カールと家が楽園の滝にたどり着く。
第3幕 -> ケヴィンの奪還。


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【感想】

まず最初に言わなければならないことがあります。この年末になって今年のトップ5クラスの映画が出てくるとは正直思っていませんでした。最高です!!!本気で号泣すること2回。ヤバイっす。マジでヤバイっす。今回は様子見で2D版を見ましたが、たぶん3D版も近日中に行きます。本作は幸いなことに3Dかつ字幕の映画館がクリスマスキャロルより増えています。これは大変喜ばしいことです。今後の作品も是非、3D字幕をやっていただければと思います。
本作はごちゃごちゃ言わなくても、素晴らしいストーリーと素晴らしいCGでもう文句なくオススメです!!!
ただ、ブログでピクサー作品を扱うのは初めてですし、せっかくなんでディズニー周りについて考えてみたいと思います。

アシュマンとピクサーとジョン・ラセターとディズニー復活について

ディズニーといえば、ミッキーを筆頭とするアニメーション映画が有名です。私の子供の頃には「宝島」とか「メリー・ポピンズ」とか実写も良く見ましたが、やっぱり柱はアニメーションです。
ここではディズニーのアニメーションの歴史と現状をざっくりと確認したいと思います。

ディズニーは1937年に初の長編アニメ「白雪姫」を世に出して以降、おとぎ話や有名な児童書を次々と映画化してアニメ界の頂点に長いこと君臨しました。しかし1973年の「くまのプーさん」以降は暗黒期に突入します。実写映画でなんとか食いつないでいたディズニーを救ったのは脚本・作詞家のハワード・アシュマンと作曲家アラン・メンケンのコンビでした。この2人によりミュージカル要素を取り入れたディズニーアニメは80年代中盤から再び黄金期を迎えます。
ところが1992年、「アラジン」制作中に41歳の早さでアシュマンが亡くなってしまいます。これだけでもディズニーアニメには大打撃だったのですが、その後決定的な出来事が起こります。70年代~80年代のディズニーを支えた名アニメーターのドン・ブルースとゲイリー・ゴールドマンが20世紀フォックスの出資を受けて対ディズニーで本格的にアニメ映画制作に取り組み始めます。これに同調する形でディズニーのスタッフ達が離脱、ディズニーのアニメ部門は内部崩壊してしまいます。
さらにこれを機にディズニーは既存作品のスピンオフをビデオスルー(映画館でやらない作品)で制作し始めて、崩壊が決定的となります。新しい作品を作れる人がいないから既存のブランドで食べて行こうとした結果、ブランド力がなくなっちゃった訳です。当時ディズニーのCEOだったマイケル・アイズナーの完全に失策でした。こちらのディズニー作品リスト(wikipedia)を見ていただくと分かるように、アラジン以降は本当に悲惨です。
ディズニーに影響を受けた手塚治虫のジャングル大帝をパクリ返した「ライオン・キング」、アメリカ先住民のどうでもいい恋愛を描いた「ポカホンタス」。この辺りまではまだ知名度がありましたが、「ノートルダムの鐘」「ヘラクレス」「ムーラン」「ターザン」なんかは知名度も落ちてますし、見た人も少ないと思います。その一方で「美女と野獣3:ベルのファンタジーワールド」みたいな誰も喜ばないビデオを作ったりしてまして相当にグダグダだったんです。
そういった危機的な状況の中でディズニーを支えたのが、ジョン・ラセターを中心とするピクサー・アニメーション・スタジオです。ピクサーは元々コンピュータ機器の製造・販売会社です。1986年にアップル・コンピュータのカリスマ・スティーブ=ジョブスが買収・CEO就任以降、新規事業として3DCGの制作請負を始めました。
そして1991年にディズニーと3本の劇場用長編作品の制作契約を結びます。4年間の長期制作期間を経て1995年、低迷するディズニーからピクサースタジオ第1作目が公開されます。これが大ヒットとなった「トイ・ストーリー」です。1995年の興行収入第1位となった同作で、ディズニーはピクサーとの長期契約を決めます。以降はヒット作を連発、そのハイレベルな作品と手堅い興行収入により、監督・総制作のジョン・ラセターはアニメ界にその名を轟かせます
しかし2004年、ディズニー以外の可能性を探るピクサーとドル箱を離せないディズニーの間で一触即発の契約抗争が起きます。ピクサーとしては別に配給がディズニーじゃなくても良いわけですが、一方のディズニーはほとんどピクサーに食べさせてもらってる状況だったため何としても引き留めねばなりません。そんなこんなで2006年、ディズニーはピクサーを買収します。
実はこの買収について、多くの映画評論家・アニメ評論家が誤解しています。この買収は面白いことに、買収したディズニーよりも買収されたピクサーの方が立場が上なんです。現にピクサーとの契約抗争の責任を取って、アニメ低迷の原因を作ったCEO・アイズナーは2005年に任期満了目前で引責退任し、株主総会ではピクサーとの関係修復議案まで飛び出ました。2006年5月のピクサー買収直後、ジョン・ラセターはディズニーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任します。横文字で分かりにくいですが、日本風に言えば「アニメーション部門 制作統括本部長」でして、要はアニメ部門で社長の直下、一番偉い人です
つまりピクサーの柱で今やディズニー子会社の一社員となったジョン・ラセターは、ついに本丸ディズニー・アニメの船長も任された訳です。ということで、ラセターは名実共にディズニー・アニメの大黒柱となりました。イメージ的にはディズニーがラセターに泣きついたような状況です。これはすごいことです。何せ社員を一人獲得するのに社長が辞任させられちゃうんですから。
そして、ついに来年3月にラセター体制になって復活した初の長編フルアニメーション映画「プリンセスと魔法のキス」が公開されます。これはもう公開初日に見に行くしかないわけですよ!
だって1992年にアシュマンが亡くなって以降まともな長編アニメは作られてないわけです。ディズニーも公式には「5年ぶりの長編アニメ復活」と言ってますが、はっきりいって「18年ぶりの”まともな”長編アニメ復活」です。ラセターの実力とやる気がハンパじゃないのは、「WALL・E」「ボルト」「カールじいさんの空飛ぶ家」と立て続けに3本も傑作を送り出したことからも明らかです。
現代のカリスマ・ジョン=ラセターを獲得したディズニーが再び黄金期を作れるのか?「プリンセスと魔法のキス」はその試金石となる作品です。ということで、今からワクワクしながら待ちわびています。
あ、、、、「カールじいさんの空飛ぶ家」と関係無い長文を書いている、、、、すみません。

