オカンの嫁入り

オカンの嫁入り

本日は二本です。まずは

オカンの嫁入り」です。

評価:(35/100点) – 危ないですから駆け込み乗車はご遠慮下さいw


【あらすじ】

ある日、母子家庭の月子は夜中の三時に玄関の音で起こされる。帰ってきた母・陽子は泥酔しており、なんとヤンキー風の男を連れてきてしまったのだ。朝になって、陽子は連れてきた男・研二との結婚を宣言する。受け入れられない月子は、隣にある大家の家へ逃げ出すのだが、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> オカンが男を連れてくる。
 ※第1ターニングポイント -> 月子の家出。
第2幕 -> 月子の過去と研二の過去。
 ※第2ターニングポイント -> 母が倒れる。
第3幕 -> トラウマの克服と母の結婚


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【感想】

本日の1本目は「オカンの嫁入り」です。結構お年寄りの夫婦連れで賑わっていましたし、上映中も特に犬の仕草に対して笑いが結構出ていました。公開一週経って、ある程度評判が出回っているということでしょうか?
とはいえ、私個人としてそこまで面白い話だとは思いません。ただ、決してグダグダというわけではありません。相変わらず氾濫している「難病で全部解決」パターンではありますが、一応月子の視点できっちり統一はされています。まぁ統一しているにも関わらず心が変化していくポイントが適当という問題はあるんですが、それは物語部分の問題であり、もっというと原作の問題なので仕方無いのかなとは思います。そう、本作で全体をわりと台無しにしてしまっているのがストーリー運びの不味さです。
本作はプロット上はそこまでイベントが入りません。月子が「異物」として邪険にした研二が実は結構良い奴だと言うことに気付いて徐々に受け入れ始め、そして母の余命を知ることで決定的に心変わりします。あとはこの研二と脇役の村上先生のエピソード、そして月子のトラウマを入れるだけです。なので、本来であればそこまで変になるボリュームではないんです。
やはり問題は、研二のエピソードで祖母の死を使って、さらに陽子の部分でも死を使ったことです。そうすると研二が自分の祖母に孝行できなかったことを悔いていて、陽子を代替にしようとしているように見えてしまいます。このおかげで研二が手放しで良い奴に見えなくなってしまいます。さらに月子のトラウマ・パートがあまりにも衝撃的過ぎるため、全っっ然笑えないというかメチャクチャ重い話になってしまい、むしろ後半の陽子の説得が「ちょ、、、そんな簡単なことじゃないでしょ。」とツッコミたくなってしまいます。
そうなんです。これ、ストーリーとキャラクターのトーンがずれちゃってるんです。みんなポジティブ過ぎるというか、エピソードのエグさに対してキャラクターが軽すぎるんです。これは携帯小説の映画化によくある問題でして、起こるイベントに対して反応が鈍すぎるというか、実在感がなさ過ぎるというか、衝撃が過剰すぎるというか、誠実さが無いように見えてしまうんです。
例えば、月子は駅でストーカー男に襲われたことがトラウマで電車に乗れなくなってしまいます。でも男(研二)は平気なんです。本来このレベルでトラウマ化したら、電車はおろか男も自転車も怖くなってもおかしくないんです。そもそも電車は直接関係ないですし、そちらの方がよほど実在感があります。でも実際には電車が怖いだけで、駅も男も自転車も全然OKなんです。こういう細かいところが駄目です。
父親の位牌を持ち出したのにその後で拝むシーンがないとか、犬の尿道結石についてエサが変わったことと関係がないとか、極めつけは散々やっておいて最後まで結局母が生きてるとか、すごく物語の詰めが甘いです。後日談は当然母の死後どうなったかでないと月子の成長物語にならないじゃないですか。だって、月子が「トラウマを負った後は好き勝手にニートを満喫していたけど結局は母親に守ってもらっていたのだ」という事に気付くのがクライマックスなんです。なのに最後まで母親に世話してもらっていたら振り出しに戻って終わりですよ、それ。せっかく俳優が良い仕事をしているのにかなりもったいない事になっています。

【まとめ】

ツッコミばかり入れてしまいましたが、難病ものの中では比較的マシな方だとは思います。一応ですが核として月子の成長物語(風味)がありますし、なにより宮あおいと桐谷健太と國村隼はアップだけで画面を持たせる力があります。
俳優のファンであれば文句なしで行った方が良いですが、あくまでも浅いネット小説を良い俳優をつかってちょっとたどたどしく映画化したという事だと思います。
余談ですが、呉美保さんは映画監督2本目だと思いますが場面転換含めて課題山積みだと思います。特にトラウマパートに繋ぐ場面転換の不細工さは結構すごいです。そういったところも見所だと思いますw

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