ハナミズキ

ハナミズキ

本日の2本目は

「ハナミズキ」です。

評価:(1/100点) – テレビでやれ。


【あらすじ】

釧路に近い北海道の港町。水産高校に通う木内康平は、免許筆記試験の日、自動車教習所に向かう途中の電車が止まってしまう。そこで同じく早稲田大学の推薦試験のために急いでいた平沢紗枝を連れだって、親戚の自動車を盗んで高校に向かうが、スピード違反したあげくにハンドル操作を誤って事故を起こしてしまう。
停学を食らった康平だったが、なぜか紗枝からは感謝され急接近。紗枝は康平からの励ましで早稲田の文学部を受験する事を決める。やがてつきあい始める2人だったが、紗枝が早稲田に受かって上京することで遠距離恋愛になってしまう。紗枝は大学の写真部の北見先輩と仲良くなり、やがて康平とは疎遠になってしまう。康平は地元で漁師をするが、借金苦から父が船を手放すことになり、さらに最後の漁で父が心臓発作で死んでしまう。母と妹と借金を背負った康平は、紗枝と別れ漁師として一生暮らす事を決意する。一方の紗枝は夢を見すぎるあまりなかなか就職が決まらず、結局北見先輩の紹介でニューヨークの写真会社に潜り込むことになる。
やがて康平は幼なじみのリツ子と結婚し、紗枝も北見からプロポーズを受ける。しかし康平は借金苦から自己破産しリツ子から三行半を突きつけられ、マグロ漁船に長期勤務することにする。紗枝も北見との結婚を決意した矢先に北見が写真撮影中に死亡し、結局傷心のまま生まれた地・カナダのルーネンバーグを訪ねる。そこでたまたま康平のマグロ漁船とニアミスした紗枝は、康平にメッセージを残し北海道へと戻る。そしてメッセージを受け取った康平も北海道へと戻る。
ついに再会した2人はやがて結婚し、娘を持つ。

【五幕構成】

第1幕 -> 康平と紗枝の出会いと交通事故。
 ※第1ターニングポイント -> 康平と紗枝がつきあい始める
第2幕 -> 紗枝の受験。
 ※第2ターニングポイント -> 紗枝が上京する。
第3幕 -> 遠距離恋愛と破局。
 ※第3ターニングポイント -> 紗枝がニューヨークに行く。
第4幕 -> 康平の結婚と紗枝のニューヨーク生活。
 ※第4ターニングポイント -> 北見が死ぬ。
第5幕 -> カナダへの旅と結末。


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【感想】

さて本日2本目は「ハナミズキ」です。お客さんは若いカップルを中心に大変入っていまして、日本の未来が心配になってきますw
ここを読んでる時点で遅いかも知れませんが、今回はネタバレ100%でお送りします。っていうか上のあらすじで全部書いちゃってるんですけど、それはそれ。お察しください。

本作の概要と基本プロット

本作は一青窈の歌「ハナミズキ」をモチーフに制作され、TBSと東宝が中心に、新垣結衣の所属事務所「レプロエンタテインメント」と生田斗真のジャニーズ事務所の別働隊「ジェイ・ストーム」が出資しています。肝心の一青窈の所属事務所「大家」やフォーライフミュージックが出資していないというところがポイントですw 一青窈はあくまでダシであって、話自体には彼女は一切関係ありませんし、彼女へのリスペクトも感じられません。
基本的なプロットは単純明快です。高校時代にナンパで知りあった高卒ヤンキーと良いとこのお嬢さんが、10年間いろいろあった末、結局結婚するという話です。いや~いいですね、バカっぽくてw
このプロットとキャッチコピーの「君と好きな人が、百年続きますように」を見るとまるで純愛ラブストーリーと勘違いしてしまうかも知れませんが、本作はサイコ・スリラーです。 康平の父は最後の漁で偶然にも心臓発作で他界し、紗枝の恋人も「帰ってきたら結婚しよう」というまるでどこぞのコピペのような安い展開で死にます。でも、そんな不幸を物ともせず、2人はお互いの尻を追いかけます。
奥さんが居ようが、恋人が居ようが、そんなことは関係ありません。ただひたすらお互いを安全牌として確保しつつ、結局全てに挫折して傷の舐め合いのように最後にはくっつくんです。
そう、これ純愛じゃないですし、ハッピーエンドでもないんですよ。要は、バラ色の未来を夢見た男と女が夢のためにお互いを捨てて邁進するけれど、結局挫折してお互いに傷を舐め合う話なんです。実際に結構至る所で泣いている女性が居たんですが、よくこんなんで泣けると感心します。

