ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

今日は

「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」を見てきました。

評価:(95/100点) – 最高のファンムービー爆誕!!!


【あらすじ】

帝国軍の技術者ゲイレン・アーソは、大量破壊兵器の研究者だったが、嫌気がさして家族ともども軍を脱走して田舎の星に身をやつしていた。しかしそんなアーソ一家の元に、兵器計画の遅れを懸念するオルソン長官の魔の手が忍び寄る。妻を殺されたゲイレンは、1人娘のジンを逃し、自ら帝国軍に連行される。

それから十数年、、、反乱軍の元に「ゲイレン・アーソが破壊兵器の情報をリークするべくカーゴパイロットを脱走させた」という情報が届く。しかし肝心のパイロットは独立ゲリラのソウ・ゲレラ一派に拿捕されてしまう。反乱軍はこの情報を奪うべく、友好の使者としてゲレラの元に1人の少女を送り込むことにする。その女性こそ、ゲイレンの1人娘ジンであった、、、。

【三幕構成】

アバンタイトル -> ゲイレン一家が襲撃に遭う
第1幕 -> キャシアンとジン
※第1ターニングポイント -> ジンが使者として惑星ジェダへ向かう
第2幕 -> ジェダの崩壊とゲイレンとの邂逅
※第2ターニングポイント -> ゲイレンより設計図の在り処を聞く
第3幕 -> 潜入!惑星スカリフの決戦


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【感想】

2ヶ月ご無沙汰しております。きゅうべいです。今年は本当に面白い映画が節目節目で公開されて、ブログをサボっている暇もありゃしません(笑)。ということで、本日は当然これ。スター・ウォーズ・シリーズの最新作「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」です。監督は「ゴジラ(2014)」で一躍時代の人となったギャレス・エドワーズ。「スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望」の前日譚として、特殊部隊ローグ・ワンが帝国軍の最終兵器「デス・スター」を破壊するために設計図を入手するまでを描きます、、、、と公開前情報では言われていました(笑)。

ところがですね、これ実際見てみるとそんなチンケな話じゃ無いわけですよ。確かに大筋はローグ・ワンがデス・スターの設計図を盗むまでの話です。スター・ウォーズのファンならば、予告を見ただけで「これはローグ・ワンが頑張ってデス・スターの設計図を盗んでレイア姫に渡すまでのミッションインポッシブルみたいなケイパーものなんだろうな」「ディズニーのことだから、どうせ金儲け狙いで安直に外伝作っただけなんだろうな」と思うわけですよ。それが蓋を開けたらあらびっくり。ローグ・ワンとか全然特殊部隊じゃ無いし、こりゃもう完全にスター・ウォーズ愛に溢れた最高の「ファン・ムービー」なんです。

スター・ウォーズのファン・ムービーといえば、金字塔は「ファンボーイズ(2008)」と「ザ・ピープルVSジョージ・ルーカス(2010)」です。両方とも「ファンとしてスター・ウォーズを愛するがゆえに、商業主義丸出しのルーカスを信じながらも毎回裏切られ続け、それでもやっぱり嫌いになれない」というアンビバレンツな愚かさを笑いに変えています。僕ももちろんそうですし、例えば日本でも富野由悠季監督や押井守監督が好きなアニメファンは頷きまくりだと思うんですね(笑)。しかし、今回の「ローグ・ワン」はそれとは違うアプローチのファンムービーです。

すなわち、スター・ウォーズのオタクたちが日夜一生懸命勝手に撮影していたような「ファンカット・ムービー」の延長としてのスター・ウォーズ外伝です。「ゴジラ(2014)」とやってることが全く同じアプローチでして、本当にギャレス・エドワーズは最高だなと心の底からニンマリしていました(笑)。この人は絶対にエドガー・ライトとかタランティーノとかマシュー・ヴォーンと同類です(笑)。

スター・ウォーズ・サーガ。それは調和の物語。

スター・ウォーズの話を始めたら10,000文字あっても足りないのでどんどん先に進みましょう(笑)。みなさん、当然スター・ウォーズの実写映画は全部見てますよね?EP1〜EP6を見ているのが大前提で、出来ればイウォーク・アドベンチャー1・2と3DCGアニメのクローンウォーズシリーズも押さえておくといいでしょう。余力があったらEP7もついでで(笑)。

スター・ウォーズ・サーガは、ルーカス曰く「フォースが調和を失ってから、それを取り戻すまでのストーリー」です。

EP1〜EP3で、歴代最高の才能をもったジェダイナイト・アナキン・スカイウォーカーは、成長し、恋をし、そして絶望し、暗黒面に堕ち、ダース・ベイダーとなります。ダークサイド・オブ・フォースの化身・暗黒皇帝ダース・シディアスは、アナキンを誘惑し、堕落させ、独裁帝国を作り上げ、恐怖で宇宙全土を支配します。