【まとめ】

細かいことは良いので、是非映画館に行ってください。悪いこと言わないですから行った方が良いです。大人も子供も楽しめる、笑いあり涙ありの大傑作です。
文句なしで、冬休み、ご家族で一本行くならこの映画です!!!
さすがにイングロリアス・バスターズとかアバターとかパブリック・エネミーとか家族で見られないですからね(苦笑)。

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記事の評価
Disney’s クリスマス・キャロル IMAX 3D版

Disney’s クリスマス・キャロル IMAX 3D版

「Disney’s クリスマス・キャロル IMAX 3D版」を109シネマズ川崎で見てきました。
レイトショーだったからか、カップルばかりで子供連れがほぼ皆無でした。
評価:(80/100点) – 3D映画って超楽しい~!!!


<あらすじ>
ロンドンで会計事務所を営むスクルージは強欲で血も涙もない男である。彼はクリスマスイブにいつものように店を閉めると、書記のクラチェットに悪態をつきながら家路についた。その晩、スクルージの元に七年前に死んだ共同経営者のマーレイの亡霊が現れる。石と鎖でがんじがらめになったマーレイは、スクルージに徳高い人生を歩むよう説教する。そしてスクルージの元に三人の精霊が訪れ、それが最後のチャンスだと言い放って消える。その直後にドアベルがけたたましく鳴った、、、。
<三幕構成>
第1幕 -> スクルージの事務所に甥が訪ねてくる。彼の普段の行い。
 ※第1ターニングポイント -> スクルージの元にマーレイの亡霊が訪ねてくる。
第2幕 -> スクルージと三人の精霊
 ※第2ターニングポイント -> スクルージが墓場で「まだ来ぬクリスマスの精霊」に改心を約束する
第3幕 -> 生まれ変わったスクルージ


<感想>
本作は、おそらく誰しもが知っている古典的名作の映画化です。過去に何度も映画化されていますし、ディズニー自身でも「ミッキーのクリスマスキャロル」というアニメがあります。ドナルドの伯父さんであるスクルージ・マクダックが主演で、ディズニーの人気キャラ総出演の「お遊戯会」的な作品です。
なにせ150年以上前の本ですから(笑)、今更ストーリーの目新しさだったりネタバレのようなものはありません。でも語り継がれるにはそれなりの理由があります。疑いようのないキリスト教の道徳話でありながら、いわゆる神への信奉や信心には向かわずに施しと協調精神に向かうところが、この話に一般性・普遍性を持たせています。そこまで長い作品でもありませんので、ストーリーについては原作を読んでいただいて、ここでは「Disney’s」と謳う3D部分を語りたいと思います。
■ 3D映画って超楽しい!!!
本作は、一部の劇場では3D版と2D版を同時上映しています。私は字幕かつ3Dを探した結果、せっかくなのでIMAXシアターを選びました。値段はちょいと高いですが十分満足の出来です。
全編を通じて3Dであることを意識したカット作りがなされています。空を飛ぶにせよ追いかけられるにせよ、すべて奥行きを意識した構図となっています。そのおかげでこれでもかというほど3Dの楽しさが表現されます。とにかく町並みやら雪やらがどんどん飛び出してきて、それはもう「ヒャッホゥゥー!!!」ってなもんです。
また3D映画もIMAXも何度か見ていますが、3DでIMAXは初めてでした。良いですね。XpanD方式やRealD方式よりもIMAX 3Dの方が色調がよくでていてとても見やすいです。明るいですし、動きのあるシーンでも変な残像はありません。あとは値段がもう少し安くなってくれれば問題無いんですが、、、頑張ってください。普通の映画は前売り券で1,300円、レイトショーだったら1,200円なわけで、そこで2,200円はさすがにちょっとなぁ、、、せめて200円増しでお願いしたいです。
<まとめ>
監督ロバート・ゼメギスは「ポーラー・エクスプレス」と「ベオウルフ」で俳優を使ったレンダリングを研究・実践してきました。技術自体はスクウェアが「ファイナルファンタジーX」を制作するときに開発したフェイシャル・モーションキャプチャが元にはなっていますが、わずか八年でここまで人形ライクなレンダリングができるとは驚きです。スクルージなんてジムキャリーそのものでちょっと気味悪いレベルです。そのうちショーン・コネリーやらジョージ・レーゼンビーやらのレンダリングを集めて「歴代ボンド総出演」みたいなことが出来そうです(笑)。
と同時にキャラクターの衣装はジョン・リーチのオリジナル挿絵に非常に忠実です。これは実際の挿絵を見てみてください。(挿絵はコチラ)。
非常にすばらしいCG映画です。2Dで見るのはあまりオススメできません。ということで本作は3D版の、できればIMAXないし大きめのスクリーンで見るのがオススメです。

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