マイ・ブラザー

マイ・ブラザー

今日は

「マイ・ブラザー」です。

評価:(45/100点) – 劇場予告で全部言ってるやんけ~~~~!!!!。


【あらすじ】

サムは海兵隊員。二人の娘と妻を残し、アフガニスタンへの派兵が決まった。一方、サムの弟トミーは銀行強盗の服役からようやく出所したばかり。父からは出来損ない扱いされ、常に優秀な兄と比較されてきた。サムがアフガンに出兵したのち、トミーは自身がサムの代わりとなってサムの家族の面倒を見るようになる、、、。

【三幕構成】

第1幕 -> サムと家族。またはトミーの出所。
 ※第1ターニングポイント -> サムがアフガニスタンへ行く。
第2幕 -> サムのアフガニスタンでの出来事。トミーとサム一家との交流。。
 ※第2ターニングポイント -> サムが戻ってくる。
第3幕 -> サムの奇行。


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【感想】

本日は一本、「マイ・ブラザー」を見てきました、お客さんは3~4割くらい入っていました。この手の作品にしては入っている方だと思います。ナタリー・ポートマンとキャリー・マリガンという当代と次代のスターの共演作でもあり、デンマーク映画「ある愛の風景」のリメイクでもあります。
本作なんですがなんとも言えない感じでした。というのも終始2つの物語がグッチャグッチャに混ざり合っており、ぜ~んぜん収束しないからです。
2つのストーリーとは当然、「帰還兵の精神障害の問題」と「自信を亡くした負け犬が他人と交流を持つことで社会復帰していく話」です。要は兄の話と弟の話なんですが、これが交互に語られてしまうため、何が何やらさっぱりな感じになってしまいます。特にマズイのがサムが捕虜となっている姿を描写してしまうことです。スクリーン上はグレースが旦那が死んだと思って嘆いているのに観客は彼が生きてることを知っているという変な状況になってしまい、とんでもなく冷めてしまいます。
しかも、このグチャグチャの2つのストーリーに落とし所がありません。良くも悪くもヨーロッパ映画っぽい宙ぶらりんさなのですが、中途半端で切られてしまうためにとても不誠実な描き方に見えてしまいます。
またこの構造的な難点以外にも、特にアフガニスタンの描き方についてどうかと思う描写が多くなっています。「お父さんが殺すのは悪い奴だけだよ。」「悪い奴って誰?」「あごひげがある人。」という恐ろしいギャグを皮切りに、アフガン人が蛮族以上の描かれ方をしません。別にアメリカ映画の戦争描写に文句を言っても仕方がないんですが、それにしても酷すぎます。だから後半のPTSD気味になったサムの様子もあんまり感慨を持って見られないんです。なんだかなというか、、、、ハッキリ言いまして別にリメイクしなくて良かったんじゃないでしょうか。拍子抜けというよりは私の嫌いなタイプのハリウッド映画でした。
もちろん俳優達は本当に頑張ってると思います。ちょっとキャリー・マリガンの使い方がもったいないですが、気の強い役が多いナタリー・ポートマンもいつもより繊細そう見えますし、トビー・マグワイアはきちんとイっちゃってる人の目になってます。ジェイク・ギレンホールだって、中盤以降は優しいおじちゃんに見えてます。それだけに、、、ストーリーのとっちらかりっぷりがただただもったいない限りです。
すくなくとも、アメリカ国外に輸出するような映画では無かったと思います。アメリカ人がアメリカ国内で消費していればいいような問題設定と描き方ですから。
またこれは完全に余談ですが、またしてもGAGAのオリジナル邦題はアウトです。この話は弟と兄の2つの話が語られるから「Brothers(兄弟)」なんです。「マイ・ブラザー」だと「僕の兄さん(or弟)」となってしまい、どちらか一方が主役になります。それだと話が変わってしまいますので、これは素直に「ブラザーズ」と直訳するべきだったと思います。

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マイ・ブラザー」への2件のフィードバック

  1. はじめまして。映画のタイトルで検索していてこちらのブログを知り、コメントさせていただきました。
    大変的確な批評の数々に対して恐縮なのですが、個人的に気になった点がいくつかありましたので失礼します。
    拷問を受けるサムと、グレースと仲を深めるトミーを同時に描写するのが「マズい」とおっしゃいましたが、
    一方の不幸と、(その上で成り立つ)他方の幸福を同時に見せることで、視聴者へ強い倫理的揺さぶりを与える意図があったのではないでしょうか。
    件のあごひげジョークのくだりについても、善悪の価値観が一面的なものでしかないという状況を理解させる自然な方法だったと思います。子供の口を借りて語らせたことや、トミーの顔に無精髭が生えていることからも狙いは明らかでしょう。
    フィクションにおける特定集団の描写に問題がある、というようなポリティカリーコレクト的批判には、単なる批判のためのレトリックに終止してしまう危険性もあります。
    サムが悲惨な体験によって壊れてしまった人間であるのに対し、アフガン人テロリストが本当に生まれながらの蛮族なのかどうかは、映画を観た個々人が思いを巡らせてみれば良いことではないでしょうか。
    初投稿にて長文乱文失礼いたしました。

  2. 感想読ませていただきました!
    率直な意見で共感する部分が多々ありました。
    タイトルBrothersがMy brotherになっているのは、二人の視点から物語を描いているからではないでしょうか?
    感想にもあった通り、ぐちゃぐちゃしていた事は、様々な観点から描いた結果だと思います。
    偉そうな事をゆってすみませんf^_^;)

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