EP4〜EP6では、主役はアナキンの息子ルーク・スカイウォーカーへと移ります。ルークは素性を隠し田舎惑星で百姓の息子として育ちます。そんなルークですが、後見人にしてアナキンの友オビワン・ケノービーや仲間のハン・ソロ、レイア・オーガナと共に帝国反乱軍のエースへと成長して行き、やがて父アナキンに善の心を思い出させます。善の心を取り戻したアナキンは、皇帝を殺し、宇宙に平和と共和制を取り戻します。

そう、EP1〜6までのストーリーは、まさに天才アナキン・スカイウォーカーがグレてから目を覚ますまでの壮大な物語なんです。しかし、このストーリーは必ずしも「ジェダイナイト」という超能力をもった貴族様の話ではありません。EP4〜6では、一貫して帝国軍に対抗するのは一般庶民であり有志の反乱軍です。そして最終的に帝国軍に壊滅的な打撃を与えるのは、田舎惑星に住む未開のもふもふローカル宇宙人のイウォークなんです。冗談でも比喩でもなく、まさに元ネタとなった「隠し砦の三悪人」や「七人の侍」と同じく、ジェダイという侍を先頭にした百姓たちの一揆の物語です。

ローグ・ワン:全てはバトンを繋ぐために

そして本作です。本作には特殊能力をもった人間は全く出てきません。主人公自身を含めて、彼女の周りにいるのは全て「強い意志」をもった普通の人間です。相方のキャシアンだけはずっと命令で動いていましたが、3幕目へと向かう最後の最後で自らの意志でローグ・ワンに参加します。ドニー兄貴扮する盲目の僧兵チアルートも「もしかしてフォースが使えるのかな?」みたいなミスリードがあるものの、実際はフォースを信じる強い意志を持っただけのただの人です。こういった普通の人間たちが、本作のテーマである「人は希望を繋ぐために戦う」というそのままに、命をかけてバトンを繋いでいきます。そしてその果てに「エピソード4 新たなる希望」があるわけで、これはシリーズの外伝として完璧な構成です。本作を通してゲイレンからジンへと渡された希望のバトンは、多くの犠牲をともなってその重みを増し、そしてエピソード4冒頭のレイア、R2-D2、オビワン、ルークへと繋がれていきます。そう、エピソード4も、実はこの「デス・スターの設計図」を反乱軍司令部まで届ける話なんですね。本作は単体での「特攻チームもの」としての面白さもさることながら、この「歴史的名作へシームレスにつながる」という点において、おそらく全世界のスター・ウォーズ・ファンを納得させるでしょう。わかってる!ギャレスはわかってるよ!!!最高!!!!

名作の言い訳としてのファンムービー

さらに本作が良いのは、そもそも「デス・スターがあんなに脆いのはわざとだったのだ!!!」という言い訳を無理なくはめ込んできた点です(笑)。わりと昔から、スター・ウォーズ好きで飲み会をすると定番になるネタは「ヨーダが一番悪い」というのと「デス・スターはヘボすぎる」というもの、あとは「イウォーク宇宙最強説」です。

この中でヨーダ戦犯説についてはもう擁護のしようがありません。アナキンがグレた理由はヨーダの頭が固い嫌がらせですし、弟子デューク伯爵と対決しても勝てず、挙げ句の果てにはラスボスの暗黒皇帝を追い詰めたのに油断した隙に逃したりしてます(笑)。

イウォーク宇宙最強説も、ある意味テーマに合致しています。スターウォーズは百姓一揆の話ですから、百姓の化身であるイウォークが弓矢とロープで帝国軍の最新巨大兵器を倒していくのも仕方ありません。

そうすると残るは「デス・スター弱点さらし過ぎ」という話になるわけです。本作はそこに後付けながら「実は反帝国軍の技術者が弱点を仕込んでいたのだ!」とし、さらにスター・ウォーズの根幹である「親子愛」をそこに絡めてきました。これはね、、、、あざといけど上手い(笑)。だってこれ誰も傷付かない完璧な言い訳ですもん。じゃあもう仕方ないよね、、、っていう説得力があります。めちゃくちゃ愛に溢れています。

【まとめ】

ということで、本作は最高のファンムービーです。期待以上というよりは、スター・ウォーズ・ファンが夢見ていた外伝に対する満額回答といった感じです。マジ完璧。これができるのなら是非ナンバリングタイトルもこのクオリティでひとつ、、、という期待を込めつつ、本気で猛プッシュお勧めします!!!!

私はしばらくレイトショーで通い詰めます(笑)。このクオリティなら本気で二桁回数見れます。まぁEP7もなんだかんだで二週間毎日見たのでアテになりませんが(笑)

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