ルー=ガルー

ルー=ガルー

9月の映画の日は

「ルー=ガルー」を見ました。

評価:(65/100点) – 世界観は良し。でもデザインが合ってない。


【あらすじ】

近未来、人々はSVCという企業の独裁体制下にあった。生活の至る所はセキュリティと称して監視され、食料は全てSVCの作る合成食品にまかなわれている。全ての人間は「モニタ」と呼ばれる認証デバイスを携帯し、それによって位置や行動の全てがSVCによって管理されている。
そんな中、街では少年少女の連続殺人事件が起こっていた、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> 牧野と研修グループ。
 ※第1ターニングポイント -> 矢部祐子を捜索する。
第2幕 -> 祐子の発見と事件。
 ※第2ターニングポイント -> 祐子と美緒が襲われる。
第3幕 -> SVCとの決戦。


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【感想】

昨日の映画の日は「ルー=ガルー」を見てきました。そんなに評判の高い作品ではありませんが、深夜回なのにお客さんは結構入っていました。
本作は京極夏彦原作のアニメ化です。さすがは京極夏彦といった感じのとても素敵な世界観で、それだけでワクワクするようなディストピアを作り上げてきています。とはいっても、類型的ではありまして、決して斬新というわけではありません。特定企業が独裁しているというのはディストピアSFではよくあるパターンですし、デバイス類も感覚的にはポケベルとかの世代に近いです。この辺りは原作が2001年という事を考えてもちょっと古いかも知れません。ガジェット的なワクワクは薄いです。
しかしその一方で、「少年探偵団」+「ディストピアSF」という所には綺麗に着地が出来ていると思います。きちんと主要4人のキャラは立っていますし、「傍観者としての無力な主人公」と「圧倒的なスペシャリストである仲間達」という構図も子供向けではよくあるパターンです。
ですので、本作はこのまま良い感じに映画化していればかなりの佳作にはなっていたと思います。



と思わせぶりに書いた以上は当然いくつか不満があるわけです。
やはり一番の不満はキャラクター含めた「プロダクトデザイン」です。「プロダクトデザイン」というのはある企業やデザイナーが統一感を持って製品群をデザインすることだと思って下さい。
本作を見たときにまず初めにちょっと身構えるのは、なんといってもキャラクター達のデザインなわけです。異様に細い体にギョロッとした目。そして各パーツでぱっきりと別れた色彩感。これを見た瞬間にいかにも「3Dモデルをトゥーンシェイドしました」っていう手抜き感が先に来てしまいます。
昔、アニメーターの安彦良和さんがインタビューで答えていましたが、例えば有名なガンダムが剣を抜く絵(コレ)は3Dモデルではどうやっても無理なんです。それはダイナミックな動きに見せるために腕の縮尺が同一シーンで変わっていて、実際には空間が歪んでいるからです。でも「物理法則に嘘をつく」ことが出来るのが実写と違うアニメの大きな利点なんです。
話を戻しますと、本作のキャラクターのように3Dモデルでただレンダリングしている場合、アニメを多く見ている人間ならば「このアニメは動きを見せる気は無いな」と思ってしまいます。というのも、3Dモデルは座標軸に縛られるためダイナミックな動きが出来ないからです。ここでダイナミックに動かそうとすると、去年の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」のように、ワンシーンで複数のモデルを使い分けてつぎはぎする必要があります。それはとても費用がかかるため、この規模の作品では出来ません。
結果、特に後半の主要パートである格闘・戦闘シーンがまったく面白みのないものになってしまっています。さながらPS2の格闘ゲームの画面を見ているようです。
そしてこのデザインは京極夏彦の世界観との食い合わせも悪いです。本作のディストピアはまさしく「妖怪の支配する怪しく危ない街」なんです。設定上は超監視社会で高度なデジタル化がされているように感じますが、それはあくまでも形式上だけで、実際には「暗闇から犯人が飛び出してくる恐怖」とか「誰に見られているか分からない不気味さ」という怪しい世界なんです。なので、本作にパキっとして輪郭くっきり/色彩くっきりなデザインは合いません。もっとおどろおどろした感じなんです。
さらにこの世界観破壊を加速させるのがSCANDALの存在です。なにせ劇中で出てくるSCANDALの歌は「これぞガールズ・バンド!」っていう明るく元気なポップソングなんです。そんなのこの世界観の社会で流行るわけないじゃないですか。ものすごいズレてしまってます。
話の筋がシンプルな「ディストピアで独裁者に立ち向かうダークヒーロー」なだけに、この世界観破壊は相当痛いです。

【まとめ】

ストーリー部分はなかなかの出来ですが、いかんせんルックスに問題がありすぎます。散々練習した「KOSHI-TANTAN」を流さなかったり(※これは当然エンドロールで4人のダンスが流れると思ってました。)、SVC本部とそこまでの海上橋のセキュリティが甘すぎたり、展開への不満も少々あるのですが、それ以上にルックスに目が行きます。
リメイクしろとはいいませんが、もしかしたらノワールっぽく実写で撮った方が面白かったかも知れません。
とはいえ、アニメに抵抗が無い方には、十分にオススメできる作品だったと思います。

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