映画作品としての圧倒的な不細工さ

とまぁ話としては相当いかがなものかと思うのですが、本作は映画作品としての体裁すら成していません。顔のアップが多すぎるとか、台詞で説明しすぎとか、そういう基本的な駄目さもあるんですが、それ以上に構成が酷いです。
本作は珍しく5幕構成を採用しています。あんまり聞いたことがないかと思うのですが、5幕構成はギリシャ演劇の古典スタイルの一種です。「導入」→「葛藤」→「進展」→「危機」→「解決」からなりまして、通常は「葛藤」「進展」「危機」がセットで二幕目になります。ですので、別にこれはこれで良いんです。
ところが、本作の五幕というのは明確に主役2人の関係性に寄っていまして、「出会い」→「付き合い始める」→「遠距離恋愛と破局」→「新恋人との別れ」→「寄りを戻す」となっています。このそれぞれのセクションについて、さらに起承転結が存在しているんです。だから話としては物凄い不細工です。なにせ開始1時間頃に紗枝の上京に合わせて一青窈の歌が流れ始めるんです。これでエンドロールに行くかと思ったらまだ1時間半近くあるのでゲンナリしましたw
はっきり言いましょう。これは5幕構成ではなく、全5話のドラマです。つまり、映画としてまとめることなしにテレビの企画をそのまま5話分垂れ流しているだけなんです。これは恐ろしい事です。いつかやる奴が出てくるとは思っていたんですが、こんなえげつないやり方で制作されるとは思いませんでした。それが証拠に、いちいち各セクションに起承転結があってその度にえげつないイベントがあるので、見ていて物凄い疲れるんです。しかもセクションをまたぐ前に「次週も見てね」と言わんばかりの”フック”が入るんです。これはもう、、、有料放送のテレビでやれよ。
TBSやフジテレビは昔から映画を「有料放送の一括上映システム」としか見ていない節があるんですが、ここまで開き直った作りは珍しいです。もはや映画の形すらしてないんですから。
さて、そもそも純愛じゃないという件はまだ良いでしょう。新垣結衣が偏差値57.5程度で早稲田の推薦取る気満々でしかも受験して普通に受かるとか、日本で仕事を探せないメンヘラがニューヨークで成功するとか、北海道の田舎で個人経営の子供向け英語塾が大繁盛するとか、そういう細かいディティールも1万歩譲りましょう。そもそもマグロ漁船はカナダに寄らないとか、マグロ漁であんなヒョロイ奴は役に立たないとかそういうのも1億歩譲ります。(詳しくはこちらを参照 http://www.maguro-jp.com/fishing/tuna-boat/)
一番問題で一番腹が立つのは、結局こいつら(メイン2人および脚本家)は北見先輩やリツ子さんをどう思ってるんだってことなんです。要は2人以外の全てがただの撮影セットでしかないんです。 紗枝と別れた翌日に康平がリツ子を襲うのは「愛」じゃないでしょ? 死んだ恋人の追悼をした直後に紗枝が康平の尻をワクワクして追いかけるのは変でしょ? おまえら何考えてるわけ? これでは2人がただのイカレた馬鹿にしか見えないんです。描写としておかしいんです。
だから、彼らがエンディング後に正常な生活を営めるとは思えません。紗枝は就活で1社も引っ掛からなかったわけで、康平は釧路で漁師をしていけなくなってマグロ漁船に乗ったわけでしょう? しかも康平は浮気性の甲斐性無しで親戚にあずけた扶養家族が居ます。この2人が釧路の片田舎で幸せに生計を立てられる可能性は限りなくゼロです。

【まとめ】

なんといいますか、、、胸くそ悪いメンヘラ向けテレビドラマを1,800円払って大画面で見るという素敵体験ができました。まともな神経の方には絶対にオススメしませんが、もしあなたが「恋空」とかで泣いちゃうような思考回路の持ち主ならもしかしたら刺さるかも知れません。繰り返しますが、決してまともな方は行かない方が賢明です。
ちなみにテレビ宣伝に出ずっぱりでまるで主役扱いの向井理は、扱いも出番も少ないためファンの方は要注意です。もう向井理ばっかで生田斗真が宣伝にあんまり出ない時点で、宣伝的にもお察しくださいな状態ではないでしょうか。

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ハナミズキ」への21件のフィードバック

  1. まあね、おっしゃるとおりだと思います。認めます。
    が、私はこの映画が好きです。美男美女が出演し映像も美しい。
    リアリティは求めません。DVD購入検討しております。

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